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第1話
「やってしまった。完全に寝坊した。」
たったいま起きた俺、佐倉涼 は時計を見て焦っている。なぜなら今日は高校の入学式。遅刻などしてはいけない日だ。
時刻は8時20分。幸い家から高校まで徒歩30分。入学式は9時からだから朝ご飯を食べずに走って行けば間に合うかと考えながら速攻で制服に着替える。
「はぁー、よかった、家から高校が近くて!」
独り言を言いながらリビングに行くと両親はもう仕事に行ったらしく誰もいない。両親は共働きで入学式には来ないし別に来て欲しいとも思わないからいいんだけど。
「俺を起こしてから仕事行ってくれてもいいのに!」
理不尽な文句を言ってももちろん返事など返ってくるわけもなく急いで玄関へ向かい家を出る。
朝から走るなんて昨日夜中までゲームをしていた自分を怒ってやりたい。いやでも昨日やっとクリアできたんだった。やっぱり自分を怒るのはやめよう。
登校してる生徒はいなく入学式だからみんな早めに登校してるのだろう。通学路を走るのは俺しかいない。いやもうこれはしょうがない。むしろ走ってでも時間までに行く自分を褒めてあげたいくらいだ。
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