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第九章・5
真にとっては、自分を抑えながらの緩慢なセックスだ。
それでも杏の痴態は、彼を燃えさせた。
彼の純潔を奪い、悦びを与えたことは、彼を満足させた。
「どう? 気持ち悦いか?」
「あ、はぁ、っく! た、多分ッ!」
あぁ、何? これは。
頭の中、ぐちゃぐちゃで。
耳が、とっても熱くて。
「……くぅッ! あぁああ!」
杏は、今夜三回目の精を吐いていた。
「ふぅ、はぁ。あぁ、あ……」
「大丈夫か?」
杏がイッている間は、真も動きを止めた。
そのまま突きまわせば、さらに深いオーガズムを味わえるだろうが、初心者にはハードすぎるだろう。
「真さん……」
「何だ?」
「真さんは、気持ち悦いですか? 僕に、遠慮してませんか?」
「遠慮はしてるよ。でも、すごく感じてるから」
余計な気を回さないでくれ。
「今夜は、杏の初めてなんだ。それは私の、初めてでもあるんだよ。興奮する」
そう言って、真は杏にキスをした。
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