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北の山から戻った3人のお話…… ずっと

カースは、自分の胸に身を預ける青年を、心から愛しく思う。 二十歳も離れた、親子ほども歳の離れた、この青年が、カースを変えた。 もう、人生も残り少ないというのに。 カースはまだまだ、この青年とともに生きたいと、願ってしまう。 腕の中で、青年の体が熱くなる。 リンデルは、小さく震えていた。 「カース……好きだよ……」 「ああ」 「お願い……いなくならないで……」 それは、涙声だった。 この青年が一番怖がっている事が何か、それはカースもよく分かっていた。 「ずっと、ずっと俺の傍にいて……」 胸に縋り付く青年の温かな涙が、ゆっくりと男の皮膚を伝う。 叶うならば、ずっと傍に居たいと、カースも思う。 けれどそんなこと、出来るはずがない。 なにせ、親子程も、歳が離れているのだから。 けど、そんな事はこいつだって分かっている。 男は、言葉を探して、紡いだ。 「なるべく、長生きしてやる」 「うんっ……」 いつの間にか本格的に泣き出してしまったらしい青年は、時折しゃくり上げるように肩を震わせる。 「……お前のためにな」 「っ……うんっっ」 ぎゅうと男の素肌にしがみつく青年の背を、男は繰り返し、何度でも何度でも撫でた。 泣き止まぬ青年の、柔らかな金の髪に口付け、そこからゆっくりと、頬を撫で、顎を引き、額に口付け、涙に震える瞼に唇を落とした。 「ぅぅ……カースぅ……」 素直で子供っぽい。甘えるような、真っ直ぐに縋る声。 これは、こいつが、俺にしか見せない顔だ。 カースは胸がじんと温かくなるのを感じながら、まだほろりと涙を零す、この世でただ一人の愛しい人を見つめた。 「……この世で、お前だけを愛してるよ、リンデル……」 自然と口から溢れた言葉に、カースはほんの少し照れ臭そうに目を細める。 それは、男がずっと昔、この金色の微笑みとの別れに、心に刻んだ言葉だった。 リンデルの目が丸く開かれ、驚いたように見つめ返す。 「お前が俺を求めてくれるなら、俺は魂だけになったって、きっとお前のそばにいる……」 カースには何となく、この青年のためなら、それくらいの事できそうな気がしていた。 愛のたっぷり込められた言葉に、金色の青年は涙も忘れて微笑む。 「……カース……」 嬉しそうで、幸せに蕩けそうな、金色に輝く天使の微笑み。 カースはやはり、この笑顔を守るためなら、何だってできそうな気がした。 「絶対、だよ……?」 言葉とともに、青年の指先が、男の細い黒髪へと絡められる。 「分かった。約束しよう」 青年は驚いた。普段不確定な約束を絶対にしない男が、キッパリと言い切った事に。 「そっか……。それならもう、俺はずっと、寂しくないね」 この男がそう言うなら、リンデルにも、それは限りなく実現することなのだと思えてくる。 「ああ」 カースが笑う。温かい森の色を柔らかく揺らして。 「お前には、ロッソもいてくれるしな。寂しい事なんて、もう何もないさ」 言われて、リンデルはケルトを失って冷え切っていた心が、確かに温まりつつあるのを感じる。 ロッソは、拙いながらも懸命に自分を愛してくれた。 そして、目の前のこの男も、リンデルに無限の愛を限りなく注いでくれる。 まるで息をするように、自然に、さりげなく。 いつか離れる日が来たとしても、その事実は変わらない。 カースとロッソが、騎士団の仲間達が、姉や、今まで出会った全てのリンデルを大事に思ってくれる人が、自分をここまで支えてくれた。 だから、ここまで頑張れた。 「うん、そうだね」 そう言って淡く笑うリンデルの横顔が、いつの間にか、カースの知らない勇者の顔へと変わる。 それを見てカースは、ほんの少し寂しく思いながらも、この青年が立ち直りつつある事にホッとした。 「カース、ありがとう」 爽やかに笑って、リンデルが男へと口付ける。 感謝と愛を込めて、奥深くまで。 舌を挿し入れると、カースも舌を絡めてくる。 リンデルが良く知る、温かく柔らかい舌だ。 