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君と旅行編 7 俺って君にメロメロだよね
えっと……なんだっけ。
「あっ……ン」
肩から滑り落ちる浴衣の襟えろす、とかさ。
「あ、あっ、あ……ダメ……穂沙、クンっ」
はらりと捲っただけであらわになる太腿の柔肌えろす、とか。
「やぁ……ン、んっ……ぁ、はぁっ」
なんか、色々あった、はず、なんだけど。もちろんそういうのもエロいんだけど。
「あ、あ、あっ、穂沙クンっ」
何より俺に跨って、真っ赤になりながら俺の名前を連呼して、腰。
「あ、あぁぁぁぁっ」
細い腰をくねらせて切ない顔してる静から目が離せなくて困ってる。
「あ、ダメ、前触ったら」
「うん、けど、無理」
前をぎゅっと握ると、静の中がきゅんきゅんって締め付けて俺を欲しがってくれる。しどけなく開いた唇って多分こういうの。あられもなく乱れる姿って多分こういうの。あんま賢くないし、理系なんで、国語力すげぇ乏しいけど、とにかく色っぽすぎる静に似合いそうな単語を連呼してた。
連呼して、そんで。
「絶景」
最終的にそんな単語がぽろりと出るくらいに、すごい最高の眺め。
「や、景色、じゃ」
「じゃなくて、絶景、今の静、すげぇ、エロくて」
「あ、そんなこと」
あるでしょ。
浴衣乱して、ほぼ裸で、腰振りたくってるなんて。
「あ、それ、ダメ、だめっ、出ちゃう」
「うん」
中に。
「あ、奥、穂沙クン、奥、奥っ」
出すよ?
「あ、あ、イクっ」
静。
「穂沙クン、僕の中でっ」
うん。すごく気持ち、ぃ。
「来て……ぁっ」
君の中、すごく気持ち良くてさ。
「あっ!」
「っ」
中で達した瞬間、君が俺にしがみつきながら、ぎゅううううって、足でも腕でもなんでも。
「っっっっ!」
抱きつきながらイッたら、めちゃくちゃに気持ちよくて。
「すご……静」
「ぁ、ぇ? ……ん」
「きもち……」
そう囁きながら、ずっといたくてたまらなくなる君の中をもう一度味わおうと、布団の上に押し倒した。
「静! 忘れもんは?」
「た、多分、ないっ……です!」
「おし……って、スマホのACアダプター!」
「あへ? あ、わぁっ!」
全然フツーに電源コンセントのとこにブッ刺さったまんまじゃん。
慌てて二人してそこに駆け寄って、あわわわってお見合い状態になりつつ、俺がそれを引っこ抜いて、とりあえずズボンの後ろポケットに突っ込んだ。
あとは、あとは。
「え、エアコン? 空気洗浄機? こういうのって止めとくんですか?」
知らん。
「え、あー消しとく? 節電」
「は、ハイっ」
もう大慌てだ。
だって、無料とはいえ、露天風呂付き客室に泊まったんだ。露天、入りたいんじゃん。けど、夜にさ、入った瞬間、静にキスして、キスしたら、そのままやっぱしたくなるから、布団行って、イチャイチャして、そのまま寝た。
朝起きたら、浴衣姿の色っぽさ振り切れちゃった静がエロくて、またそこでイチャイチャしてて、しかも二回連続。静に至っては三回。
元気っしょ。
そんで、大満足だったんだけど。朝飯は、片付けられちゃうぎりぎりに駆け込んで。
そこから、夜にちょっとしか入ってない露天風呂にしっかり浸かろうって思っ……たのが、ダメだった。
「あれ? 静、部屋の鍵どこだっけ」
「え?」
「えぇ?」
だって、爽やかな日差しの下、俺がつけたキスマだらけの静と露天なんてさ。
無理でしょ?
男なら、ムラムラしないわけないでしょ?
で、またそこで、もう一回。
元気すぎっしょ。
そんなわけで、俺らは今、チェックアウトぎりぎりという状況になってたりする。
「あ、あ、あった! ありました!」
「よし!」
ラストは大慌て。
なんかロマンチックとかしっぽり温泉で恋人とのラブラブ旅行とか、全然そんな終わりにはならなかったけど。
「じゃ、帰るか」
「は、はい」
「……」
「? 穂沙クン?」
「いや、昨日と今朝の静、すげぇかわいかったなぁって」
「! そ、その節はっ」
「お腹、痛くない?」
「は、はひ」
今は初心な静。
「ご利用くださりありがとうございました」
「すっげぇ、いいお湯でした。すんません。朝食、ぎりぎりで片付けしてもらうのに」
「とんでもございません。お口に合いましたでしょうか」
「もちろんです」
「ありがとうございます」
チェックアウト、完了。ただいまの時刻、十時ちょうど。
「またのお越しをお待ちしております」
「はい! また、来ます! ありがとうございます! 露天最高でした!」
「……」
「絶景でした」
「はぎゃ!」
そこで、おかしな悲鳴を上げたのは静。
大丈夫だって。絶景つって、誰も静のえろ浴衣姿のことを言ってるなんて思わないって。
「ちょ、ちょっ、穂沙クンっ」
「真っ赤」
「だ、だ、だ、だって、穂沙クンが絶景とか」
「仕方ないじゃん。男のロマン最高ー!」
「ぎゃあああああああ!」
知らなかった。
そんでこの旅行で知りました。
「あはははは」
「んもぉ」
静って、そんな大きな声出るんだねって、知りました。
そして俺らの初ラブラブ旅行は終わった。
終わったけど。
「ただいまー!」
「ただいま。疲れたでしょ? 穂沙クン、とりあえず、麦、」
ただいま。
おかえり。
ご飯にします?
お風呂にします?
麦茶にします?
それとも――。
「とりあえず、静にキスする」
「!」
初旅行は終わったけど、初旅行でも何でもかんでも、俺は静とイチャイチャできればどこでも笑顔で最高ってことがよくわかったんだ。
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