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第10話 彼は何処に(H有)

定児の行方が知れないと電話口で渉流は青森神主らに伝える。 「俺も今清町中を念飛ばしして探っていますが皆目見当たりません」 「では、彼がどこにいるか私は占ってみますねぇ。……先日の降霊、覚えていますか?」 「はい」 「諸宮修聖の霊があれだけ下りてこないのは、彼の魂がどうしても我々を拒否しているか、それとも彼が生きているかの、どちらかですよぉ」 受話器の向こうで軽く笑ってるのが聞こえた。 「ちなみに占ったら」 昼の2時半の、五時限目の授業の終わりを告げるチャイムが町を響き渡る。 「生きていると出ました」 あいつどこ行ったんだ!あれだけいってんのに懲りないヤツめ! スマホを乱暴にしまうと渉流は走り出した。 ……………………………………………………… 体の感覚を取り戻してから何度めの交接となろうか。 男二人は暗い神殿の奥で息を熱く荒げ交わり続けていた。 両腕で枕や敷き布を懸命に掴む這う男の背後からかぶさり、全身で覆うように彼の自由な動きを邪魔している男。 蛇のようにうねりのある動きを止めない。 「はぁ………っ……はぁ………っ……はぁ………っ……」 「ほら……わかりますか………?私から神力が君の肉体の中へ絶えず流れ込んでいるのがね」 あの浮遊感ある気の波が、肉と肉が打ち付け合う音がする度に確かに流れ込んできて、全身の神経をウェーブ状の曲線を描いて揺らす。 頭がぐしゃぐしゃになるほど気持ち良い。 溶けるような、ぼんやり熱い気の波の、断続的な注入。 「君から私の中に荒御霊のエネルギーが流れ込む。そしたら私から君に神力が注がれる。これを永遠に繰り返す……まるで、魂から溶け合うようだろ」 「はぁ………っ……はぁ………っ、は………ぁ……っ       ……………」 誰にも何もされたことの無い、尻の穴が………気持ちいい。 体を背後にされたり正面にひっくり返されたりして、二人のあられない姿は絡み合うとしか例えようがない。 「……きッ…ど…ぅ……っ……」 機洞の目と俺の涙で滲む目が合わさり、俺は呼吸を吐くように名を掠れながら呼んだ。 男は俺の掌を自分の頬に当て、囁くように耳たぶに甘噛みをするキスをしながら言った。 「……修聖と呼んでいいよ」 ゾクゾク背筋を幾度も這い昇ってくる蛇は快楽の電流だった。 ……………………………………………………… 最清寺の本堂では全員一堂に会していた。 右から、青森神主、渉流、猪狩祐司とひもろぎの兄妹、金龍和尚と、輪になってズラッと並んでいる。 天井の仏画が見守る中、青森が口を開いた。 「だめでしたねぇ。何べんやっても、水にくべた私の占い符がクルクル回転して最後には沈みこむ。誰かが視られたくなくて防御策を取ってるようですねぇ」 金龍が険しい表情で発する。 「私もです。護摩を炊いても仏から言葉が降りてこない。神仏を打ち破る、ここまで強力な力が動いてるなんて……」 「怪しいのは、そのジャーナリストですよね」 二人の顔を交互に見渡しながら険しく渉流がいった。 「ええ、私がやりあった術者と、定児さんが知り合ったという記者の背格好がそっくり同じだよ!確か……呪禁の技を使って、私の技を跳ね返してきた………チクショウ…………」 ひもろぎは猪狩祐司に寄り添われながら、悔しさと怒りを強烈に目に滲ませ、吐きつけるように言葉を噛んだ。 「その人、きどう、れんというんだね?」 猪狩祐司が、渉流の顔を怒りを込めた眼で貫いて名前を再確認する。 これは渉流に向ける怒りではない。 「……………」 渉流もイラつきを隠せないムシャクシャする目つきをして問いに一回頷いたきり押し黙っている。これは、渉流自身に向ける苛立ちだ。 霊能力者達が揃って透視してみても、定児の窮状の環境どころか心理すら掴めないのだ。 まるで定児という存在そのものが、この世から突然消失してしまったみたいだった。 「既に亡くなっている……なんてことはあるのかな………」 猪狩先生が呟く。 