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第71話 番外編 お兄様からの手紙
愛するリオンへ
僕の宝物、リオンお元気ですか。
こちらは母国より寒いので秋もすっかり深まっているよ。
先日は手紙ありがとう。手紙を読めば読むほど、リオンに会いたい気持ちが強まってしまうよ。
リオンからの手紙は嬉しいのに、ちょっと辛くなるのはそのせいだろうね。
人魚に間違えられた事を誰にも言えなかった件、リオンの孤独を思うと、あの時側にいた私の不甲斐なさに胸が締め付けられるよ。気づいてあげられなくてごめんね。
リオンはキリウム王子の反応を気にしていた様だけど、勝手に勘違いした殿下が悪いし気にしなくていいよ。
どちらかと言うと殿下は、人魚が実はリオンだった事に非常に喜んでいる節があって、少々危険かもしれないと思ってる。
どうにかこちらにいるうちに手を打っておくつもりだよ。
だからリオンは殿下の事は心配しないで、むしろ殿下の存在そのものを忘れていいからね。
父上から連絡を受けたけれど、白騎士団の演習に参加した様だね。
その時に可愛いリオンの裸体が野獣達の前に曝け出されたと想像するだけで、心の奥が煮えたぎる気持ちでいっぱいだよ。
私が側にいたらそんな目に合わせなかったのにと思うと、苦しくて堪らない。
どうして愛するリオンの側に居られないんだろう。
毎日リオンの笑顔、瞳、うなじの香り、シミひとつない美しい身体、可愛い果実…リオンの全てを思い描いて、この国での生活を何とかやり過ごしているんだ。
送ってもらった社交界デビューや制服を着た時のフォトプを毎日眺めて心を癒しているよ。
今度は演習の時の泳法着を着てフォトプを撮って送ってくれたら嬉しい。
リオンの美しい姿を見たらもっと会いたくなってしまうのは間違いないだろうけれどね。
ヘンリックの弟君のリッチー君だったかな、合同遠征で一緒だったらしいね。
兄は常識人だが、リッチー君はこちらに情報が手に入ってないけれど、同じ班で何もなかったかい?
リオンに近づく虫が多すぎて、私は気が休まらないよ。
虫といえばあいつ、ユア。リオンは弟分として可愛いワンコ扱いしてるけど、あいつは狼で間違いないからね。
飼い犬に手を噛まれない様に気をつけてね、リオン。
ああ、なぜ私はこんな遠くにいるのだろう。早く帰りたいよ。いつもリオンを夢見てるよ。
リオンも私と同じ気持ちで居てくれたら嬉しい。
リオンに口づけを送るよ。
愛を込めてリュードより
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