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第89話 光生side
てっきり勝手に押し倒した俺にいつもみたいに恥ずかしそうに怒ると思っていたのに涼はじっと俺の顔を見つめている。
「そんなに見られたら照れちゃうんですけど。」
こんな簡単に押し倒されて怒るどころか俺に心開いてますみたいな状況はやばい。
このままじゃ絶対に好き放題してしまう。さっき涼が俺にキスしてくれたみたいにその何倍も俺から涼にキスをしたい。でも途中でやめてと言われてもやめられる自信はないしもし嫌われたとしたら俺は生きていけない。
必死に自分をなだめ、ちゅっと1回キスをして俺は涼の横にゴロンと寝転がった。
「………光生のうそつき。」
突然声がして顔を向けると涼はこっちを向いていてなぜか口を尖らせて拗ねていた。
「え?なんで怒ってんの?」
「別に怒ってないし、もういーもん!」
いや明らかに怒ってるじゃん。俺なんかしたっけ?プイッと逆の方を向いてしまった涼を見ながら必死に考える。さっきまで俺が怒ってたのになんで次は涼が怒ってるんだ?てか俺のこと嘘つきって言った?
「りょーう。こっち向いてよ。」
逆方向を向いてしまった涼に近づき後ろから抱きしめる。
「…やだ。」
「えー、このままじゃ俺すっごい悲しい。なんで怒ってんの。」
俺が泣き真似をしながら聞くと優しい涼は答えてくれる。
「……この前電話した時、光生が言ったのに。」
「俺が?なに言ったっけ?」
電話の時といえば涼が1人でしていてかわいかった記憶しかない。
「…………テスト終わったらいっぱいちゅーするって光生が言ったのに!」
え、なにそのかわいすぎる発言。
俺の手をギュッと握り俺の方に向き直してくれた涼はまだ拗ねた顔をしていて小さな声でまた話しだした。
「いま1回しかしてくれなかった……」
怒った理由がそんなにかわいいなんて思っていなかった俺は勢いよくギュッと涼を抱きしめた。
「ん、ごめんね。テスト終わったらいっぱいキスするのも俺の家に泊まりに来る約束も覚えてるよ。」
「じゃあなんでしてくれなっ……んぅっ!」
俺は涼に覆い被さりキスをした。
「涼のことが大好きでかわいすぎて大切だからに決まってるじゃん。」
「……光生、、」
「でももう無理。涼がやめてって言っても俺の気が済むまでするから。」
俺が顔を近づけて話すと涼はいつもみたいに頬を赤く染め目を逸らした。
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