63 / 164

第九章・5

 真にとっては、自分を抑えながらの緩慢なセックスだ。  それでも杏の痴態は、彼を燃えさせた。  彼の純潔を奪い、悦びを与えたことは、彼を満足させた。 「どう? 気持ち悦いか?」 「あ、はぁ、っく! た、多分ッ!」  あぁ、何? これは。  頭の中、ぐちゃぐちゃで。  耳が、とっても熱くて。 「……くぅッ! あぁああ!」  杏は、今夜三回目の精を吐いていた。 「ふぅ、はぁ。あぁ、あ……」 「大丈夫か?」  杏がイッている間は、真も動きを止めた。  そのまま突きまわせば、さらに深いオーガズムを味わえるだろうが、初心者にはハードすぎるだろう。 「真さん……」 「何だ?」 「真さんは、気持ち悦いですか? 僕に、遠慮してませんか?」 「遠慮はしてるよ。でも、すごく感じてるから」  余計な気を回さないでくれ。 「今夜は、杏の初めてなんだ。それは私の、初めてでもあるんだよ。興奮する」  そう言って、真は杏にキスをした。

ともだちにシェアしよう!