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第2話 開幕
: 0序詩
黒のとりまく空が光った。
「バズビ ・ バザーブ ラック レク キャリオス ・ オゼベッド ナ チャック オン エアモ
エホウ ・ エホウ ・ エーホーウー チョット テマ ヤナ ・ サパリオウス……」
闇空を裂開する雷光が、そう遠くはないいずこかへと衝撃音を立て落ちた。
雷は木を燃やし、もしかしたら山火事が発生するかもしれない。
窓の外から来たる激しく大きな音が、どれだけ鼓膜をつんざき鳴り響こうとも、マントを羽織いし唱え主の詠唱の声に、動揺の揺れは微塵も浮かばない。
「バズビ ・ バザーブ ラック レク キャリオス ・ オゼベッド ナ チャック オン エアモ
エホウ ・ エホウ ・ エーホーウー チョット テマ ヤナ ・ サパリオウス……」
外は豪風が吹き荒れ、木は薙ぎ倒されそうに恐ろしく揺れている。
明日には本当に何本かが倒れているだろう。
そこかしこに何本も燭台が置かれ、立てられた蝋燭の灯りだけが、黒い室内を見る眼球を助く。
「バズビ ・ バザーブ ラック レク キャリオス ・ オゼベッド ナ チャック オン エアモ
エホウ ・ エホウ ・ エーホーウー チョット テマ ヤナ ・ サパリオウス………
ウォォォォォオオ………蘇れ………
今ここに……
忌まわしなる我が神よ
邪 ぐ神よ……」
手に持つ短剣がキラリと光り、窓の外の、天上の雷光の輝きと互いに反射しあった。
反射光によって、刃には、持ち主の口角上がる、ニッとした嗤いの口許だけが鏡のように映しだされた。
: I 転入と潜入
季節は、炎暑を脱ぎ捨て、いよいよ風が平熱を取り戻す秋に変わろうとしていた。
従兄弟が行方不明になってから、早くも一年が経過しようとしている。
従兄弟の少年は
入学した先の全寮制の学校から
突如として消えてしまった。
学校側の説明はこうだった。
【彼はある夜ふらりと寮を抜け出した。
学園を脱走する場面を守衛が目撃した。
以来、彼の行方が知れなくなった。】
と、こう、説明しているのだが……。
信じられるか?
この不足余りある説明を不審に思い続けてきた従兄弟の両親は、この俺に、あの疑わしい学園に潜入してもらえないだろうかと頼み込んできた………。
彼の失踪に納得できない気持ちは当然同じだ。
こうして
俺は
山奥に建てられた全寮制の男子高校
「安倉野学園 」に、転入を決めた…………。
1
机の上に置かれた、ペラペラの安倉野学園への転入学通知書には
「沼間 道也 」
と自分の名前が書かれている。
これを持ち、今日、山奥の頂上付近にある、安倉野学園へと向かう。
特別に車両を手配して向かうしかないほどの、交通手段が無い学園だ。
徒歩なんかじゃ、勿論辿り着けない。
ヘリコプターが最適だろう。
こんな山の遥か奥にあるのは、城か、要塞かくらいなもんだ……。
従兄弟の#沼間 実道__ぬま さねみち__#が消えた学園に向かおうとしている。
山道の走行に向いているジープはそれでも激しく車体は揺れて、まるで岩道を走っているような体感に酔いそうになりながら、道ならぬ道をひた走り、結局学園に到着したのはその日の夕方過ぎになった。
連れて行ってくれた運転手は学園の入り口の塀の所で、引き返し、また来た道を戻っていった。
重い鉄の扉はそれはそれは高く、幅広い。
こんな扉、街中でそうそう見かけたことはない。
まるで監獄の……扉ではないか。
それか、中世ヨーロッパの、敵の侵入を防ぐための城塞じみている。
高過ぎて中の建造物の到底見えない石塀。更に塀の上には有刺鉄線のフェンス。ゲートになっている巨大な硬い鋼鉄の門構。
有刺鉄線……一体俺の従兄弟は、どんな脱走の仕方をしたと言うのだろう?
