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第十四章・7

「危ないことはしないでください、って言ったのに」 「遠田ごときのパンチで倒れるほど、やわじゃないさ」  若い頃は、ずいぶんヤンチャをした真だ。  杏くらいの年齢には、族の頭になってケンカ三昧の日々を送っていた。 「だから、これくらいのケガ……、痛い!」 「唇を切ってるんです。おしゃべりしないでください」 「唇にまで、消毒液を染み込ませることないだろう……」  血止めをして消毒をし、絆創膏を張って真は実に痛々しい顔になってしまった。 「こんな顔じゃ、お客様の前に出られやしない」 「しばらく、ここで休ませてもらいましょう」 「ごめんな、杏。せっかくのクリスマスパーティーが」 「いいから、真さんは静かに掛けててください」  仮眠用のベッドに腰掛けた、真。  その下半身を、杏はまじまじと見ていた。 「何だ、どうかしたか?」 「あの、その。僕、頑張った真さんに御礼をしたいんです」 「御礼?」 「遠田さんが勝ってたら、僕あの人に苛められてましたよね。きっと」  僕を守ってくれた、真さん。 「大好きです……」 「お、おい!?」  杏は真のベルトを外し、トラウザーズのジッパーに手を掛け、ゆっくり下ろした。

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