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君と旅行編 6 君って、たまに大胆なんだ

 初、の相手が俺。  そんな静はたまに初心で、たまに天然えろで、俺の急所を狙い撃ちしてくる。  そういえば、部屋以外のところでしたの初めてだったなぁ。  だからかな。  昨日の静はやたらと恥ずかしそうで、真っ赤になって、慌ててて、見知らぬ部屋で、不慣れな布団で、いつもと違う天井に目を何度もパタタタって瞬きして。  初心バージョンの静で。 「…………」 「……ン」  可愛かった。 「……ン……ん」  思い出しただけでも。 「っン」  身体が――。 「………………!」 「ぁ……」  熱くなるわけです。 「ンンなっ!」 「あっ、あのっ」  だって朝から、浴衣姿の静に寝てるところを、俺、襲。 「あ、えっと」  襲わ。 「ご、ごめ……あのっ」  おそわ。 「お、おはよう……ござ、います」  襲われて、た。 「穂沙、クン」  んですけどおおおおおお! 「し、し、しず、静?」 「! ご、ごめ、ご、めんなさいっ、あのっ」  昨日の静は人生初、俺らの部屋だったり、実家の俺の部屋だったり、そういう知ってる場所じゃないところでのえっちに慌てて、戸惑ってて、すげぇ可愛い初心静。  だった。 「あの、昨日、僕っ、し、し、しし」  獅子。 「して、もらうばっかりで、その」  真っ赤だ。すげぇ、恥ずかしそう。 「ちっとも、その、してあげてなくて……その、ふぇ、ふぇっ……………………ら」  間、長い。長すぎて、「ら」だけぽつんと呟いたみたいになってる。 「そ、そそれそそれから、その、男の、ロマンって………………言ってた」  やばいくらいに。 「でしょ?」  やばい。 「あの、浴衣? そ、それで、でも、朝になっちゃって、その、昨日、僕、もうふわふわで、だから、浴衣で、今」  初心静と天然えろ静がくっついてる。  あぁ、もう。これはすごくやばい。  昨日されるがままだった。俺のこと気持ち良くさせてあげられてなかった、そう思った初心静。  昨日、男のロマンなんて言って、浴衣えろがしたかっただけのバカな俺のために、わざわざ寝る時に着てたはずの家着から浴衣に着替えて、そんで、朝から元気な、まさにバカちんな俺の俺に。 「口で、して、あげたら、喜ぶかなって」  してくれた。 「ごっごめんねっ、こんなの捕まっちゃうよ……ね」  真っ赤だ。あわわわわって狼狽えて、たくさん何度もパクパクしてる小さな唇。 「寝てる人のこと、襲っちゃうなんて」  やることなすこと、全部、やばい。 「静」 「は、はいっ」 「寝てるとこ、襲うのも襲われるのも男のロマンだったりする」 「え? そうなの? ぇ? でも……意識ない、のに、わかる、の? あの、その喜ぶっていうか、楽しいっていうか、その」  後半はゴニョゴニョしててあんま聞き取れなかった。 「あ、あの」  君が浴衣姿で、朝日が燦々と降り注ぐ、旅館の布団の上で真っ赤になりながら、俺に……とかさ。 「ありがと」 「!」 「すっげぇ、やばい」  初心静とさ天然えろ静が合わさっちゃったら、俺なんてさ。 「ホ、ホント?」 「うん」 「! あ、あの、じゃ、じゃあ」 「うん」 「その、続き、して、あげる?」  即ノックダウンにさ。 「できたら、ぜひ」  決まってるじゃん。  普段、本当に声小さいんだ。  たまに「え?」って聞き返すと、あわわわ、声小さすぎた、あわわわわってなんでか慌てて、けど、言い直した声もたいして大きくなかったりして。でもそこでまた聞き返すと、恐縮させちゃうから、二度目はないと集中して耳を傾けるくらい。  静かでさ。  名前はその人を表すっていうけどまさにそれで。 「ン……」  そんな小さな声を零す、柔らかい唇に咥えられてる、とか。 「ん」  うっとり眺めるしかないじゃん。 「ん、ん」  小さな口をいっぱいに開けて、俺の一生懸命咥えてる。 「ん」  浴衣姿、えろいし。 「ンんっ」  肩をキュッて縮めるの、静の癖だから、その度に浴衣が緩んでさ。 「ん」  もう少しで肩から滑り落ちそうなのに。そこをぎりぎり留まってるのがまたえろくて。 「ん、あっ……ぁ」  あぁ、マジで。 「穂沙クン」 「?」  何? どうかした? 「色っぽくて、ドキドキする」 「俺?」  コクンと頷いて、朝から元気な俺のバカチンを丁寧に手で撫でてる。 「その、浴衣、が、男のロマンって」  だって、えろいじゃん。布一枚だよ? 帯でさ、腰のところでキュッと留めてるだけでさ、すぐに懐に手とか入っちゃうし。合わせ目、ちょっと捲ればもう見えちゃうじゃん。柔らかい太腿。 「わ、わかる、気がする」  男のロマンしか詰まってないじゃん。 「その……」 「うん」 「僕も、すごく」 「うん」  そっと、静が身じろいで、口でたくさんしてくれて濡れてガチガチに硬い俺のを優しく撫でると、もう一度、その先端にキスをした。あの小さな唇で、ちゅってキスをしてから、一度それを咥えて。また、掌で撫でて。 「あの……ね」  ゾクゾクするほど気持ち良くて、けど、もっと気持ち良くなりたいって焦れてくる。 「僕、初恋の人と、初めての旅行で」 「……」 「すごくすごく嬉しかった。誘ってもらえて。その、本当にすごく」  ジリジリ、ジリジリ……身体が熱で焦げそう。 「嬉しくて、だから、今日は、昨日もだけど、僕にとっては特別、だから」  早く。  早く。 「だから、も……穂沙クン」  僕の中に、早く、挿れてって、キスをくれる天然えろ可愛い静の腰を早く君の中に挿れさせてって、強く引き寄せた。

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