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北の山から戻った3人のお話…… 幸せ(終)
青年が満足いくまで付き合えるかは分からないが、いざとなれば指でも良いだろう。この青年は、男の指に酷く敏感だから。
カースは、そう決めると、青年に合わせて腰を突き上げる。
「ぁああぁんんっっ」
不意の刺激に、リンデルは高く声を上げる。
「あ、あぁっ、んああんんっ!」
続けて何度か突き上げると、男の上で青年が背を逸らした。
これは、リンデルが快感を受け止めきれない時に、少しでもそれを逃そうとする仕草だ。青年をよく知る男が小さく口端を上げる。
仰け反ったせいで露わになった胸へ、男が指を這わせる。
リンデルはびくりと小さく肩を震わせながらも、男の指を求めるように、身を屈めた。
男はそれを可愛らしく思いながら、青年の期待通りに胸を優しく撫で、既に立ち上がっている小さな突起を摘んで転がす。
「ぅぁんっ、んっ、ぁぁあんっ、ぅうぅんっっ」
男の指から刺激が胸に伝わる度に、青年の内側までもがビクビクと震える。
カースが短い方の腕を伸ばすと、意図を汲んだ青年が顔を近付けた。
解かれたままの金色の髪が顔の前に回るのを、青年は長い指ですくって耳へとかける。
髪が伸びてきたここ最近で、初めて見られるようになったこんな仕草も、リンデルがやると純真さの中にほんのり色香があって、何とも言えず良いとカースは思う。
今は、真っ赤な顔に潤んだ金の瞳が息を呑むほどに妖艶だったが。
そっと近付くリンデルの唇を、男が口を開いて受け入れる。
深い深い口付けの中で、男がゆっくり口内を蹂躙すると、青年のくぐもった声がいくつも溢れた。
「ん、ふ……、んぅ……くぅ……んんんっ」
リンデルは、自身が揺らす腰に感じながら、その愛の込められた口付けに心まで蕩けてゆく。
青年の額に滲んだ汗が、ぽたりと男の目元に落ちた。
「ぅぅ、んんんっ、ん、ふ、ぅんんっっ」
男が緩急をつけて胸を刺激する。その度に、ビリッと甘い快感が背を走る。
そんな中で、男は時々、リンデルのタイミングに合わせて腰を奥まで突き上げた。
「ぁ、ゃあああああんんんっ!!」
ビクビクと震え、今にも絞り始めそうなリンデルの内の様子に、男が青年の限界を知る。
青年が慌てるように唇を離して、追い詰められたような瞳で訴える。
「ぁ……だめ……、も……ぅぅんっ、俺……っ!」
カースは口角だけを上げると、それを促した。
ぐいと男の片腕に腰を強く引き寄せられて、それはずぶりと青年の奥深くへ刺さる。
「や、あっ、あぁああああああああああぁんんっっ!!」
青年がびくりと震え、大きく仰け反ると、青年の白い体液と汗の滴が男の上に舞った。
「くっ……」
男は眉を顰めて、自身を絞るその圧に耐える。
痛いほどの力にしばらく息を詰めていると、じわりとリンデルの中が弛みだす。
男は耐え切れた事にホッとしながら、まだ時折痙攣しているそこを、優しく擦り上げる。
熱く、ビクビクと震えるそこは、気を抜けば一瞬でカースを追い詰める。
それに必死で耐えながら、カースは青年を想う。
「ぁ……カース……っ、ああんっ、んっっ、や、あ……んんっ」
甘く切なげな声を溢しながら、瞳にじわりと涙を溜めて、金色の青年は男に縋り付いた。
「カースのが……、欲し……ぃ、のに……っんんぅっ」
悲しいのか、感情が制御できないのか、金色の瞳からぼろぼろと涙が零れる。
男は青年の頭を慰めるように撫でながら、何かに耐えるような声で低く尋ねる。
「俺がイったら終わりで……、いいのか?」
金色の青年が腕の中でコクコクと頷く。
「分かった。じゃあ、お前が頑張れ」
言われて、金色の青年が蕩けかかっていた目をハッと見開く。
顔を離してよくよく見れば、男はこんな状態にもかかわらず、あまり顔色が良くなかった。
まだあちこちが痛むのだろうか。
また自分は、自分のわがままにこの男を付き合わせてしまったのだろうか。
金色の瞳に暗い影が差す。
男はそんな青年の頭を再度引き寄せると、柔らかく口付ける。
「そんな顔しなくていい。……お前が、俺を良くしてくれるんだろ?」
励まされ、リンデルは苦く微笑んだ。
彼の愛が、温かすぎて。
「うん、……今すぐ、気持ちよくするからっ……」
