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第10話

「エロ…」 「あ…はっ…エロさしてんの…誰や…っ!」 男の股間貪りまくって何が楽しいねん! でも、それで感じまくってる俺もどうよ…。 「もっとエロなれ」 「え…あっ!ああ!」 風間は恐ろしい言葉を吐くと、いきなり俺の熱を掴み上げ絶妙なテクで扱きだした。 どうやってんの!?って聞きたいくらい、伝授されたいくらいのテク。快感が津波みたいに襲ってくる。 昼間のそれとは、また違う極上の快感。 「あ、あ、あ、あっ!イクッ!イクッ…!風間っ!」 耐えれん快感に、風間の腕を掴んで思わず引っ掻いた。 イクってこんなすごかった?滅茶苦茶に考えられん追い込みに、目の眩むような快感。 はあはあと肩で息しながら、射精の余韻に身体が震える。いつの間にか零れた涙に気ぃついて、風間に知られんように手で拭った。 「最後のは反則」 風間がそう言いながら、首筋に吸いついてくる。 最後のんて何やねん? 「威乃…」 囁きながら、だらしなく捲り上げられ上で纏まったTシャツを脱がされ、堅くなった胸の飾りに舌を這わされる。 まだ抜けきってない身体の熱が、再び沸騰させられそう。 「…やめ…」 「あかん…」 歯を立て吸い付き、嬲るように舐めあげられ、落ち着きかけた息がまた上がる。 たまらず、顔を腕で覆った。 「ああっ!!あっ!やっ!」 部屋に響く自分の声も、気にしてる余裕なんか微塵もあらへん。開きっぱなしの口から、ひっきりなく声が漏れる。 腹に溜まる先走りが、どんだけ快感なんかを物語ってる。 腰の下にクッション置かれて、足の間に入り込む風間の身体。相変わらず片足はソファの背凭れに乗っけられてるけど、刺激が来る度ガンガン、ソファ蹴ってた。 そんだけ快感。 さっきのんなんか、足下にも及ばん。 風間の掌は相変わらず俺の熱を容赦なく扱きあげて、もう片方はその下、蕾に指突き立てて出入りさしてる。 この男は二回目の絶頂を迎える時に、許可無く指を捩じ込んできた。イク快感に合わせて捩じ込まれたそれは凄まじい快感で、我を忘れて叫んだ。 「か、風間っあっ!あ…指っイヤ!」 「何で?気持ち…良さそうやで。ヤバいエロさ」 エロいんのはお前や!今にも喰われそう。 色香漂う風間の目は、視姦してる様な目で俺を見下ろす。それに指がイヤや。 排泄するはずの機能しかないくせに、風間の指が中で蠢く度に身体が跳ねる。自分が全部持ってかれそう。 「威乃…知ってる?もっとええポイントあるん」 グチュグチュと、耳塞ぎたなる音がする。こんな時も、風間は酷く冷静な様に見える。 ゆっくり出入りされると、そこに、どんな風に指が入ってるんかリアルに伝わってくる。 「ふっ…何?」 「聞いたことないか?前立腺」 「…知らん…んっ!指っイヤやて」 「教えたるわ」 風間が上体倒して、唇を啄むようにキス。 何を教えてくれんのか、それより指がイヤで喘いでばっかりで声も出ん。 「…っ?!うわッ!ああああ!!!!」 風間の指がぐるっと蠢いて中である一点を擦りあげた瞬間、目の前がチカチカして頭のてっぺんまで突き上げる快感。 一気に中心から、押し出されるみたいに精液が吐き出された。 「軽くイッた?」 「あ…はあ……なに…?」 「前立腺」 何やねん、それ。ケツに指入れられてイクって何やねん…嫌になってくる。 「もう…やめてや……何も出らん」 快感に、頭がついて行かへん。やのに、風間の指を飲み込んだ中が、風間の指に絡みついて出さんとこうとしてるんが分かる。 それがイヤ。 「俺のん入れたい」 「はっ、入るかぁ!!!」 「…まあ、威乃から跨って、入れて言われるん待つんも良いな」 何を恐ろしいこと言うてんねんっ!アホやろ! ジジッとジッパーの開く音がして、ハッとする。 「イヤや!マジで!」 「ちゃうわ、大人しいしとけ」 風間の熱の塊が、また頭持ち上げてる俺の熱に重なる。 体温低そうやのに、めちゃくちゃ熱い風間の塊。しかもデカマラ。 こんなん入れたら、裂けて血塗れなる。 「俺のと一緒に握って」 「え…」 手を取られて熱の塊に持って行かれ、両手で握り込む。 何を従順に従ってんのって感じやけど、思考回路は既にショート寸前。すでにベトベトの俺のんに風間のが擦れて、息が漏れる。 相変わらず穴に指入れられて、めちゃくちゃな体勢のまま風間が腰を動かし出した。 「あっ!やっ!あっ、あっ!」 腰が動く度に風間のと擦れて、それが刺激になって先走りが止まらん。 壊れたんちゃうかってくらい、めちゃくちゃ感じて泣きそうになる。 俺の中におる風間の指が器用に抜き差しされて、何がどうなってんのか解らんよーなる。 「か、風間ぁ!!」 名前を呼んだ瞬間、さっきの前立腺とかいうんを強く擦られて、真っ白なった。 身体がビクンって派手に跳ねて、イッたんすら解らんかった。 