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第91話
「……はぁっ……っん…こうっ……」
舌を絡ませながらするキスは気持ちよくて思わず光生が着ているシャツをギュッと握ってしまう。
「ん、ちょっとだけこっち握ってよ。」
光生は顔を離しニコッと笑い片手を俺の前に差し出してきて俺はゆっくりと手を伸ばした。
「ふふっ、恋人つなぎしてくれるんだ?」
「…ん…光生の手あったかくて落ち着く……」
手を繋いで必死に呼吸をする俺をよそに光生の息は全く上がっていなくてなんだか悔しくなってくる。
「前にも思ったんだけど光生ってなんでそんなにちゅーするの上手なの?」
「ん?そう?」
光生しか経験のない俺ですらわかるくらいきっと上手なのにそんな自分に興味がないのかさっきから俺の手にキスしては繋いだ手を嬉しそうに眺めている。
「……今までいっぱい誰かとちゅーしてきた?」
自分でもめんどくさいのはわかっている。でもやっぱり慣れている光生に少し嫉妬してしまう。
「……え?もしかして妬いてる?」
光生はびっくりしたのか繋いでいた手を離し俺の顔をじっと見つめた。
「だって慣れてるし………俺とちゅーしてる時に前にした人のこととか…思い出したりする…?」
そんな重たい事を聞けば俺に跨っていた光生は「はぁ〜」と大きく息をはいて体の上に重なるように乗ってきた。
もしかしてこんなことを聞く俺に呆れてめんどくさくなったのだろうか。一気に不安になってきた。
「……ごめん…勝手にやきもちやいて…」
「………今の本当にかわいすぎて俺まじでやばいかも。」
「……え?」
突然光生はガバッと起き上がり俺の顔を両手で包み込むと今までのキスはなんだったのかと思うほど深くてとろけるようなキスをしてきた。
唇をちゅうっと吸われたかと思えば光生の舌が入ってきて息もできないほどずっと離してくれないその甘くて強引なキスに俺の頭はボーッとしてくる。
「……はぁっ……んんっ……っふ……」
さっきよりも長いキスについていけない俺はまたどんどん息が荒くなっていきそれに気づいた光生は唇を離した。
「ごめん、きつかった?大丈夫?」
はぁはぁ、と息をする俺を見て心配そうな顔をする光生は続きをしてくれない。
「……光生…もっとして……」
「ん、もうちょっと時間置いてからね。」
「…やだ!今すぐしたい…!」
そのわがままに光生は困った顔で微笑みながら俺を落ち着かせようと頭を撫でていて俺はその手を掴み口に持っていき光生の指を軽く噛んだ。
「なにそれ、かわいい。」
そんなことをしても光生は目を細めて嬉しそうに笑っていてわがままを言ったことに少し後悔してしまう。
「涼のわがまま大好き。もっと言ってよ。」
困らせてしまって落ち込んでいる俺の気持ちなどお見通しらしい。光生はいつだって俺の全てを受け止めてくれる。
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