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第11話 館の午前中

古い扉が軋んで音を立てて開かれ 「お薬をお持ちしました。一也さま」 安堂だった。 安堂は救急箱と香枦のような軟膏入れを手に持っている。 「さぁ、そこに寝てください。口答えは駄目ですよ……ふふふ………」 男はベッドに横に慣れと目と態度で有無を言わさない命令をし、うつぶせで寝る僕のお尻に、軟膏をたっぷり付けた指を思いっきり滑り込ませてきた。 「ぅ………はぁ……っっ!」 たまらず、身悶える。 最初はなめらかに動かされていた指のかたまりが、その内に、ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立て遠慮無しに掻き回す。 「これはいけません、随分太くて長いモノをこんな場所にお入れになり悪戯されたようですね」 「ひ……っっ!あ……っっ!」 「ここも相当いじくられて遊んでいるみたいですね」 そこは先程恵人にやたら弄ばれた一点だった。 「………っっ!」 ビクン、と体が弓なる。 枕に顔を埋めて耐えていたが違和感を覚えた。 おかしい。まるで男のモノが入っているような圧迫感がある。 見ると安堂は自分の指先をすぼめ、手のひらを半ば入れるような勢いで侵入させていた。 「ぁぁ……っっ!そん…な……っっ!太…ぃ」 枕をぐしゃぐしゃにししがみつき悶える僕を他所目に、安堂は手で僕を犯し続ける。 「ふふふ……あなたはもう抵抗できません…」 手が引き抜かれた。 一際強い圧迫感が目の前をはじけたかと思うと、一気に楽になった。 安堂は自分の執事服を脱ぎ捨て、うつぶせ状態の僕にのしかかってきた。 安堂は自分のモノに香炉じみた容器の中の軟膏を全部塗りつけると、それを滑るように僕へと潜り込ませた。 「ぁ……っ!」 ぱちゅぱちゅと打ち付ける音が狭い室内に即座響き渡り、僕は後ろ向きだが完全に女性の態勢にされ安堂の意のままにされる。 「気持ちいいでしょう?あの軟膏には患部に熱を持たせる、媚薬効果のある成分を混ぜています。 恵人さまに言われてますからね。あなたをここでしか快楽を感じない体にするよう続けて責めてくるように、と」 確かに執事は僕の前を一切触ってこなかった。 「ほら、私の言う通り、段々ほぐれて、慣れてきたでしょう? ここが」 「あぅっ!」グインっと突き上げられる。 それみたことかという口ぶりだった。 僕は返事をせず、悶える声でかき消す。 「何でも慣れなんですよ。毎日休まず男に抱かれていれば、自然と体のほうから男を求めるようになります」 「あっ!あっ!」 太いものが繰り返し一気にぶつかり、一気に引き抜かれる。 「ぁぁぁぁぁああっっ!! …………… ぁぁぁぁぁああっっ!!」 引き抜かれる度に悲鳴にも似た大声をあげていた。 ゾクッと背筋が震えたかと思うと気が付いたら僕は初めて入れられて出していた。 執事はそれを見て笑って僕の中に出した。 …………。 一人になった室内で、暫く呆然と天井を見上げていた。 しばらくし、僕は熱に浮かされたように、館の中を彷徨い歩いた。 一つのドアが半分開いている。 中には恵人の姿が見えた。 恵人の部屋だ。 恵人の部屋に行くと、彼はベッドの上で足を伸ばして本を読んでいたようだ。 「なんだ……さっきあんだけやられたのにまだやってほしいのか?」 恵人が気付いて馬鹿にしたように笑う。 「こいよ」 恵人は本を読んでいた手を止め、サイドテーブルに片付けた。 自分のズボンをずらすと僕に上に乗るよう命じた。 寝転んでいる恵人の上にゆっくりと股がると、全部が入った途端、下から激しい動きで突き上げてくる。 腰を掴まれている。 「ひっ」 まただ。 またあの一点を狙って恵人は突いていた。 「ぅっ…ぁあ!」 疼くような気持ちよさが確かにある。 そればかりを狙って悪戯に恵人は突いてきた。 「俺に尻を掘られるのが好きか?好きって言えよ」 円を描くように腰を回されながら広げられる感覚に耐える。 「ホラ…… 自分から入れられにきたということは、余程好きなんだろう?」 拡げるように突かれる。 男の責めは一言一言発する度に激しくなる。 「ぁっ……ぁっ……」 「尻をほじくられるのが。違うか?」 