そのまま意識手放してもうたから……。 目が覚めた時、あの何もない寝室に居た。広いベッドに一人で居て、何や知らぬ間に風間を探す。 心細い?まさか…。 こないな広いベッドに一人なんか、孤独感倍増で憂鬱なる。しかも、自分の城やない。他人の城や。 勝手も分からんし…だから探しただけ。 何となく、自分で自分に言い訳。 起き上がった時の身体のダルさに、ハッとなる。味わった事のない気怠さ。少しばかりの下半身の重さ。 ぐちゃぐちゃになったはずの服も着替えさせられて、身体もキレイ。 ふと、さっきの痴態を思い出し、身体が火照る感じがした。 「くそ…一生の不覚や」 絶対に誰にも知られた無い。起きた時にすっかり忘れてたらいいのに、全部憶えてるんが嫌。 鮮明に、あらぬ場所に指突っ込まれて、事もあろうに喘いでイッた。男同士で何が良ーて、ケツに突っ込んでヤルねんって思ってたけど、あないなポイントがあるなら癖になる奴はおるやろう。 ってか、入れる方も気持ち良いんか?穴やったら何でもいいんか。 「あかん…思考回路がマジでおかしい」 俺はブツブツと誰に言う訳でもない言葉を吐き、頭をガシガシ掻いた。 相変わらず、誰も入ってくる気配のない部屋。風間、どこ行ってん。 ベッドから下りて、暗い部屋を出口に向かう。ゆっくりドア開けたら、薄暗いリビング。 誰もおらんの? 微かに香る風間の香り。何でここにおんねんやろ、俺。 昨日知ったばかりの奴に見せたのは、ありとあらゆる痴態。 自分さえも触れたとこない場所に指突っ込まれて喘いで、イキまくって挙げ句失神。 「死にたなる」 どこまでオープンなん、俺。つうか、俺の男としてのプライドなんかズタボロやし。 「…どこおんねん」 広過ぎる部屋には、自分以外誰かおるようには思えん。かといって、主居ぬ間にとんずらここうにも、俺の着替えはどこ? 心地いい空調の利いた部屋をぐるぐる回り、それらしいのん探してもあらへん。 仕方なくリビングのドア開けて、寝室の隣のドアの前に立った。 何の部屋か分からんけど、残すはここだけや。この中におるかも。 徐にドアノブに手かけたら、同時に玄関のドアが開いた。 「あ…」 「何してんねん」 Tシャツにジーンズのラフな格好の風間が、玄関から入ってきた。 こう見ると、年下になんか絶対見えん。高校生にしても落ち着き過ぎやろ、オマエ…。 「…お前おらんからやろ。帰りたいんに、帰れんやんけ」 「夜中やぞ。どないして帰んねん」 風間はすれ違いざまに、俺を捕まえてグイグイ部屋の奥に引き戻した。 「タバコのーなったから、コンビニ行っとったんや」 そう言いながら、俺の身体はソファーへ。 何かこれって…。 「お前、俺、監禁する気か」 ”帰る”ってここ来て何回言うた?それを一蹴やし。 俺の言葉に風間はお得いの、片眉をクイッとあげて怪訝な顔をする。 「そうやな…監禁したろか」 小さく言うて、買いたてのタバコを開けて一本銜えて火ぃ点ける。何でも、全てが様になる男や。 薄暗い部屋に、タバコの火だけが煌々と光る。 「お前が言うとシャレに聞こえんわ」 「本気やからちゃうか」 真顔で言い放たれて、ソファーの上で後ずさり。 「お前変な奴や」 「そうか?思わんわ」 さよか…本人自覚ないとこが痛いとこやわ。敢えて口には出さんけど。 「ってか…明日学校やで。お前と仲良ぅ同伴登校なんか、したあらへんからな…。ハルに殺されるわ」 「ハル?」 風間の片眉がピクリと上がった。 それがなんや言うたらあかんこと言うたみたいな感じして、不甲斐なくビクッと身体を震わせた。 「連れや連れ、お前の事知ってたで」 「ただの連れか?」 「はぁ?」 何言うてんねん。ただの連れ以外何て言うねん。 腐れ縁ですとか言わなあかんのか? 「…キスしたりせんのか」 「アホか!!お前!俺にそないなことさらすん、ワレだけじゃ!ハルとはそんなんせん!」 誰も彼も、お前と同じ穴の狢やと思うなよ! 誰がわざわざ好き好んで俺とキスしたり、ナニ扱いたりすんねんな!そりゃ俺はされたけど、あれは不可抗力や。 「何で俺のこと知ってんねん」 「ああ?!そりゃお前が…」 言いかけて黙る。人殺したから…って言うんかいな。 密室で?奴のテリトリーで? ハルめ、いらん知恵教えよって。 「お前がデカて、態度悪いからやろ。今日あんだけ暴れりゃ、お前知らん奴なんかおらんようなるわ」 大袈裟に溜め息ついて、ガシガシ頭を掻きむしる。 あんまり嘘は得意やない。すぐ顔に出る。バレてないやろか?俺の嘘。 「まぁ…何でもええわ。眠たいやろ、寝よか」 風間はそう言って、灰皿にタバコを押し付けた。 暗闇に紫煙だけが漂い、独特の香りが鼻を掠める。ハルのとはちゃうタバコみたいやななんて、どーでもいいこと思いながら、風間と寝室に向かった。

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