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第九章・6

 両手の指を絡ませ合い、真と杏は一つになっていた。  緩い腰突きではあるが、杏にとっては初めてのことだ。  すっかり身を蕩けさせ、快楽に溺れかけていた。 「あぁ、真さん……。んっ、あ。気持ち、い……」 「良かったよ、杏」  君が私を受け入れてくれて、本当に良かった。  そんな甘いささやきに、杏は少しだけ自分を保っていた。  大好きな、真さん。  僕は、そんなあなたに初めてをあげられて、本当に良かった。 「真さん、好きです……ッ!」  首を反らせて、杏はまた精を飛ばした。  何て可愛いことを言う。  何て愛らしい仕草をする。 「杏、そろそろ私も限界だ」 「はぁ、はぁ、……え?」 「出しても、いいか? 中に」  出すって、何を? (あ、もしかして)  中にって、どこに? (あ、ひょっとして)  杏は、真っ赤になりながらも、首を縦に振った。 「……どうぞ」  その声に、言葉に、真は一気に弾けてしまった。

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