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第102話

昨日はあれからしばらくして光生はご機嫌な様子で帰っていった。あんなに全身に優しくキスをされたのは初めてだった俺はキスをされるたびにどんどん心が満たされていく気がして正直すごく嬉しかった。恥ずかしいから光生には絶対に言わないけど。 今日は一緒に話しながらゆっくり学校に行きたくて早起きをがんばっていつも会う場所に行ってみる。 「もう学校行ったかな?」 俺がいつも朝起きられないから一緒に行く約束はしていない。いつも会う場所での時間は過ぎていて一応連絡しようかななんて思ってスマホを見ると体調が悪いから学校休むとメッセージがきていた。 「え、、大丈夫かな、、」 勝手に風邪を引きそうにないイメージを持っていた俺は一気に心配になるが遅刻しないようにとりあえず学校へ向かう。 「あ!さくらちゃん、おはよ!」 歩きだしてすぐに後ろから聞き覚えのある声がして振り返れば星くんが眠そうにあくびをしながら手を振っていた。 「星くんだ!おはよう!」 「今日は1人?めずらしいね!」 ニコッと笑う星くんは朝から爽やかだ。 「うん。光生が風邪で休むらしくて。」 「へぇ〜、イケメンな椎名くんでも風邪引くんだ!」 「え!俺も同じこと思ってた!」 星くんと考えていたことが一緒だなんてびっくりだ。おもしろいねと笑い合えば心配していた気持ちが少し落ち着いてくる。  「じゃあ一緒に学校行こうよ!」 俺の肩をポンッと軽く叩けばポケットに手を入れて先に歩いていく。その姿が様になっていてさらにスラッとしてスタイルの良い星くんはやっぱり目立つみたいだ。近くを歩いている女の子達はキラキラした目で見ている。 「さくらちゃんも学校休むの?」 そんな後ろ姿を立ち止まってボーッと見ていた俺に振り返って笑う星くんに慌てて駆け寄る。 「星くんと朝会うの初めてだね!」 「確かに!まぁ俺ほぼ毎日朝練あるからね!」 「え!?部活なに入ってんの?」 「ん?バスケ部!てか驚きすぎでしょ!」 星くんは大きい声で笑うと俺の顔を覗き込んでくる。 「意外だった?」 「んーん!背高いしスラッとしてるしすごい上手そう!」 「あははっ、めっちゃ褒めてくれてる!」 ずっと楽しそうに俺と話してくれる星くんは光生と似ている気がした。光生もいつも俺の話をニコニコした顔で聞いてくれる。 「今日の朝練は休み?」 「うん!1週間に1回だけ休み!放課後は夜まであるけどね!」 「わっ、すごいハードだ、、」 考えただけでもゲッソリしてしまう。 「あっ!今日の放課後軽くだけど練習試合あるから時間あれば観に来てよ!」 「えっ!?俺が行っていいの!?」 星くんがバスケをしているところは見たいけど、でも光生の事も心配だしどうしよう。いやでも俺が家に突然押しかけたところで迷惑になるだけかな、、。俺は必死に頭で考えるけど答えが全然出てこない。 「ふふっ、本当に気が向いたらでいいからね!」 考え込む俺に理由を聞くこともなく星くんは優しく笑いかけてくれる。 「まぁ、ちょっとだけでも観に来てくれたら本当はうれしいんだけど!」 星くんはニッと子供っぽく笑いながらそう言い残すと手を振って教室に入っていった。

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