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第145話 光生side

「きっと寝坊してくるんだろうな〜。」 今日も俺は涼がいたらいいななんて思いながらゆっくりと学校に向かう。泊まりに来た日のことがずっと頭から離れなくて自分でも呆れてしまうけどあんなにえろくて甘えてくれる姿を見せられてしかもえっちだって最後までしたんだ。考えてしまうのもしょうがない。 「何さっきからニヤニヤしてんの?超きもい!」 聞き覚えのある声に横を向けば俺のライバルが現れる。 「うるさい。夢には教えてやんない。」 「はぁ?なんでよ!」 朝から大きな声で話す夢にいつもの俺ならイラっとくるけど今日ならなんでも許せそうだ。 「ふふっ、涼と俺だけの秘密だから。」 2人だけの秘密か欲しいと言ってくれたことも嬉しいしその後なんて恥ずかしがりながらあんな姿を見せてくれたんだ。俺だけが特別なんだと思うとどうしようもないくらい嬉しい。 「なにそれ!さくらちゃんのこと自分だけのものって思ってるでしょ!?」 「は?そりゃそうでしょ。きっと夢のことなんか涼の視界にすら入ってないね。」 キスマークだっておそろいにしてくれたんだ。制服で隠れるところにつけてくれたのも涼らしくてたまらない。 「あっ!夢ちゃんだー!おはよう!」 後ろから俺の大好きな声がして振り向けば遠くから涼が走ってくる。 「きゃー!おはよー!さくらちゃーん!」 ブンブンと手を振る夢を睨めばドヤ顔で俺のことを見てくる。 「私の名前だけ呼んでくれるなんてさくらちゃん本当に大好き!椎名は呼んでもらえなくて残念だったね!」 夢はいちいち腹が立つことを言ってくる。えらそうにしているところなんて昔から変わらない。 「今日は朝練休み?」 そばにきた涼は息を切らしていてそれだけでえろく見えてしまう。その姿にまたいろんなことを思い出してきて触りたくなれば夢が邪魔をしてくる。 「うん!さくらちゃん一緒に学校行こうよ!」 「行こ行こ!あっ!光生も行こ!」 「あっ!」ってついでに挨拶しましたみたいなの地味に傷つくんですけど。やっと名前を呼んでくれたと思ったのに一瞬目が合っただけですぐに夢と楽しそうに話をしていてなんとなくむかつく。 「あーっ!!さくらちゃんに夢ちゃんに椎名くんもいる!」 次は一体なんだと思えば星くんが駆け寄ってくる。なぜ俺はライバル達と一緒に学校へ向かっているんだ。 「あははっ!星くん朝から元気だ!」 楽しそうに笑いながら俺の前を3人で歩く姿に複雑な気持ちなのに当の本人は全く気づいていないらしい。それが俺の傷を尚更にえぐってくる。 「せっかく涼と2人きりで学校に行けると思ったのに……」 つけてくれたキスマークを服の上からそっと触れると少しだけ心が落ち着いてくる。すると後ろを振り返った涼は俺のところへ走ってきて隣に来たかと思えばいつもより少し距離を離して歩く。 「……光生おはよ…」 なぜか顔を赤くし俯く涼はチラッと見上げた後すぐに視線をそらす。 「ん?おはよ。」 横を歩く涼を覗き込んでもなかなか目を合わせてくれず黙ったままだ。 「ふふっ、どうしたの?」 きっと聞いたところで教えてくれないだろうななんて思っていると今度はいつも以上に近づいてくる。 「……なんか…その…泊まったときのことたくさん思い出しちゃって……」 「…え?」 予想が外れ突然のことに聞き返すと涼は俺の袖を小さくギュッと握る。 「……いや、だから……いっぱいえっちしたこととか………」 なんだこれは。かわいすぎて心臓が止まるかと思った。夢たちには聞こえないように小さな声で話すところも照れている顔も声も全てがかわいすぎる。 「帰ってからもずっと頭から離れなくて……だめだ、しばらくは光生の顔見れない!」 涼はそう言って走って夢と星くんのところへ戻って行った。 「……今のなに?かわいすぎない?」 俺のことを意識してくれていることがわかれば、さっきまでの複雑な気持ちなんてどこかに行ってしまう。星くんと夢に挟まれて歩く涼も俺のものだと思うとその姿を後ろから見ながら学校に行くのも案外悪くない。むしろ2人のライバルに勝った気がして朝から良い気分だ。

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