学校に着くなり、俺のスマートフォンは没収された。この学園を卒業するまで、使えないらしい。
驚愕だ。
他にも連絡機器はないか、調べられた。
一通り手荷物検査をすると、係の人間は
「ここに通う間は、親にも電話連絡は出来ません。連絡をしたいなら手紙を。手紙は教師に渡してください。中を確認後、投函しますから」
と信じられないことを告げた。
それでは本当にここは監獄のようだ。
2
「この学園はね……、元は外国人学校として出発したんです。学園創始者が、ダリオ・アイブリンガーさんという、イタリア系のドイツ人の富裕貴族でしてね。名前も、「ブロッケン・アイブリンガー・スクール」という名前だったのです。元々は。現在は、アイブリンガーさんの血を引く、日本に根付いた子孫の、 幹 暦彦 さんという方が理事長を大任されています。今では日本人のご子息も区別無くご入学されているこの学園ですが、元々の外国人学校だった名残もあり、外国の血を引かれる生徒のご入学も今尚大変多いのですよ」
案内役の教師はそう説明をしながら、学園を紹介した。
そういえば、さっきからすれ違う生徒達の容貌が、少々多国籍な印象はあった。
監獄のような塀の中は、それこそ外国のような風景が広がっていて、噴水のある中庭の庭園、彫像、鐘、並ぶ西洋風建築の校舎と、まるでフランス映画やヨーロッパのどこかの映画に出てくる舞台のようだった。
だが、足元は全て木造という、現代にそぐわない古めかしい作りでもあった。
明治あたりに建てられた校舎を、リメイクせずにそのまま使い続けているのか。
職員室に連れて行かれた。
「どうも。俺が担任の 葭葉 だ」
無愛想な雰囲気のする無精髭を生やした男は、無表情のまま、そういった。
黒表紙の日誌を持ち、団扇のように煽ぎながら葭葉は言う。
「夏休み明けに転校生か。いい時期に転校してきたな。じゃあ、教室まで、俺が案内する」
案内役を交代された。
教室に着くと黒板に大きく名前を書き、自己紹介をし、自分の席に着席した。
「初めまして。俺は幹 甥彦 。隣の席になったんだし、なかよくしようよ」
細っこい目が印象的なそいつの、幹、という苗字には、聞き覚えがあった。
察したようにそいつは小声になって
「理事長の……弟なんだ。年の離れた。でも、気にしないでね!だからって、俺も他の皆と変わりない、ただの生徒だからさ、あはは……」
隣合わせた席の甥彦が、一番親切に、学校のことを説明してくれた。
学食の場所、寮の場所。
教科ごとの先生達の名前。特徴。
学校行事のスケジュール。
気安く親しみやすい彼の態度に、自然と、友達になったような雰囲気が醸し出された。
学園内には、美容室も、日用品や、本、衣服を購入できる購買店もあるからね、と彼は教える。
甥彦の友人の矢本 光 とも仲良くなった。
額を出し髪を立たせたベリーショートヘアの矢本はご機嫌な性格をしていた。
「知りたいことがあったら聞いてくれよな!」
自分の座る椅子ごと、俺の席に近づけてくる。
「あ、でもな、あいつには極力触らんようにしな」
矢本は教室の中の眼鏡をかけた生徒を指す。
「あいつは深港 耕土 というんだ。クラスの学級委員長だが、いつもピリピリしているやつだ。変に絡まれる前に、触らぬ神に祟りなしが最善だぜ」
確かに、深港は、気が立っているような表情をいかにもしている。
頬はこけ溝のような線が走り、眼鏡越しに睨むような目をしていた。
暫くの自分の巣となる寮についた。
寮は薄緑色の長方形のボックスの様な形をしていた。
寮母に一通り案内される。
屋上にはウッドでできた床が並ぶ屋上デッキが設置されていて、食堂、大浴場、サウナジャグジーに地下の運動スペースまであった。
自分にあてられた部屋に行く。
荷物も既に、先週届けてあるため、俺の衣服やゲーム機、オーディオ機器、なんかが室内にあった。