リンデルは、男に体重をかけないようにしながらも、腰を揺らし始める。
男の物はまだリンデルの中で熱く立ち上がっている。
それは、少なくともまだ男がその気でいてくれている証拠だ。
リンデルはその愛に応えるように、懸命に腰を振った。
まだビクビクと名残惜しそうに震える内に、男の熱いそれが何度も当たる。
「んっ、あっ、んんんっ、あぁああんっ、……カースっ、好き……大好き……っ」
愛しい気持ちと快感が混ざり合う。男の優しさに、心も身体も激しく昂る。
「……俺もだよ……」
男の短い返事が、愛に溢れた言葉が、リンデルを追い詰める。
「あぁん、あっ、ぁああんんっ、うんんっ」
リンデルは、震える唇で男の胸をなぞった。
「……っ」
男の肩が揺れる。
それが嬉しくて、リンデルは男の胸の突起を何度も音を立てて吸い上げる。
「ぅ、っく、……っぅ」
男が、低く唸るように声を漏らす。
その掠れたような声が、リンデルの理性を蕩かす。
リンデルは男の胸元で、嬌声をこぼしながら奉仕する。
男の物がさらに硬くなってくる事が、リンデルにはたまらなく嬉しかった。
「……イク、ぞ……っ」
待望の言葉に、身体中が期待に高鳴る。
「あんっ、来て、カース……っ、俺のナカ、いっぱい……出して……っんんっ」
どくり、と音が聞こえそうなほどに、カースのものが脈打ち、膨らむ。
内側をみちみちと押し広げられて、リンデルは大きく仰け反った。
「あぁあああああああああぁぁぁああぁんんっっ!!!」
カースは、リンデルの内に吸い上げられるように絞り込まれて、眉間に深く皺を刻むと、最後とばかりに深く青年の体内を穿った。
「くっ……」
動きを止めたカースに対して、リンデルはビクビクと激しい痙攣に四肢を揺らす。
「あっ! ああっ!! 来てる……っ! カースの、熱いのっ、俺のナカ……っっ!!!」
うわごとのように呟く青年に、男は胸中で苦笑する。
「んんんんんっっ、来てる、よ……っっっ!!!」
ビクビクと跳ね続ける身体を捩って、リンデルが快感に翻弄される。
「ぁああぁぁぁぁああぁんんっっあああぁんんっっ!!!」
カースは、さらに内に絞り込まれて、リンデルが再度達した事を知る。
「ふ……ぅ……、う……ぁぁ……ん」
男の上で仰け反っていた身体が、力なく緩む。
「……っ、んん……っ、ぅぅん……」
耳まで真っ赤にしながらも、恍惚と、幸せそうに金色の瞳を揺らして、青年は男の首筋に顔を埋めた。
その金色の髪を、男はまた優しく撫でる。
リンデルは、なかなか引かない快感の波に、いつまでもビクビクと肩を震わせている。
男は、そんな青年が可愛らしくてたまらなかった。
静かな部屋の中に、リンデルのまだ荒い息と、ロッソの寝息がほんのわずかに聞こえている。
村はずれの家に届く外の喧騒は遥か遠く。
けれど元気そうな子ども達のはしゃぐような声が微かに聞こえた。
随分と高くなってきた陽射しが、室内を温かく、明るく照らしている。
「……んっ、……俺……、幸せだな……」
ぽつりと零されたリンデルの言葉に、男は森色の瞳を揺らした。
そうか。こんな事が。こんな簡単な事が……。
カースは、以前一度だけ聞いた、リンデルの本当の願いというのを思い出す。
男の腕の中で金色に微睡んでいるこの青年は、ひとたび剣を抜けば驚くほどに強く、心正しく、弱き者全てに優しい、この国や騎士団の顔となる『勇者』と呼ばれていた人物だ。
そして、退役した今、誰もが成し遂げられなかった魔物の根絶という偉業を成し遂げ、いわば伝説の勇者と言っても良いほどの人となっている。
けれど、そんなリンデルの願いは。誰にも言ったことのなかった、本当の、一番の願いというのは『ずっと俺と繋がったままでいたい』だと言う。
そのあまりのギャップに、思い出した男が苦笑する。
カースが小さく笑うのを聞いて、リンデルはまだ熱の引ききらない瞳で男を見つめた。
「カース……?」
疑問を浮かべている金色の瞳に、深く優しい森色の瞳が微笑む。
「……いや。俺も、幸せだと思ってな……」
その言葉に、リンデルの内側がもう一度熱くなる。
「えへへ、そっか……」
ふにゃっと、緩み切った表情で笑い返す青年の金髪を、男はまた優しく優しく撫でた。
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