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第98話 ユアを甘やかしたい※

僕はしばらく何日も、打ち倒されても何度も立ち上がって向かって行くユアの痛々しい姿を忘れることが出来なかった。 いつも僕の前ではユアは身体が痛むとかを全く見せていなかった。 だから僕はユアをたっぷり甘やかせたくてしょうがなくなっていた。 久しぶりに一緒に食べた夕食の帰りに、僕は並んで部屋へ戻りながらユアの手のひらを指をなぞって言った。 「…後で部屋に来て。今夜は泊まっていって。」 僕は急に恥ずかしくなってしまった。僕たちは婚約者だし、どちらかと言うと奮って夜を共にせよと言う感じなんだけど。 でも自分から誘うのは恥ずかしい。僕は胸がドキドキとして、羞恥心で何なら涙目だ。 俯いてしまった僕にユアは掠れた声で囁いた。 「リオン。こっち向いて。」 僕がユアを見上げると、少し目元を赤くした蕩けるような顔で言った。 「リオンが愛しすぎて、今夜はめちゃくちゃにしちゃいそうだ。」 僕は背中がゾクっとしてしまって目を逸らすと、ユアの色気に負けた気がして何だか悔しくなって口を尖らせた。 「ユアのばか。僕がめちゃくちゃにするんだからね。」 ユアが隣で固まった気がしたけど、僕は後でと呟くとユアを放って部屋に急ぎ足で帰った。 僕はいつもよりソワソワとユアが部屋に来るのを待っていた。 閨のレッスンが終わってからユアとこうして夜会うのは初めてかもしれない。 僕がもやもやと考えていると扉がノックされた。 「…ユア?」 扉を開けると、いつもの爽やかな香りに包まれた。ユアの白いブラウスから覗く厚い胸元が雫で濡れていた。 「ユア、濡れてる…。」 僕が濡れた胸元を指でなぞると、ユアはクスリと笑って僕の指を押さえた。 「俺の婚約者の指は悪戯だな。やっぱり俺にめちゃくちゃにされたいと見える。」 僕は急に身体が熱くなってしまって、ユアを睨むと硬くて大きな手を引っ張ってベッドに座らせた。 座ってこちらを伺っているユアの膝の上にまたがると、ユアの顎を軽く掴んでから、唇が触れるギリギリのところで囁いた。 「ユア、僕の愛しい人。今日は僕がユアをめちゃくちゃにしたいの…。」 僕はワザと官能的に微笑むと、ユアの唇を吸った。僕を掴んだユアの手が強張って力が入ったのがわかった。 ユアの唇は厚くて大きい。柔らかくて気持ちいいユアの唇を僕はゆっくり堪能した。 ユアが伸ばしてくる舌を優しく喰みながら、チュッチュと軽く吸うと焦れたユアの口が大きく開いて、僕を呑み込んでしまった。 ユアの首に回した手でうなじや耳をくすぐりながら、僕は顔を斜めにしてユアの分厚い舌を精一杯受け入れた。 口の中の柔らかさを確かめるようにユアが僕を味わっているので、嬉しいような、うっとりするような、身体がどんどん高まっていくような…、ああ、ユアの口づけが好きだ…。

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