ベッドは素の状態のままにおかれ、その上に置かれている畳まれたベッドシーツなんかを自分でセットした。
ここにはいつぐらいまで俺はいるのだろうか。
早く従兄弟が消えた手掛かりをみつけられればいい。
何なら、従兄弟が早く見つかればいい。
そうして、早くこの寮から、学園から、出たい。
その時の俺の心には、この学園から早く立ち去りたいと焦る凶々しい不穏が、胸のどこかに予兆として既に芽生え疼いていた。
3
学校にも慣れてきて数日、信じられない光景を目の当たりにした。
中庭に、裸で歩かされている奴がいる。
男子校なので、無論、男だ。
細く、気弱そうな外見の少年が、いかにも不良めいた生徒達に囲まれ、裸でいる。
教師は何をやっているんだ。
まるで人避けをしたように、そいつらの周りには誰も近寄らない。
不良の生徒達は竹刀を持っており、裸の少年を脅かすように、時折竹刀を、壁や庭に植え込まれている石に叩きつけている。
俺が見ているのに気付くと、不良達は裸の少年を連れ、どこかにいってしまった。
「あれは池野 倫太郎 君だよ……」
後ろには、同じく見ていたらしき、甥彦が立っていた。
「俺達と同じ学年だけど、入学仕立てから、不良達に目をつけられて、ああしていじめの対象にされ続けているんだ」
「どうして誰も何もしてやらないんだ?」
「あいつらを束ねている宍戸には誰も逆らえないんだよ、何故か……」
宍戸?
「それって、理事長の弟である甥彦にも?」
甥彦は黙って辛そうに目を伏せた。
「俺は何にも発言力の無い、ただの一生徒だよ……何も動かせないんだ」
その時、地面が微かに揺れた。
周りの生徒達もびっくりした顔をしている。
錯覚ではない、地震だ。
地震はすぐさま治まったが、しばし俺も、甥彦も、狐につままれたようにそれきり無言となった。
4
転入して、三日目。
やはりだが、PCルームのパソコンもインターネット通信は完全に出来ないようになっている。
忘れ物を取りに移動した先の音楽室から自分の教室に向かう途中だった。
自分のクラスの隣の教室の扉が開いていた。
教室の中には信じられない光景が見えた。
竹刀を持った生徒が三人ほど。
こないだの池野倫太郎が三人に囲まれ裸で四つん這いに這って、一人の腰に顔を埋めている。
ショッキングな光景だった。
「池野!!もっと舌と喉使え!!」
竹刀が机に振り下ろされ、庭の時のように、バシンとしたぶつかり音を立てる。
池野はビクッと震えながらも顔を男子生徒の腰から外さず、口元が見てとれなくても、懸命にしゃぶっているのであろうことは動きによってわかった。
「池野くんは職業男のチンポしゃぶりだなぁ~!お母さんが知ったら泣くよねえ~!!」
「まさか学園で息子が学園中の生徒に女代わりにされてるとは思ってないだろうな!」
池野の動きが一瞬止まり、股間に顔を埋めながら、頬が滴るのがわかった。
泣いている。
「池野ちゃん、こっちも僕らにちょんだいよ」
男子生徒が自分の手に持つ竹刀を、池野の後ろの孔にグリグリと突っ込んでいく。
浅くだが、濡れずの孔にドリルされた池野は、牝馬がいななくように体をのけぞらせた。
一瞬外れた顔を乱暴に掴まれ、無理に喉にまた突っ込まれている様子が見て取れた。
「ングッッ!!ング!!ガ!あっっっ!!!」
激しく喉の奥を攻められている。
「池野ちゃん、いぐいぐ~。ほら、俺様の精子だ。たっぷり喉で受精しろ~」
苦しそうに悶え泣く顔。呼吸が出来ずに気管が悲鳴を上げている。
不良達はあんな顔を見て興奮できるなんて。見ている俺も、さあっと血の気が引いてくる。
「池野、そいつを出したら次は俺だぞ」
「ぶあっ!!あっ……!!!ぐえっ」
池野は思い切り浴びせられたらしい。ゲホゲホと床に向かってむせている。
「飲め!!池野!!吐き出すんじゃねえ!!!」
またもやバシンと竹刀が叩きつけられる。