青年はホッとしながら、この男と一つになれるように、もっと深く、強く口付けた。 「ん……っ」 口内の空気を吸われて、カースがほんの少し苦しげな声を漏らす。 男の息が上がれば、誘われるように青年も呼吸が荒くなる。 「……カース……っカース……」 うわ言のように名を呼びながら、青年が、深く浅く、何度も口付ける。 「ん……、ふ……ぅ」 強く求められて、男の身体がそれに応える。 カースは、立ち上がり始めたそれを、既に立ち上がっているリンデルのそれと重ねて、優しく扱いた。 「ぁ、あ……っ、う……それ、恥ずかしい、よ……、っぅ」 見る間に、リンデルが顔を真っ赤に染める。 カースには、リンデルがこれを恥ずかしがる事くらい分かっていた。 「分かっててやってんだよ」 と答えると、リンデルはますます赤くなる。 「ほら、もう俺のより、お前のの方が長いな」 言ってカースが二つを重ねたまま青年に見せた。 「う、ん……、でも、カースの方が、おっきい、よ……」 恥ずかしそうにしながらも、男に示されたそれから目が離せない様子で、リンデルが答える。 「んー、そうだな、横幅は俺の方があるか?」 片手しかない男が、指で輪を作るようにして順に太さを比較していると、リンデルの物から、耐えきれずトロリと雫が伝った。 男はそれを指先ですくうと、リンデルの先端へぬるりと指を沈める。 「ぅあっ」 びくりと腰を震わせる青年に、カースは手を止めないままに優しく問う。 「……気持ち良いのか?」 「あ……、うん……、カースの指だと……、さ、触られるだけで、気持ち、い……っ」 またもびくりと肩を震わせる青年のそれを、男は愛を込めて、丁寧に撫で擦る。 「あっ、ん……ぅあん……、ぁ、も、ぅ……入れて……よ……カースぅぅ……」 鼻にかかった甘えた声で可愛くねだられて、男は苦笑する。 覆い被さろうとする男を、リンデルはひょいと抱き上げるとベッドに寝かせる。 「!?」 「カースは……まだ身体が辛いだろうから、寝ててね……」 頬を真っ赤に染め、荒い息でも、動作がふらつかないのは流石と言うべきか。 男は、不意に抱き上げられる事にもそろそろ慣れてきた、そんな自分に苦笑する。 「カース……、入れていい?」 リンデルが、もうたまらないという顔で、カースのそれを手に取る。 男の頷きに、リンデルはじわりと口端を弛めてそれを自身の内へと導く。 「あ、はぁ……ぁ、ぁぁあ……ん、カースの、気持ちい……ぃ……」 うっとりと目を細める青年が、本当に幸せそうで、カースはまた苦笑した。 さっきまでロッソとしていたからだろうが、リンデルのそこはならす事もないままに、カースの物を悠々と飲み込んだ。 「お前、最近ゆるいんじゃないか?」 どこかからかうような問いに、リンデルは顔色を変える事なく答える。 「ん……、多分、うまく力が抜けるように……なっただけ、だよ……」 言って、リンデルがキュッと内に力を込める。 「っ……」 顔色を変えることになったのは、カースの方だった。 臀部までしっかりと筋肉で覆われているリンデルの内は、締め付けも強い。 「ね……?」 まだ蕩けるような瞳のままで、金色の青年は天使のように笑った。 カースはいつも、このギャップにやられてしまう。 男は腕を伸ばすと、リンデルの頭を自身の首元へ引き寄せた。 「あんまり可愛い顔をするな……我慢できなくなる……」 懇願するように耳元で囁かれ、リンデルは苦笑する。 「……こんな歳になった俺を……まだ可愛いって言うの、なんて……、カースくらい、だ、よ……っ」 言いながら、青年は腰を揺らし始める。 「っ、……く……」 男の掠れた声が低く漏れて、リンデルの背に熱が走る。 「ぁ……ぁあ、カース……いいよ……気持ち、いい……っ、んんっ」 男が与えてくれるその硬さと熱が、リンデルにはたまらなく心地良い。 金色の青年は、その桃色に染まる頬を男の首筋にすりすりと擦り寄せながら、緩やかに腰を揺らす。 男は、じわりと汗を滲ませ、ほんの少し息を上げつつも、穏やかな表情で青年の髪を撫でる。

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