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第74話 ユアside待ちかねた始まり
とうとう俺たちは高等貴族学院へ進級した。
高等貴族学院は令息のみの学校で、武術と学術に大きく選択が分かれるし、寮生活も1人部屋へ変わる。
リオンは数術が得意なので、基本学術偏重カリキュラムになるだろうし、早くも数術研究室の準研究員の誘いがあるのではという噂もある。もしそうなら、それは凄いことだが。
俺は武術偏重型カリキュラムでありつつも、侯爵家の後継として領地経営などの選択科目も必要になるだろう。
学院時代の様にリオンと始終べったりと側で守護出来るはずもなく、悩むところだ。
それというのも、リオンが去年辺りから醸し出す言い知れぬオーラというか…色気のせいというか。
華奢で小柄な体つきだったが、今や175cmほどの決して小柄とは言えない程に背が伸びて、身体つきも本人が頑張ったおかげか筋肉が乗ってくるようになった。
お陰で大人びた表情も相まって愛らしさは艶やかさに、可愛さは美しさに変わった。
特に俺とベッドで肌を触れ合わせた次の日の破壊力は凄まじいものがあって、周囲の人間を翻弄させる。
その事もあり俺はリオンをベッドに誘惑しないように去年は我慢する事が多かった。
しかし当の本人は全く感じずで、色気をだだもれさせまくって、甘えてくるからタチが悪い。
年齢も子供時代が終わり、色々な意味で大人時代が始まる。
貴族学院の頃に少なからず居た女生徒は女子学院へと進み、婚約、結婚という話もちらほら聞くようになった。
俺は侯爵家の後継ではあるが、メカトリッカ神の教えもあって政略結婚は無さそうだ。というかリオン以外は考えられないというのが正直な気持ちだ。
もちろん両親も俺の執着を昔から見守ってきてるし、親同士も仲がいいので問題は無さそうなんだけれど。
問題があるとしたら、リオンの方だ。
明日にでも隣国からリオンの兄君が帰ってくる。
何年も手紙だけのやりとりとはいえ、2人の関係に変化はあっただろうか。
実際会ってみてその変化に気づくのだろうか。
リオンは今は15歳。兄君は20歳。この年齢の、この時間の経過がお互いにどう影響するのだろうか。
いつかは訪れると覚悟していた恋敵との対面を俺はどんな気持ちで迎えればいいのかと一抹の不安を感じていた。
もう一つ気になっている事は、直ぐにでも俺たちの閨の勉強が始まるという事だ。
この国では14~15歳で閨の勉強をするのは社交界デビューと同じ様に通過儀礼として必須条件だ。
恋愛や婚姻に自由な国であり、メカトリッカ神の庇護の元にいる国民としての必須条件とでもいうのだろうか。
俺とリオンが最後まで関係していないのもお互いが閨の勉強を終えていないせいだ。
閨の勉強は多岐にわたるらしく、男でも子供を孕むための方法なども勉強に含まれるらしい。
しかし実技もあると噂されてるので、それも俺には頭が痛い。
リオンに手ほどきをしたい人間が一体どれほどいるかは考えなくても分かる。
はぁ、こんなに色々考える事があると、勉強どころじゃないなと俺はひとり密かにため息をつくのだった。
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