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第8話2人で迎える朝 アリン視点

ーーえ…?これどういう状況…? 僕は今、声も出ないくらいパニックを起こしています。 驚きが限界を越えると動けなくなるんだなぁ…って、どこか他人事の気もしています。 ー数分前ー 「んっ…あったかい…」 朝の陽射しが部屋に入りいつも早起きのアリンは日の出と同時に目が覚めた。 起きたくないなぁ…と布団に顔を埋めた。……はずだったが何かおかしい。 ーなにこの弾力? パッと目を覚ますと目の前には大きな筋肉があって自分の背中に褐色の腕が周っていた。 ーーだ、抱きしめられてる!? そして、冒頭にもどるのだ。 とりあえずこの場から抜け出そうと、フェアンの腕を引き離そうとするがびくともしない。…むしろ力が強くなってる気がする。 どうしようかとフェアンの腕を引っ張ったり身を捩ったりしていると頭上からクスクスと笑い声が聞こえた。 パッと顔をあげると笑いたいのを耐えているフェアンが俺を見つめていた。 「おはよう、アリン。」 「フェアン!ちょ、ちょっとこれ!離してっ…」 「あぁ、ごめんよ。」 そう言って腕を離してくれた。それにしてもごめんって言ってるのに全然悪いと思ってなさそう。ニコニコしてるし…。 「フェアン。なんで、こんな…抱きしめてたの?」 「アリン、君が擦り寄ってきたんだよ?」 「……っえぇ!?」 「アリン、こんな時に言うのもなんだけど…俺はこの出会いを一晩だけの縁にしたくないんだ。今日からもう一生会わない他人にはなりたくない。」 「フェアン…?」 と、その時。 ードンドン!!ドンドンドン!!!ー 玄関のドアがけたたましく鳴った。チャイムの音もひっきりなしに鳴っている。 「フェアン!ちょ。ちょっと待ってて!こんな朝になんだろ…」 何事か、とパジャマのまま玄関まで走った。 玄関前まで来ると大きな声で自分の名前を呼んでいることに気づいた。そしてそれは自分の親しい人物の声だということも。 「アリン!!アリンいるのか!?」 急いで玄関の扉をあける。 「レイ!?こんな朝早くどうしたの!?」 「アリン!お前無事なのか!?」 「な、なんのこと…?」 「なんのことってお前…」 するとレイの目線が僕の後ろに移った。 すぐにレイは僕の腕を引っ張り背中に隠した。 「お前か!!アリンになんの用だ!!人間がノスティアに何しにきた!!」 目線の先にいるのはもちろんフェアン。フェアンも負けじと睨み血管が浮き出るほど拳を握りしめている。 ピリピリする空気の中一触即発の緊張感が両者の間に漂っていた。

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