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第32話 リョウside俺の中の激情 【完】

ウロウロと落ち着かない気分で部屋を歩き回っていた俺は、マンションのチャイムの音で勢い良くドアを開けた。 目の前には、朝俺が着せたオーバーサイズのTシャツを着たたっくんが立っていた。襟ぐりから覗いていたキスマークにはテーピングが貼ってあって、たっくんにバレたみたいだ。はは。 朝、結構な勇気を振り絞ってたっくんに言った言葉。一緒に住もうって話の返事をくれるみたいで、今日は泊まりに来てくれたたっくん。 たっくんと両思いになってから、そんなに時間は経ってない。けど、俺はたっくんと少しでも長く一緒に居たかった。だから、一緒に住みたいって思うのは自然なことじゃないかな? 俺は付き合った相手に、一緒に住もうなんて初めて言ったんだ。正直、ここまで相手に執着したのも初めてで、俺はそんな自分をたっくんにあまり見せないように頑張ってる。だって怖がらせたくないし。俺だったら怖いよ。ふふ。 たっくんに細々と世話を焼きながら、俺は心臓の音が激しくなっていった。ああ、たっくんは何て言うんだろ。何て言ってくれるんだろ?一緒に住む?それともまだダメって?ああ、たっくんと離れて暮らすなんて嫌だ。大学も違うし。アルバイトとたまのデート?ふう。 俺はソファに座って、たっくんのしなやかな指を握りしめて子供のように駄々をこねた。俺が聞きたいのはイエスだけ。すると、俺の耳に飛び込んできたのは、たっくんの柔らかな声で囁かれる一緒に住むって言葉だった。 俺は思わずたっくんを抱きしめて、喜びを爆発した。ああ、たっくんと一緒にいられるんだ。同じ家にたっくんが帰ってくるなんて、最高か。 そんな幸せを噛み締めている俺にたっくんは可愛くチューをすると、そんな自分に照れたのか顔を覆って恥ずかしがるんだ。 俺はこの目の前の可愛らしい生き物を、真綿で包んで壊さないように飾っておきたい一方で、綺麗な包み紙を引き裂いて揉みくちゃにして俺の情熱で引き裂きたいという、激しい矛盾した気持ちを抱えている。 俺の中にこんな情熱があったなんて、俺はたっくんに会うまで知らなかった。俺の中の情熱と執着。この激しさをたっくんが知ったら、きっと怯えてしまいそうだ。たっくんも俺を好きなのは間違いないだろうけど、俺ほどではないだろうから。 きっといつかは…、そう思いながら俺はたっくんを抱きしめてキスした。好きだよ、たっくん。

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