48 / 164
第七章・3
「戦争、って何ですか?」
「あ、いや。何でもないんだ」
今日は、デート。
今から、デートなんだ。
楽しい一日にしなければ、いけない。
「それにしても、杏は明るい色が似合うな。今度、一緒にブティックへ行こう」
「こんな派手な色を着たのは、初めてです」
「似合う服を、たくさん買ってやる」
「ありがとうございます。でも、少しでいいですよ?」
デートのために、真のために装った杏。
その姿に、真は喜んだ。
「嬉しいよ。仕事を休んだ甲斐があった」
「休んだんですか!? お仕事!」
「丸一日、杏とデートを楽しみたいんだ。時間に、追われたくない」
杏はその言葉に、嬉しくなった。
仕事を休ませてしまったことには罪悪感を覚えるが、それだけ大切に想ってもらえている気がしたのだ。
「でも、今度は真さんの休日にデートしましょうね」
「解ったよ」
外は冷たい風が吹いているが、二人の間はすっかりぽかぽかに温かくなった。
ともだちにシェアしよう!