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第三章・2
「あのッ! のぼせると、いけないですから!」
「バスタブの湯を、抜こうか」
「風邪ひくと、いけないですから!」
「シャワー、出しっぱなしにして蒸気で温めよう」
「もう、夜も遅いですから!」
「明日は、朝寝坊しよう」
こうなるともう、逃れられないことを杏は悟った。
「じゃあ、せめてベッドでしたいです。僕、初めてだから……」
「解った」
久々に、初々しい体が抱けるのだ。
真は機嫌よく、バスタブから出た。
タオルで彼の体を拭く間、杏は緊張で目が回りそうだった。
(北條さんのここ、こんなに硬くなってる)
これが、今から自分の中に挿入ってくるのだ。
そう考えると、気絶しそうだった。
(無理! こんなに大きいの、絶対に挿入らないよ!)
「私は一杯だけ寝酒を飲んでくるから。杏くんは、先にベッドに行って」
「はい……」
重い足取りで寝室に向かう杏を、真は見送った。
「少し、可哀想かな」
バーボンで喉を潤しながら、彼について考えた。
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