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Trac02 Sodom And Gomorrah Show/Pet Shop Boyz 前編
『ーーーー一生に一度の出し物さ』
Sodom And Gomorrah Show/Pet Shop Boyz
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駅から5分くらい歩いて、なんの商売をやっているか分からないビルが立ち並ぶ通りに、青い文字のネオンが浮かぶ。
一見普通のサウナだけど、入り口の前には会員制と書かれた看板を掲げている。これはハッテン場にノンケや女が入って来ないようにする為だ。
自動ドアで中に入ると、スーパー銭湯独特の湯気の匂いが漂ってくる。
受付に行って作務衣とタオルを受け取った。
不特定多数の人間が集まる場所だから、ドラッグストアで買ったイソジンで口を消毒しておく。一応ゴムとローションと小銭を作務衣のポケットに突っ込んだ。
あとはロッカーの鍵を、俺はリバだから足首に付けておく。
さて、どこに行くかな。サウナに入って相手を探すか、休憩室で相手を待つか。
なんか久しぶりに来たら個室が増築されていて、脱衣所から休憩室に向かう廊下の壁にドアが3つくらい並んでいる。もちろんヤルための部屋だ。まあそれは相手を見つけてからだな。
痣がヤバイから暗い休憩室のがいいか。
顔がうっすら確認できる程度に照明を落とした休憩室に入ると、10畳以上ある広い部屋にちらほらと寝転がる男達がいた。ヤッて下さいとばかりに部屋の隅にはローションとゴムの入ったカゴがある。
微かに漂う汗の臭いに、苦みのある匂いが混じっていた。
寝転がっているヤツらの鍵の位置をチェックする。右腕に付けてるヤツ ばっか。
まあいいや。誰がいいかな。
顔をチェックしていくが、ピンとくるやつがいない。リバなの、って足首をいきなり掴んでくるヤツもいたけど、ここの暗黙の了解 も守れないヤツはお断りだ。軽く払ったら大人しく引き下がったけど。去る者追わずもここのマナーだ。
時間もあるし、ちょっと待ってみるか。タオルを敷いて、他のやつらと同じように寝転がる。
しばらくすると、隣に誰が来るのが目の端に見えた。気の弱そうな、あっさりした顔。黒い短髪、切れ長の目。
「あの、ちょっといいですか」
ひそひそと話しかけられた。話し方まで気が弱そうだ。
「あの、貴方もゲイ・・・なんですか」
「そうだけど」
なんだこいつ。ソイツは俺の顔を確認するなり、えっ、と目を点にした。
「・・・どうしよう」
「あのさあ、もしかしてノンケ?」
ソイツは頷く。やっぱりな。たまにこういう間抜け野郎がいる。
俺がゲイに見えないもんで話しかけてきたんだろう。
ソイツは肉食獣の檻に放り込まれた小動物みてえにビクビクしてやがる。
「さっさと帰れ。誘われても断れば深追いしてくるヤツはいない」
「でも、さっきからしつこい人がいて・・・」
ソイツはキョロキョロと目を動かす。そして、ビクッと肩を跳ねあげた。俺はソイツの腕を引いて組み伏せた。
「え、何」
ソイツは何が起こっているのか分からずパニクっている。足音と気配が近づく。それは俺たちの横で止まった。
「・・・混ざっていい?」
「ヤダ」
上から舌打ちが降ってきて、それから足音が遠のいていった。
「はあ、すいません。助かりました」
ソイツは起き上がる。が、俺はソイツの肩を床に押し付ける。
「もう少しいないと。不自然だろ」
ソイツは完全に怯えていたが
「あ、そうですね。すみません」
と大人しく横になった。ソイツの手を持って俺のズボンの裾から入れると
「え、何やって」
「触ってるフリして。それとも俺がやる?」
首をすごい勢いで振っていた。そして、太腿に手をかけ触れるか触れないかの力で伝う。くすぐったくて声が出そう。
「うわ」
声を上げたのはヤツの方だった。
「なんだよ」
「いや、肌キレイだなって」
溜息が出た。
「お前マジでノンケなの」
潜在的にそのケがある気がするんだけど。
「実は・・・女の人にあんまり興味なくて。
でも・・・」
認めたくないってワケか。まあ余計なことは言わない方がいい。
「あ、その、もう行きますね」
ソイツは起き上がりそそくさと立ち去った。前屈みになった体の下半身に膨らみが見える。
アレおっ勃ててたな絶対。
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