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第6話

思った通り、ギャーギャー喚く俺の唇を風間の唇で塞がれた。 捕らえられてた手が離されて、ガッチリとした両腕が俺をギュッと抱き締めてくる。いつもとは逆の位置。 マウント取られて身動きすら出来んのに、”女は結構、幸せな気分なんかも”とか思う俺は痛い奴。 「…口、開けて」 ちょっと離れた唇から、囁かれた風間の要求。ほんの少しのキスで、もうなんかフワフワしてる。 何でこんなコイツのは、気持ちいいんか判らん。頭ボーッてして、ゾクゾクする。 そんな頭で何か考えれる訳もなく、言われるがまま口を軽く開けたら、また風間に唇塞がれた。 と、すぐにヌルッて風間の舌が入ってきて、さすがに驚いた。ビクッてアホみたいに身体が跳ねた。 歯列を丁寧に舌でなぞって、上顎に舌を這わす。どれもこれも、背中に直結してんのかと疑うくらいゾクゾクする。 ヤバい…絶対ヤバい。 そう思うけど、やめて欲しいなんて微塵も思わん。 クチュってエロい音立てても、自分の息上がってても、恥ずかしいとは思わん。 こんな気持ちいいんは止めたない。 ただそれだけ。 自分の口の中で居場所判らんで縮こまってた舌を、風間のそれに見つかって絡められる。 鼻から抜ける声がする。エロい、甘い声。 「…あっ……ん…」 俺やない、俺やない。思うけど、俺。 息があがる。めちゃくちゃ鼓動が速い。 クチュッて音立てて離れた唇を、名残惜しく思ってんのは誰? 「…やっぱりエロい顔。めちゃくちゃクる」 わかってる。誰も知らん様なエロい顔。 セックスしてても、絶対せんような顔。 「キスしたこと…ないん?」 「…あるわ…でも嫌いやねん。口紅とか、色んな味するし…」 独特の味…あれ嫌い。それに、正直、誰とヤってもキスだけはあんまりせんかった。 そこ許したら、何か捕まりそうな変な考えあったから。 「俺とのんは好きみたいな顔」 そう言って、また唇を塞がれる。 それわかって普通に目ぇ閉じた。さっきより深い深いキス。 このまま溶け合うんちゃうかってくらい。相変わらず咥内を貪る風間の舌。 俺もそれを拒むことなく受け入れて、全身で感じてる。 鼓動がドンドン高なって、内側から風間を叩きつける。キスしながらサラサラと撫でられる髪。それが何かイイ。 時折、離れては唇舐められて、また深いキス。ギュッと抱きしめられた身体も苦しくなくて、心地良い。 何で?昨日逢ったばっかりやで。 男やで?年下やで? 疑問はいっぱいあんのに、それ以上のフワフワ。力入らんで投げ出されてた腕取られて、風間の首に回される。 「ココ、めちゃ勃ってる…俺のキスで感じた?」 「…うっ…わっ」 服の上から気付かん間に熱帯びた塊を撫でられて、ブルッて身体震えた。 他人に触られんのは初めてやない。でも男は初めて。当たり前。 やのに同じそれを持ってる風間は、的確に弱い部分を服の上から攻めてくる。 たまらん様なって、風間の首に回した手に力入れて、広い肩に顔埋めた。声が…出る。 「はっ…あっ……」 獲物の喉を食いちぎるみたいに、風間が首に噛みついてくる。それさえも快感になる。刺激になる。 いつ誰が来るかわからん屋上で、男にしがみついて股間貪らして何やってんの、俺。 冷静になれ。 そう思うのに、なられへん。 風間の熱に侵されてる。風間から与えられる熱が…。怖い…。 自分の中の何かが壊れそう。 「直に触りたい…」 耳にキスされながら囁くように言われて、ギュッて目瞑った。眩暈がする。 カチャカチャ、バックル外されて、シャツの下から風間のデカい手が入り込んできた。 「…なに?」 女ちゃうねんから、乳は揉まれへんでって言おうとしたら、背中に電気走る。 「ああ…!や…いややっ」 風間の指が、何の役目もないのについた胸の飾りを弄ぶ。こんなとこは、女しか性感帯やないと思ってた。 でも違う。めちゃくちゃ感じてる。 「…ヤダ…んっ」 快感からか、あり得ん自分への戸惑いか、ホロリと涙が零れた。 それに気がついた風間が、それをペロッと舐めあげる。それでも止まらへん風間の指。 もう、どうしてええんか解らんくて、なされるがまま。こんなんしたことないから解らん。 いっつもする方やから、どないしたらいいんか判らん。しかも同じ男からの攻め。 「あっ!!」 陸にあがった魚みたいに身体が跳ねる。風間の手が、断りもなしに俺の熱に直に触れてきた。 