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第11話 僕とだけキスして
リョウに真剣な顔で俺と付き合えるかと聞かれて、僕は直ぐに答えられなかった。でもリョウの気持ちはひしひしと伝わってきて、何ならその捨てられた子犬の様な顔も、僕は弱かった。
「あ、あのさ。僕、身体の関係のある真剣な付き合いってした事なくって。…僕はリョウのこと好きだよ。前から友達としても好きだったし、一緒にいると楽しいし。今だって凄いドキドキしてて、自分がどうしてこうなってるのかよく分かんない。…リョウに抱かれるのは、訳わかんないくらい凄いことになっちゃうし。あー、だから。男同士で付き合うって何すれば良いの?」
僕は自分でも何言ってんだと思いながら、鏡越しにリョウを見つめた。やばい。僕真っ赤だ。
リョウは心なしか顔を赤らめて、後ろから抱きしめて僕の首筋に口付けると言った。
「俺はたっくんと色んな事一緒にやりたい。一緒に買い物したり、映画行ったり、遊びに行ったり。旅行行ったり、部屋でゲーム一緒にしたり、ご飯一緒に作って食べたり?もちろんたっくんも美味しく食べたいし。あんまり難しく考えることないんだ。二人で過ごす時間を作ろうってことだけだよ。」
僕はリョウの言うことを聞いてて、今よりもっとリョウと楽しく過ごすのかと思って聞いていたけど、僕を美味しく食べる辺りでドキドキが酷いことになった。僕を後ろから抱きしめていたリョウは僕の心臓に手を当てると赤い顔をしている僕を雄の目つきで見つめた。
気がつけば僕はリョウに正面から抱きしめられていて、甘いキスに翻弄されていた。
柔らかく啄まれる僕の下唇は、リョウの舌で丹念になぞられていた。物足りない気持ちの僕は無意識に舌でリョウの上唇の内側をなぞって粘膜の柔らかさを堪能した。
リョウがビクッと身体を強張らせたと思ったら、リョウが顔を傾けて僕を食べ尽くそうとするかの様に、深く侵入してきた。僕はリョウの舌と自分の舌を絡めて、啜られて、吸って、甘噛みされて、リョウとのキスに夢中になってしまった。
蕩ける様な気持ち良さの中で、リョウと付き合わないとこんなキスが出来ないんだなと思った。そして僕と付き合わないと、リョウは他の誰かとこんなキスをするんだって。
僕は呻きながら顔を引き剥がして、リョウとのキスを中断すると、ギラつく目つきのリョウの顔を両手で挟んで言った。
「他のやつとこんなキスしないって約束するなら、付き合う。」
僕の口から飛び出たのはそんな言葉だった。
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