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第138話 光生side

俺に向き合うように抱きついてきてさらにこんなに顔を近づけられてキスしないわけがない。頬に手を添えキスをすれば涼は嬉しそうに笑う。 「へへっ、光生がまたちゅーしてくれた!」 だからなんで今日はこんなに素直で甘えてくれるんだ。いつもツンツンしているくせにこうやって2人きりの時にしかも手が出せる状況でそんなふうにされると自分を抑えるのに必死になるから困る。 「………俺からしてもいい?」 ほらまたこうやって甘えてくるからずるい。 「ふふっ、涼からキスしてくれたらすごい良い夢見ながらぐっすり眠れそう。」 「……すぐにそうやって優しいこと言うのだめ…俺の心臓ずっとドキドキしちゃう……」 「あははっ、なにそれ!思ったこと言っただけじゃん!」 笑う俺に涼はゆっくりとキスをしてくれる。 「んっ……光生大好き……」 ギュッとさらに強く抱きついてくる涼に我慢できなくなりもう一度キスをしようと少し離れると、スーっとかわいい寝息が聞こえてくる。 「……は?なんでこのタイミングで寝んの?」 自分からキスをして満足したのか俺の気も知らずすやすやと気持ちよさそうに寝ている。中途半端にしたキスではもの足りなくなっていたのに涼の寝顔を見るとそれさえもどうでもよくなってくる。 「なんで寝顔までこんなにかわいいの。」 柔らかくて白いほっぺたに長い睫毛がきれいでさっきまでキスしていた唇なんてツヤツヤだ。思わずスマホで写真を撮ればそれは俺の宝物になる。 「ふふっ、ばれたらすっごい怒られそう。」 そんな姿が簡単に想像できるくらい俺はいつも涼のことを怒らせているんだと気づく。きっとついからかいたくなってしまうそのかわいい性格のせいだ。毛布をかければ無意識に擦り寄ってくるところも俺だけが知っていると思うとたまらない。 「……俺こんな状況で絶対寝られない。」 ずっと見ていられるかわいい寝顔で俺に抱きついて寝る涼は無防備すぎて愛おしい。ほっぺたを指でツンツンと触ると寝ているのに少し嬉しそうに微笑む涼に一瞬で心を奪われる。 「ふふっ、なんか良い夢でも見てんの?」 もちろん返事が返ってくることはないけどなぜか幸せな気分になる。涼のほっぺたも髪も全部柔らかくて心地良い。しばらく触っているとやっと眠たくなってくる。 「今日はいっぱいありがとね。おやすみ。」 今日だけでいろんな涼を見せてくれた事が本当に嬉しくてまた泊まりにきてくれないかななんて思いながら俺は目を閉じて眠りについた。

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