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第89話 登城の依頼
「リオン、最近は閨のレッスンとはいえ、お前に会える機会が増えて嬉しいよ。講義も順調そうで良かった。
ところで数術研究所の教授に聞いたんだが、リオンの研究への貢献が素晴らしいそうだよ。
私も鼻が高いよ。第二王子がその件について話を聞きたいそうなんだが、明日一緒に登城してくれないか。
急な事なんだが、殿下も中々時間がなくて。」
「…はい。第二王子殿下ですか?確か内政の財務関係の総括をなさっていましたよね。
私も是非一度お話しお聞きしたいと思ってました。お会いできるのが、楽しみです。」
週末お屋敷で閨の講義を受けてから、お父様とお茶を飲んだ際に出てきたのは登城の話だった。
リュードお兄様は、毎日登城していてキリウム王子が主としている外交方面の仕事の補佐をしている。
第二王子殿下は財務関係の内政を担当していて、確かヘンリック様も週の半分は王宮で補佐の仕事をしているはずだった。
王宮は社交界デビューの時以来の僕は少しワクワクしていた。
僕がベッドで明日のことを考えつつ、微睡んでいると扉がノックされた。
「リオン、起きてるかい?リュードだ。」
僕はぴょんと起き上がると扉の鍵を開けてお兄様に抱きついた。
「お兄様、お帰りなさい!今夜はもうお会い出来ないかと思っていました。」
「ちゃんと鍵を閉めていて偉いね。
最近のリオンは魅力が溢れんばかりで、万が一という事もあるから用心に越したことはない。
リオンが綺麗すぎて、お兄様は心配な事ばかりだよ。」
お兄様は困った様に言うと、ぎゅっと僕を抱きしめて蕩けるような口づけをした。
僕をベッドへ抱えていきながら、お兄様は思案するように言った。
「父上から明日リオンが登城すると聞いたけれど…。
今まで手を回して行かせないようにしたのも限界だったようだね。
リオンは王宮へ行けて嬉しいかい?」
「はい!お父様もお兄様も行ってらっしゃるし、第二王子殿下はとても才のある方とお聞きしてます。
一度お話を伺いたいと思ってたんです。」
『まぁ、第二王子殿下は今年ご成婚が決まってるし、キリウム王子よりは安全か…。しかし、リオンが登城するとなると王子も聞きつけて現れそうだな…。』
お兄様は急にひとりでぶつぶつ言い始めてしまった。こうなると案外長い。
僕は顔を顰めると、お兄様の両頬を手で覆うと軽い口づけをして言った。
「お兄様、せっかく会いに来て下さったなら僕を見てください。」
お兄様のアメジスト色の綺麗な瞳が熱を増してギラリと光った。
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