「今日はあんまり入らねえなあ」
池野の円孔に押し付けている竹刀は、やっぱり抵抗強く奥まで入らないようだった。
「今度は俺な。3分で出せるように頑張ろーぜ池野」
池野はまた首を掴まれくわえさせられる。
泣きながらくわえる池野の背後にいる男子生徒は、竹刀を引き抜き、自らの持ち物をズボンから出して、池野に襲いかかり突き入れた。
「あッあァァッ!!……もう、もう、生きていたくないよぉ……、お母さん!」
「池野ちゃんはやわだなー。そんなだから、悪いボクタチに目をつけられるんだよ?立派な男になれるよう、俺たちが鍛えてやるからな……」
「一緒に尻の穴も鍛えてやるからな、
ウヒヒヒヒ……」
「こんなに色んな男に使われまくっててまあだ締めまくるとは!!」
「あうっ!!いたい………いたい………!!いたいぃぃいっ!!ああああああ!!……うっ……うっ……うっ………誰かあっ……助けて…………」
池野と教室を覗く俺の目があった。
背後に教師が通りかかる。
俺は教師にかけよって
「せ、先生っ!先生!!あれっ!あれ!あいつらが……!きっ来てください!!」
「ん?あぁ、ははは。お盛んだなー」
若い教師はそういってたわいない出来事のように通り過ぎていった。
残された俺は、再度振り向くと、また死んだような目になっている池野と視線が真っ向からあい、居た堪れず、走り出して自分の教室に逃げてしまった。
5
教室の自分の机から忘れ物を取り出し、すっ飛んで、あの隣クラスとは反対方向の廊下に駆ける。
音楽室とは反対方向だが……。
途中誰かにぶつかった。
「危ないじゃないか」
白衣を来た、薄茶色の髪の、パーマを前髪にくるくるかけた男。
どこか不健全な印象のする青白い顔だが、外国人のモデルのように顔が小さく、スタイルがよく、背が高いのにくわえて足がスラリ長い。
何頭身なのだろう。日本人離れしている。
「転校生とはもしかして君?名前とクラスは?」
「沼間です、2-A、沼間道也」
「私は保健医の、葵生川 ……。沼間君みたいな子は、すぐ大怪我をして保健室に運ばれてくるよ」
少し憤慨している印象の保健医、葵生川は、溜息をついて嫌味を言い、俺を通り越していった。
階段で立ち止まる。上に行こうか、下に行こうか。
さっきの悲痛は息苦しく俺の胸を締め付け、外の空気が思い切り吸いたくなっていた。
屋上へと駆けた。
……雄大なパノラマとして、山々が広がっている。
どこを向いても山の峰が連なる回転画。見渡す限り絶景だった。
空気は寒く、ブルッと震える。
それにやっぱり酸素が薄い気もした。
まるで自分が、人間界を卒業したような気分にでもなる。
白もやさえ漂う山並みと丘陵。
いつかTVで見た、英国の山、スノードニア山の風景と重なり似ている景色が、眼下に一望される。
創始者がなぜこんな場所に建てたのか、分かる気もした。
トクン……トクン……と心臓が心地良く鳴る。
何故だかわからないが、風景を見下ろしていると、不思議に懐かしい感覚になった。
: II乱交
屋上に風がそよそよと吹き、そしたら急に、一気に寒々しくなった。
仰ぐと、太陽が曇りに呑まれている。
足元を、光が隠れたためにグレーの影が包んだ。
そこへ、屋上の扉がガチャンと乱暴に足で蹴られ破られ、竹刀を抱えた不良生徒達が、複数で俺の元にやってきた。
間違いなく、さっきの件だ。
教師を呼び込もうとしたことを怒っているのか。
「話題の転校生だってなぁ。隣のAクラスに入ったんだって?」
「宍戸 晴樹 様がお呼びだ。挨拶してこいとよ」
「ほらぁ!おいで!坊主ー!」
強引に制服を掴まれ、力任せに引き摺られ屋上から連れていかれた。
とある使われていなさそうな特別教室の前に、銀の短い髪の男がいた。
染めているのか、それとも地毛か。
この学園には、外国の血を引く生徒も大分混ざっているらしいので、もしかしたらこの男も、日本人以外の血が混ざっているかもしれない。