クチュクチュ音立てながら扱かれて、そこがジンジンする。 有り得ん。 気持ちよすぎて頭パニック。先っぽの割れ目に指の腹押し付けたり、軽く爪立てたり、そんなテク知らんし! 「あっ、あっ、やっ…んっ」 耳塞ぎたなる、自分の熱に魘された甘い声。気ぃ抜いたらイッてまいそう。 「声も顔もエロい」 言われんでもわかってる。相当エロい顔晒してるん解る。 そんな風に追いつめてんのはオマエやのに、オマエは卑怯や。 俺の今の姿といえば、半袖のシャツは前全開。中のTシャツも捲り上げられてる。ズボンも前全開。 あり得ん格好させられて、こんな有り様やのにイキそうな俺。やのに人の身体を好き放題いじり倒してる張本人はキチンと服着て、冷静に俺の様子を伺っとる。 理不尽。 クチュクチュと耳を塞ぎたくなる様な、卑猥な音。死にたなるくらい、聞きたない喘ぐ自分の声。 全部全部、風間の熱にノックダウンした自分の今。 「あ…っ!ヤバ…いって」 病気みたいに震える内股が、限界を知らせる。 イキたい。 イカされたない。 頭ん中でアホみたいな喧嘩。微妙残った理性が、年下の、しかも男に扱かれてイクのを拒んでる。 快感に負けた理性は、今まで女とのセックスでも味わられへん様な先走りも止まらん扱きの絶頂を、両手を広げて待ってやがる。 プライドが勝つか、快感が勝つか。そんな脳内戦争を起こしてたら、それに気がついた風間が耳朶に噛みついてきた。 覚醒する思考。 「はっ…痛い…やろが…」 「限界のくせに、何で我慢すんの?」 耳元で囁かれて、耳朶甘噛み。 ゾクゾクする。コイツの愛撫全部。 あちこちに神経分散してんのに、一番熱持って風間に扱かれてる塊が、我慢限界と叫んでる気がする。 それでも負けず嫌いの自分が、我慢せぇと叫んでる。 気が狂う。 限界。 「…お前がっ…へたくそなんじゃ…あっ」 嘘。超ウマい。 テクニシャン風間。 憎まれ口叩いとかな、今すぐイク。 「…ほな」 フッと風間の手が、限界に震える塊から外された。 何で?と聞きかけて、慌てて言葉飲み込む。 それでも、俺のイキたい欲求が体中を駆け巡って泣きそうなツラさ。男やったら解るやろっ!とキレたなる。 風間をチラリと見ると、手についた先走りを俺を横目で見ながら、獣が毛繕いするみたいにペロッと舐めた。 ゾクゾクッとして一瞬イキかけて、触ってもない塊からプクッて蜜が零れた。 体中性感帯。 走った訳でもないのにハアハア肩で息して、押し倒されたまま有り得ん格好を風間に曝しとる。 「…ヘタくそなんやろ?イカれへんなら、自分でやれ」 風間の目がギラリと光った気がした。猛獣が牙剥き出した。 「イヤや…無理」 こないな格好まで曝して、挙げ句、目の前で一人で手コキ要求。 有り得ん。 「じゃあイキたないんか」 イキたいに決まっとる。今にも自分で扱いて、快感に溺れたい。でも絶対足りひん。 風間の追い込みでイキたい。今、女とヤッても絶対足りん。物足りん。 何回吐き出しても、違う、これやないって思うはず。 「…イカして欲しけりゃ、威乃からキスして」 猛獣が牙剥き出して、目の前に座ってる。それに身体差し出せ言われてるんやな。 「名前…呼ぶな」 そう言って、快感に負けた俺は、目の前の猛獣の首に腕巻きつけてゆっくりキスした。 瞬間、待ちわびてた、風間のデカい掌がダラダラ滴零してる俺の塊を包み込んだ。 クチュクチュ派手に音鳴らして、扱いてくる。キスした口からは容赦なく舌がねじ込まれ、器用に俺の舌に絡めてくる。 上も下もドロドロ。 クルクル指の腹で先端を撫で回され、割れ目にグッと爪立てられたまま扱きあげてきて、もう限界。 「うわっ…!あっ!あっ!イクッイクッ!」 キスが解かれて、締まりなくなった口からひっきりなしに艶かしい声が漏れる。羞恥なんかない。 ヤバいくらい目の前真っ白で、風間にしがみついて、最後の声は声にならんかった。 一瞬、意識なくなった。 飛んだ。 手コキで意識飛んだ。 年下の男の手で。 一気に蘇る羞恥。 何分か前の俺にキレたい。 …どあほうと。 最後なんか何が何やら…。全身がアレみたいな、アホみたいな悶えよう。 「…ヤバいくらいエロすぎ」 風間がそう言って、軽いキスしてくる。 その肩の向こうには、夏間近の青空と燦々と降り注ぐ太陽。 そんな空に見られながら、なんてこと…。

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