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第88話 光生side

「光生の顔、遠い。」 涼は俺に一瞬だけキスをすると目を見つめながらそう言った。身長差が不満なのかいじけた顔をしている。 「1回しかキスしてくれないの?」 唇が離されてから一向に続きをしてくれない。俺が大事にしていた3分は勝手に奪われこんなにも簡単に終わってしまうのか。ていうかまだ10秒も経っていない気がする。 「光生、座って!」 俺の質問には答えてくれずもうキスは諦めて言われた通りに座ると涼は向かい合うように俺の膝に座り抱っこしている体勢になった。 「え?どこ座ってんの?」 「、、、光生の上。」 「は?なんで?」 「なんでってまだ3分経ってないし、、、」 どうやらまだキスをしてくれるらしい。俺のテンションは一気に上がり腰に手を回してグイッと涼を引き寄せた。 「下手でも笑わないでね、、。」 「ん。わかった。」 少し不安そうにする涼の頭を撫でてあげればまた顔が近づいてくる。 「っん………んぅっっ………ふっ……」 俺の顔を両手で包み込むように固定して何度も、ちゅっちゅっと唇を吸う涼はきっと俺を気持ちよくさせようと必死でその全てが愛おしくなってしまう。 「…んっ……っ光生…あーんって口開けて……」 顔を少し離したかと思えばそんなことを言う涼になんで今?なんて思いながら口を少し開けると涼は恥ずかしそうに微笑んで舌を入れてきた。 「ふふっ!」 「…んぅ!いま、わらったぁ….!」 なるほど、いつも俺がするようなキスをしたかったのかと思った時にはもう遅い。 あまりにもかわいすぎてつい笑ってしまった俺をきっと涼は下手だと思ってバカにされたと勘違いしたらしく怒っている。 「笑ってないって!今の涼のキスすごい好きだから早く続きしてよ。」 これ以上機嫌を損ねないようにおねだりをして、口を開けると涼の舌が遠慮がちにゆっくりと入ってきて温かくて心地いい。 「……んぅっ……っはぁ………光生…気持ちいい?」 「……ん、すっごい気持ちいい。」 「………っふぅ………んっ………っ……」 目の前には必死に俺にキスをしてえろい吐息を出す涼がいてこんなに幸せでいいのだろうか。そんなことを思っていたらあっという間に時間は過ぎて唇を離された。 「……光生怒らせちゃってごめんね……これで許してくれる…?」 俺を怒らせたお詫びだったらしく目を見つめながら「まだ怒ってる?」と心配そうに聞く涼を抱きしめた。 「んーん。もう全然怒ってない。」 「…そっか、よかった。」 涼はホッとしたのかそのままもたれかかってきて顔をスリスリと俺の首に擦り付けた。その仕草が俺の心をまたギュッと掴むことをきっと知らないんだろう。 「口開けたらごはんじゃなくて涼の舌が入ってくるんだもん。許す選択肢しかないじゃん。」 「……恥ずかしいから言わないでよ。」 「なんで?すっごい嬉しかったのになぁ〜。」 「本当?俺にされて嬉しかった?」 「ふふっ、当たり前でしょ。」 なにを今更言っているんだ。涼が俺にしてくれること全部嬉しいに決まってるのに、今初めて知りましたみたいな顔をして喜ぶ姿に俺の心臓はドクドクと早くなっていく。 「俺も光生にちゅーされるといつも嬉しいよ!」 ニコニコと無邪気に笑いながら話す涼はその一言で俺がどれだけ喜んでいるのか気づいていない。 「それ誘ってる?」  誘っていなくてももうこの状況に我慢はできない。返事を聞かずに俺は涼をゆっくりと床に押し倒した。

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