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1 始まり

「あれ?涼じゃん。久しぶり。何やってんの?」 「あ、えっと…奏多だっけ…?久しぶり。」 「そそ!俺のこと覚えててくれたんだね!ありがとうー!…それで何してんの?」 「大親友だった奴に騙されて家なくなった。」 「は?」 「なんだよ。」 「…うち来なよ。泊めてあげるよ。」 「まじ!?ありがとう、助かる!!」 「着いてきてー!」 小学校以来だな…。 あんまり話したことなかったのに、いい奴だな、 なんて思いながら小学校の頃の話をしながら歩いた。 「はい、ここだよ。」 「…まじで言ってる?」 「あ、二階だからね。」 「それならいいんだけど…。」 「…引いた?」 「いや、全然。俺も男の方が好きだし。」 「まじ?それは良かった。久しぶりに会ったのに引かれたら俺泣く。」 「引かねぇよ。んでどこ?」 「こっちー!ここの部屋余ってるんだよね。だから好きに使っていいよ。」 「ありがとう。」 「てか、家ないってことはお金もないんだよね。」 「そうだよ。」 「何食べて生きてたの…?」 「…なんも食べてない。」 「はぁ!?ちょっと待ってて。何か食べられないものある?」 「なんもないけど…」 「わかった!」 しばらくすると奏多がお皿を持って帰ってきた。 「お待たせ。」 「わ、すげぇ…」 「食べていいよ。」 「ありがとう…!いただきます!」 めっちゃ美味しかった。 久しぶりのご飯だったからとかじゃない。シンプルに美味しかった。 「ごちそうさまでした!めっちゃ美味しかった。ありがとう。」 「美味しいって言ってもらえて嬉しいよ。ところでさ、お金ないなら俺のとこで働かない?」 「んー…別にいいけど、本番はしたくないかな…。」 「おっけーおっけー。そうやって書いとけばだいたいは大丈夫だから。」 「そっか、ありがとう。」 「明日からでいいかな?頑張って。今日はゆっくりしてていいからね。」 「ありがとう。」 明日から働くことになったけど、大丈夫かな…。

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