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第104話 先見の力

突然キースはクスクス笑い出した。 「リオンはそれとは違いますね。俺はリオンの幼馴染です。 確かにリオンは他の人より良く物事を知ってます。 でもそれは白騎士団長である武に秀でたスペード伯爵がリオンにそちら方面での素質に欠けると判断して、小さい頃から学での能力を伸ばそうと配慮した結果です。 皆リオンの麗しさにとかく目を奪われがちですけど、頭の回転は良いやつなんです。 でも先見の力と言われるとちょっと違う気がしますね。」 僕は口を尖らせてキースを睨んで言った。 「キース、今のは僕を褒めたの?それとも貶したの? 僕がお父様やお兄様の様に武に劣るのは、誰も言わない事なのにキースは容赦がないっ!」 僕がキースに怒ると、キースは僕の頭を撫でながら言った。 「だから褒めただろ?」 ロナルド先輩はまだ何か言いたげだったけれど、小さなため息をつくとそれ以上その話をすることは無かった。 馬車列の横をダカダカと蹄の高い音が聞こえてきた。 ロナルド先輩が窓から覗くとユア達がこちらの馬車に併走して声をかけてきた。 「間もなく実習地に到着との事。下車の用意をされたし!」 一本角の逞しいユニーに騎馬するユアは、戦闘の騎士服を着てるのでいつもよりずっと雄々しくてカッコいい。 僕がドキドキしてポーっとして見つめていると、僕と目が合ったユアは少し口元を緩めて前方へと移動していった。 「…ユア、カッコいい…。」 突然、僕はおでこを指で弾かれて痛さに眉を顰めた。 「リィオォンー。実習でユアとイチャつくなって言ったろ⁉︎どーすんだ、これ。 お前がユアにのぼせる度に、こっちに影響でるんだから気をつけろよ?」 僕はキースを睨みながら、周囲を見回した。 何だか先輩たちの顔が赤くなって落ち着きがない。 え?これって僕のせいなの?僕ユアとイチャついても居ないのにぃ! 『ほんと、ユアと顔合わせただけでこんな蕩けた顔で色気撒き散らされたら、これから実習中がどうなるか本当頭が痛いよ…。』 キースがぶつぶつ言ってたけれど、うん、絶対僕のせいじゃないからね! 馬車が実習地近くの開けた場所に到着すると、僕らは慌ててグループ毎に野営地を整え、午後の実習地への遠征のために身支度を整えた。 野営地は学の生徒達を中心に、騎士学生が囲み、その側に何箇所かに騎士団が配置されてる様だった。 キースの陰謀なのか、僕たちのグループは1番の中心に配置されていて、騎士達のグループはどこに居るのかよく見えなかった。 キースは僕とユアをとことん会わせないようにするつもりだな? 僕はキースの賢そうな横顔を盗み見ながら、どうやって出し抜こうかと考え始めたんだ。

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