違う………。 しばらくしたら恵人は体勢を変え僕を自らの下に敷いた。 一転、まどろっこしくゆっくりと動かしてくるが、それがますます恵人自身の形状と質感を僕の中に体感させられ堪らない。 そうして、浴室の時より時間をかけられ、長い時間のしかかられ、心をねぶられる。 「ほら、俺の首の後ろに両手をかけすがっていいぞ」 恵人の胸のあたりに押しのけるようなポーズで置かれていた手を邪魔に思ったのか、恵人に掴まれて導かれる。 頭の後ろで交差させるように組まされ こうなると益々完全に自分が女だ。 受け入れる体勢を男として自由に出来る尊厳さえない。 そんな馬鹿馬鹿しい尊厳にさえすがっていたことに今更ながら気付き、 すがる対象さえ恵人へと縛られてしまった。 最後の心の抵抗がプツンと弾け切れ頭は混乱した。   「もう助けて…………っ…助けてぇぇ………………」 「助けてやるよ、お前がいけるようにな」 男はわざと僕の懇願を逆の意味に捉えて、感覚の違う箇所だけを狙ってゆっくり擦る。 新しい感覚を目覚めさせるように。 「ッッっっ!………っっ!!!………ぃ…っ」 確かにそこの上を恵人のあれが移動する度に痺れる感覚があった。 ゴリッと突然荒くえぐられるように敏感な場所を思い切り突かれた。   同時に押し出されるような感覚で、僕は自分の中の気を体外に吐いてしまった。 パタパタと下肢を汚すそれは信じられない量だった。 出している間も恵人は内側から突いて放出を物理的に促すので、いくらでも終わりなく出てくるようだった。 男は僕の耳元に口を近付けこう囁く。 「気持ちいいだろう」 熱くてトロリとしたものが中で弾けた。 恵人の部屋を出ると、もう夜の0時近くにはなったんだろうか。 一日が一巡りしたにも関わらず、僕はまだ館内の散策を止めず、階段を一階に降りていった。 降りて行ったすぐ先に電気の点いた明るい調理場が暗い中見える。 黒い廊下に光が漏れる調理室に下りると執事の安堂がいた。 「おや、一也さま。何か御用ですか?」広々とした調理場、紫の長大な業務用シンク台の前に黒のエプロン付きで彼は立っていた。 「そうだ、明日の朝食のスープですが、今出来たところです。一杯味見していかれませんか?」 安堂はそういうと調理場の中の椅子に僕を座らせ、目の前ですりガラスの丸い器に盛った。 「食べさせてあげますよ……」 スープをスープスプーンにのせ、ゆっくり口に運んでくれる。 一匙、一匙、口に流し込むのだが 「んっ」 口の端から液だれしてしまった。 安堂はふいに顔を近付け、顎から喉に液だれしたものを美味しそうに自分の舌で舐めとる。 「いけませんね……お行儀が悪い」 そういうと、僕を立ち上がらせ大きな調理台の上に寝かせた。 自分の口にスプーンをくわえ 僕に直接口移しでスープを流し込んでくる。 口を離しては、またスープを口に含み、何度も、何度も………。 僕はスープをごっくん、ごっくんと飲み干していくが いつのまにか安堂はスープが無くなってもそのまま舌を絡めあうばかりで唇を離そうとはしなくなっていた。 「ん………っ…ふっ…んむ……っ」 いつのまにか飲み込ませる時間より舌を絡めとられる時間のほうが長くなっていき、気付けば調理台の上で長いこと唇を貪られていた。 満足したように 「どうですか?美味しいでしょう?」 と安堂は笑って、僕の口元を指で拭い、自らの口元を指で拭いながら、やっと僕の体を離してくれた。 だが暫くグッタリして動く気にならない僕を見て、エプロンを外しながら言う。 「やはり最後までなさらないとまだ私から離れたくないようですね」 それならば、と僕のベルトに手をかけられシュルシュルと外されていく。 傍らに生クリームを泡立てたボウルがあり 「明日の昼のティータイム菓子用の生クリームでしたが」 指を直接入れ掬いとり、僕の下着を脱がされたそこに塗り込めた。 体を起こされ調理台に手をつかされる形で後ろ向きに立たされる。 すぐさま背後から安堂が侵入してきた。 「………っ!!あっあっ…あっ」 丸状の先端がめり、と押し入る。 呻く僕を余所に、最初からフルの力でつきあげられる。 「あっ…っ……!!あっ…っ……ああ!!」 安堂が動く度大きな声が止めどなく溢れる。 僕の鳴き声は調理室からダイニング、大広間まで、きっと流れているはずだ。 