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第101話 光生side
「……光生…背中トントンってして」
「ふふっ、今日の涼は甘えん坊だね。」
やっぱり好きな人に甘えられるのは嬉しい。
なにも喋らず涼の呼吸に合わせるようにゆっくり何度も背中をトントンとすれば顔をすりすりと擦り付けてくる。しばらくすると涼は体を少し起こし顔を上げた。
「ん?かわいい顔見せてくれるの?」
いつもならかわいいなんて言えば「かわいくない!」って怒るのにさっきまで落ち込んでいたからなのか今は黙ったままきゅっと唇を噛んで小さく頷くだけだ。
「ふふっ、じゃあ見せてくれたお礼に俺の秘密教えてあげる。」
「……秘密?」
不思議そうにする涼のほっぺたを両手で包んで顔を背けられないように固定する。
「俺本当は脚フェチじゃないんだよね。」
「……え?」
「さっきは涼の生脚だから興奮してただけで触りたいなって思ったの涼だけだよ。」
「俺だけ……?」
俺が涼にしか興味ないことなんて当たり前のことなのに目をパチパチさせて驚く涼を見て笑いそうになってしまう。
「そうだよ。他の人の脚なんか触りたいとか見たいなんて思ってないし、てか今までも思ったことないよ。それに俺だけがズボンを脱がせて見たり触っていい場所だと思うとこれからもっと涼の脚大好きになっちゃうね。」
「……ちょっと…恥ずかしいからストップ……」
顔を動かし俺の手から離れようとする涼を逃さないようさらにぎゅっと力を込めればおとなしくなるかわりに目を合わせてくれなくなる。
「ふふっ、かわい。照れてるの?」
「だってぇ…光生が変なこと言うから…」
「ねぇ、こっち見て。」
涼はゆっくりと俺を見て目を合わせてくれる。
「あと、誰かにすべすべで柔らかくて気持ちいいなんて言ったのも涼が初めてだから。今までしてきた女の子達に1回も言ったことないから安心してよ。」
脚にキスをしていたときに聞かれたことをニッとわざとからかうように笑いながら教えてあげると涼はどんどん顔を赤くする。その顔をひとりじめできているこの時間がたまらなく幸せだ。
「っっ!!さっき俺が聞いたときは答えてくれなかったくせに!!」
「だってやきもち妬いてる涼がかわいくて仕方なかったんだもん。」
「もうっ!光生なんか大っ嫌い!」
「えー、残念。さっきまで両思いだったのに。」
俺の手から顔を無理矢理離し体から降りればいつものように唇を尖らせて怒っている。こうなると俺のことで落ち込んで甘えてくる涼をもうちょっとだけ見ていたかった気もする。
「なんで笑ってんの!?」
そんなことを考えていたら無意識に顔が緩んでいたらしい。そんな俺を見て涼はさらに怒ったみたいだ。
「ふっ、別に。涼のこと大好きだなぁーって思ってただけ。」
離れて座っている涼の隣に座れば俺の体を押し返してくる。
「ちょっと、、近いって!」
そのまま涼の膝に頭を乗せて勝手に膝枕をすればすぐに脚を開かれ俺はゴンッと床に頭をぶつけた。
「痛っ!膝枕してくれたっていいじゃん。」
「やだ!恥ずかしい!」
「は?なんで?さっきあんなに恥ずかしいことしたのに?」
「だから嫌なの!なんかいろいろと思い出しちゃうからっ!」
それは遠回しにえっちなことをしたから俺のことを意識してますって言っているようなものだ。これはなんとしてでも膝枕をしてもらいたい。
「…あんなにいっぱいいろんなとこにキスしたのに大好きって伝わってないなんて超ショック…」
わざと悲しい顔をして落ち込むふりをすれば涼はあたふたと焦りだす。演技をするなんて我ながらせこいが今日だけは許してほしい。
「いや、伝わったって!充分すぎるくらい伝わったからっ!」
「えー、でも膝枕してくれないし……」
「…もぅ、わかったって、、膝枕するから!」
これでもかと目をうるうるさせれば涼は自分の脚をポンポンと叩き恥ずかしそうに「おいで」と言ってくれた。
「ふふっ、やった!涼大好き!」
遠慮なくゴロンと寝転ぶと目の前には俺の大好きな顔で微笑んでくれる涼がいて目を閉じるとそっと唇にキスをしてくれた。
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