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第2話
しばらくするとやっと学校が見えてきた。俺の勝利だ。なんて思いながら走っているとほんの少し先に同じ制服を着た人ががノロノロと歩いているのが見える。急ぐ気なんて全く無さそうだ。
「ねぇ、そこの人!走んないと遅刻するよ!ほら一緒に行こう!」
後ろから大声で叫んでも振り向かない。聞こえてないのかな?と思って近づこうとした瞬間
「わっ!痛ったい!!」
いきなり風が吹いてカッコ悪いことになぜかずっこけてしまった。なぜ風が吹いただけでこけたのかと言われたらそれは俺が聞きたい。
ていうかめっちゃ痛い!!久しぶりにこけたらこんなにも痛いものなのか!?と、こけた体勢で考えていると誰かが歩いてきて目の前に立ってきた。
「ふっ、すごい音聞こえたけど大丈夫?」
話しかけてきたその人は俺の体勢からは足元しか見えない。
「あっ、これくらい全然平気、平気!」
そう言いながら顔を見るとそこにはとてつもないほどのイケメンが立っていた。って、あれ?同じ制服?ネクタイの色も同じってことは同級生?って、もしかしてさっき少し前をノロノロ歩いてた人?なんて頭の中でぐるぐると考えていると
「ふふっ、髪の毛に桜の花びらついてる。」
そう言ってその人は俺の髪についた桜の花びらを取って笑顔で見せてくるというイケメンらしい行動をしてきた。
さらに「立てる?」と手を差し伸べてきたイケメンに俺は素直に従うことしかできず手を借りて立つ。
「あの、ありがとう!」
お礼を言うと緩く笑いながら「どういたしまして」と言うイケメンを見て俺は確信した。絶対モテると。
「ところで走らなくていいの?もうそろそろ入学式始まるみたいだけど。」
「え、、、ちょっとまって、、やばいっ!そうじゃん、入学式!俺はなにしてんだ!!ほら早く行こう!」
俺は腕を引っ張って走ろうとするとその人は少しびっくりした顔をしたあと「あぁ、そうだね。」となぜか手を繋いできた。それでも気にする余裕もなくそのまま一緒に走って学校に行く。
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