肩幅は広く、背はそれなりにあり、見るからに喧嘩に強そうな威圧感があった。
顔は美しいが、目つきは睨みきって、野蛮だった。
「おまえが噂の転入生だな。俺が宍戸 晴樹だ。名前はなんという?」
銀の髪の男はそう、感情が特に揺れない声で告げた。
どうやら俺への怒りやマウントに乗ろうという刺々しさもない。
しかし愛想や歓迎の声調もない。
「沼間道也といいます。転校してきました。どうぞ、よろしくお願いします」
挨拶とは、こんなもんだろうか。
ペコリと頭を下げた。これで帰してもらいたい。
「沼間、教室に入れ」
宍戸は特別授業のための教室をガラリと開け、スタスタとその中に入っていった。
俺は入りたくなかったけど、手下の不良達に、後ろから押されて入る。
教室の中の光景は異様としか言いようがない。
そこら中、据えた男の体液の臭いが、空中を漂って鼻腔にまとわりつく。
宍戸と手下以外の誰もが完全に一糸纏わぬ裸となり、上下に別れ、男同士で床に組み敷き合っている。
二十人ほどはいようか。
それぞれ十対ほどの、キメラのように接合され合成体となったといおうか、組み合わさった目を背けたい異形を晒している。
宍戸は愉しそうに裸の生徒達が交う様子を、教室内の出窓に腰かけ、首を左右横に振って教室の状態を見回し、楽しんで見下ろしている。
電気のついていない薄暗い教室の中を、宍戸の背後の窓だけが、光を送り込んでいた。
宍戸を祭祀者に例えれば、それはまるで、どこかの映画の中で見た儀式めいている構図だった。
宍戸は片足を窓べりに引っかけ、制服の前を開け上半身の素肌をはだけさせている。
こちらの顔を向いて微笑う。
「どうした?混ざりたいか、沼間……。
来いよ……!俺の足の間に。
欲しいなら俺のものをしゃぶらせてやる」
俺を自分の近くに誘い込もうと手招いている。
「どうした。来い」
誰が行くもんか。吐き気を催す異常な光景の支配者に、恐れと共に強い確固たる拒絶が生まれた。
教室の床に寝て快楽にむせび喘ぎ、獣のような声にならない声をあげている全裸の男ども。
学校だぞ……ここは……。一体何を、やっているんだ、学校で……。
身の危険を果てしなく感じ
俺は走って教室から出ようとしたが、扉の前で待ち構えていた宍戸の手下二人組に思い切り両肩を捕まえられる。
「離せ!おい!離せ!!」
まるで罪人のように、腕を後ろ手に掴まれ、二人がかりで、宍戸に向かって無理矢理跪かされるように座らされた。
宍戸はこちらに向かって来た。
目の前に立ち膝をついて座る。
「命令だ。沼間。俺のをしゃぶれ。
しゃぶったら、誰にも手出しはさせない、お前をあっちで二人きりでメチャクチャに抱いて、俺専用にしてやるから、危なくないし、心配はいらない。それともここで輪姦パーティーを開くか?どちらにする。選べよ」
俺は答えないで嫌悪を露わにした顔を向けただ睨みつける……。
宍戸はそんなこっちの様子さえも余裕といった具合で、おくびに介さず、立ち上がり自分のベルトをカチャカチャ外し始めた。
「慣れてないお前に、レッスンを教授する。
まずは一舐めだ。一回舐めたら今日はそれで勘弁して放してやる」
残忍な笑みを浮かべながら剥き身の自分の雄を手に持ち、宍戸は俺に強要した。
宍戸の生々しい、男の、匂い、形、色、が、重い圧力となって俺の間近に迫る。
「嫌だ…!!」
「ペロリと……舐めてみ……」
先端の丸みを帯びた亀頭を、拒否して顔を横に背けた俺の頬に擦りつけてきた。
手下は俺の頭と首を抑え、宍戸の亀頭が頬に回され塗られる。
柔らかい感触。先っぽに小さい口が空いている。雁首がある。心の底から見慣れたシルエット。
そして鼻をつく、性器の性臭。
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