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第7話

かたくなに俯く顔に羞恥心が煮え滾るも束の間、ヒートで自制が切れたピジョンはスワローに背中を預け、シャツの下から忍び入る弟の手をむしろ進んで導く。 「……中に出すなよ」 「っしゃ」 「絶対だぞ」 兄のお許しを得たスワローが有頂天でシャツを剥き、ピジョンを壁際に追い詰め片足を抱え上げる。 「あっあァぁ、ふっうッ」 情熱と技巧が結び付いた前戯に乱され、口を塞いだ片手を上擦る吐息と喘ぎで湿らせながらピジョンは自らに言い聞かせる。 コイツとは番になれない。 俺たちは血を分けた兄弟だ。 「声だせ」 「人、聞かれる」 「誰もいねえよ」 噛み付きたい。噛み付きたい。 お前を今すぐ俺の物にしたいと、間近で覗き込んだスワローの目が発狂しそうなほど一途にそう言っている。 「あっあ、ンあっふぅッうッ」 路地の暗がりにて激しく突き上げられながら、ピジョンはスワローの首に手を回し快楽に溺れていく。 ピジョンがよがればよがるほど赤らんだ顔は淫らに蕩け、ぱく付く窄まりから垂れた分泌液が内腿をしとどに濡らす。 「んッあっ、あァっあっんっ、ふっんぅ」 「エロい声だしてんじゃん、中に出さねーでも孕んじまいそうだな」 「ばかっ、ゆーな!」 「せいぜい悪あがけよ」 一際感度を増した直腸をペニスが滑走し一定のリズムで前立腺を叩く。 目の前にさらけだされた喉仏もしっとり汗ばんだうなじも噛もうと思えば噛めるがそれをしない、コイツが自分からさしだしてくるまで「お預け」だ、そっちのほうがずっと有難みが増す。 その代わりに執拗に吸い立て「ふあっァぁっ」舌でなめあげくすぐって「んッぅうっくっ、んっ」後ろにもぐらせた指でうなじを抓って揉んで擦りまくる。 「んッ、はぁあっふあッ、ぅあッ、もっ、ぃッいくっ、もッ欲し、はぁッ、あッあぁーー」 燃え上がる嗜虐欲と独占欲、さらには征服欲に駆られて腰を打ち付ければ、絶頂の寸前まで追い上げられたピジョンが泣きじゃくり、汗と涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔に、どんな淫乱もかなわない恍惚の表情を浮かべる。 「スワロー、あっィくっ、もィくっッあァあスワロー!!」 スワローとピジョンはαとΩの兄弟だ。 彼らは番ではない。 まだ、今の所は。

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