椅子に僕の片足をかけさせ、更に深く、腰を回すようについてくる。 「………くうっ…!」 腹の底からこみあげてくる暗黒じみた快楽に僕自身の思考を失う。 「恵人さまに続いて時間を置かず私にも…連チャンで男を呑み込むなんてあなたのここは相当広がってますよ」 調理室中に鳴り響き反響音と変わるほどに腰を休まず打ち続けられる。 「…………ッ!!!」 僕は唐突に無言で体を震わした。自分自身にも予告無く、突然達したのだ。 堰を切ったように溢れた。 通常とは違う例外的な放出に、信じられない目でビクビクと震える身体を、満足げに見下ろしながら、安堂も更に腰の速度を上げ「出る」と低く呻いて僕の中に思い切り吐き出した。 …………………。 チュンチュンと鳥の鳴き声が響く。 朝になると、僕は安堂と一緒なら外に出ても良いと許可を出された。 「私と一緒に朝の庭掃除を手伝ってもらえますか?」 久々に外の空気に触れた気がして気持ちが良い。 まだ日は顔を出してから長くなく、高らかな位置には登っていない時刻だ。 僕は安堂に道具を持たされ、庭に散らばる余計な葉っぱ等を掃いたりしていった。 一周回すると、安堂がこちらもですよ、と呼び寄せる。 そこはちょっと奥まった所にある、敷地から僅か離れた細道だった。 「ふふふ……」 緑の木々の連なりに鳥の鳴き声。 「一也さま、そこに手をついて、お腰をこちらに向けてください」 見ると前に白樺のような木があった。 安堂の纏う雰囲気が変わったのを感じとり、僕は大人しく従う。 「ぅ……んふ……っっ!んっふっ!……ぁぁあ……っっ!」 木につかまりながら鬱蒼と生い茂る林の中で、男に腰を打たれる僕。 腰と腰を打ち付ける音が辺りに響き渡る。 「ぁ………っ…………くっ………あっはっっ………」 辺りは森しかない。森しか、この声を聞いていない。僕のこの、節操無い声を…………。 「ぁッ!あッ!あっ………」 「随分と気持ち良さそうですよ、一也さま」 ククッと喉の奥で嗤いながら、片足を持ち上げられ一層深くつかれた。 「……っっっ!!」 目の前が白く、もう何も考えられなくなってくる。 「…………ぁあ………っ!もっ……!う…っ………!」 しばらく一層強く穿たれ続け、限界が訪れた。 「はぁ………っはぁ………っ」 僕だけが最頂点を迎えると、どうやら安堂はまだ達していない。 「あちらに私の居住する一軒家があります。 そちらで続きをしましょう」 脱力しながら安堂に肩を担がれ家に辿り着くと、中に入るなりベッドにつれていかれ、お互いに何もまとわない姿にされる。 全身で動物のように絡みあうと、二人とも汗ばむほど体温が上昇していた。 「………いい……!安堂との………、いい………よぉ………!! ぁぁ………!……壊れる……!壊される………!!!……僕が…ァァァ………………」 「ふふふ……恵人さまより 私を気に入ったようですね……… それならもうお前は私のものだ」 「ぁ………っ!あ………っ!あ………っっ!!!」   ……………………。 熱っぽくもつれあい続け それから昼の時間になると昼食作りのために安堂は慌てて出払ったが、僕にはここに残れと言われた。 僕はベッドの上にそのままでずっと宙を眺めていた。 夜になって安堂が帰ってくると、風呂場に手を引っ張られ連れて行かれ 「………そんなの…っ……入らっ……なっ……」 安堂は風呂場で卵のようなゴルフボールのような球体が繋がったものを僕の中に飲み込ませる。 「嘘をつけ。……どんどん入っていくぞ」 「あっ!あっ!……っあ」 全部飲み込まされた上で両足を持ち上げられ突かれた。 「壊れ…っっ!!壊れる…!!……無理ィ!無理……ィィィィ!」 懇願しても虚しく 浴室を響きわたる破裂音はそのまま容赦なく繰り返される。 「くっくっく……私はお前がかわいい… お前が気に入ってしょうがない……。 お前が死んでからも、魂を放さないぞ………。 ずっと一緒にいよう」 言葉の意味がよくわからないが、僕も頷いた。 安堂が羽交い締めのような形で抱き止めながら満足そうにニッコリ微笑った。 僕は一晩だけ安堂の家で過ごして、朝になってこっそり屋敷へ帰っていった。

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