「亡くなっていたらこの場に喚べますよ」 青森が感情の無い声色で告げた。 「魂が封じられて一つの場所に地縛され、どこにも移動できない可能性もある。だけど今は、もっとも最悪の可能性は捨て置きましょう。見つけ出すことを、最優先にするのです」 金龍は力強く全員に向かっていった。 ……………………………………………………… 機洞は定児を背後から座位で犯していた。 まるでヨガの禅のような足を組まされた定児の秘部を、足の間を縫って潤ませるための樹液と共に貫く。 それはまるで二人で神聖なる仏行に挑んでいるような神々しささえ、見ている者に感じさせられる光景であった。 そう、交接している姿をとって一つの像となす、二体で一つの勧喜している神のような、まるでヒンドゥー教にそんなような姿の神がいるのではないか、と思わせるような愉悦と神性に満ちた仏画的な御姿(みすがた)だ。 機洞の額から胸まで一筋の大粒の汗が流れ落ちる。 汗はそれだけではなく、上半身のあらゆるところを濡らしていた。 定児の内臓内(たいない)に白い欲望を一吐きして、やっと体を彼から離すと機洞は冷水を浴びに他の場所に向かった。 すぐさま白布の仕切りをめくり見鬼姫が現れる。 そうあの見鬼姫だった。 公園で定児に運命の相手だとかいう不穏な予言を残し、渉流に襲いかかった魍魎の女は、手にきりたんぽのような不思議な道具を持っている。 定児もあの時の見鬼姫だと気づいてはいるが、今の彼の状態は薬を嗅がされて茫漠としているような状態。 だから何を尋ねるでもなかった。 見鬼姫は定児の腰の下に吸水性のある布を敷き詰め、先ほどまで男の異物を受け入れていたアヌスの入り口にきりたんぽ状の器具を差し入れた。 柄の部分限界まで差し込むとゆっくり下に引き下ろし、でも抜きはせずまた奥まで戻し入れるのを繰り返し中の雄の精を掻き出していく。 下に清掃面のパーツが引き下ろされる度、白い体液がゴポッと腰下のシーツに抜かれ吸水される。 「…………ぅぐ!…………ぅっ…あ゙ぁ゙あ゙!……」 堪らず直腸の押し上げによって反射的に内臓から出る声が飛び出す。 「大っきいでしょう?ふふ…………。これ一体何回分かしら………。蜜壺のように沢山の精がどこまでも収まらず溢れてくるわ………。まるで100年生きた大樹をいきなり切り裂いた傷口から溢れ出してくる大量の樹蜜のように。あるいは、私は蜜蜂の貯めた蜜をまるで採蜜しているようだわ」 納得できる範囲まで中を清掃すると、ガーゼのような刺激の無い肌触りの布で定児の下半身をポンポンと押し当てるように拭った。 美容師が髪の毛を拭うような仕草である。 「機洞様と入れ替わりで一回体を洗いに行くわよ。エネルギーの交観をしているから、食べなくても死にゃしないでしょうけど……何か食べたい?食べるとまたお尻にチューブシャワーを突っ込むことになるから面倒だわよ」 定児は胸で上下させる呼吸をして何も答えない。 「ご飯は要らないみたいね」 見鬼姫はリカちゃん人形ごっこのように、こうした一連のお世話をする行為が大好きなのだろうか。 語る素振りは跳ねるように活き活きと楽しげだ。 体の洗浄から元の交接の間に戻ってくると、既にそこに座って待ち受けていた機洞の目の前に座らされる。 機洞の装束の前の部分は完全にはだけられ、見頃は重ね合わされていない。 胸部が剥き出しになっており、開かれた腕に招かれ導かれて抱えられるように機洞の胸に顔を埋めさせられ、機洞の突起へと、定児は自分の唇が持っていかれる。 そうなるとそうしなきゃいけないかのようになってしまい、舌を出し機洞の乳首に己が舌を虚ろに這わせるのだった。 機洞はその顔を見下ろして「ククッ」と笑い 「いいですか?私達に加われば、下界に降りず毎夜このように筆舌につかない解放感に包まれますよ。ここにずっといましょう?」 そう言って子猫や子犬の顎を撫でさするように定児の顎に指を滑らせた。 「ね?」 犬や猫の躾感覚なのだろうか。 「君に楽しい光景を見せてあげます。楽しい阿鼻叫喚をね」

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