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第168話 光生side
「それにしても食べすぎじゃない?」
ハンバーグに唐揚げにデザートまで注文する夢は相変わらず大食いだ。
「いいじゃん!おなかすいてるんだから!」
すぐに怒るところなんてかわいさのかけらもない。
「はいはい、どーぞたくさんお食べください。」
「なにその言い方!すごいむかつく!これがさくらちゃんだったら絶対デレデレしてるくせに!」
そんなの当たり前だ。涼ならすぐに怒るところもご飯をいっぱい食べるところもかわいくて全部許すに決まってる。だめだ、そんなことを考えだしたら余計会いたくなってきた。
「今ごろ星くんとゲームして楽しんでるんだろうなぁ〜。」
ぼんやりと窓の外を眺めたところでなんの気晴らしにもならない。
「そんな心配ならさくらちゃんに連絡したら?」
「連絡したいけど昼休みに涼のこと傷つけちゃったんだよね。勝手に嫉妬して怒って涼に勘違いさせて謝らせて、、あんな顔させたくなかったのに。」
「ふふっ、椎名って本当人間らしくなったよね!」
「は?今の俺の話聞いてた?」
どんな感想だよとつっこみそうになるけどまた怒りそうだしやめておこう。
「さくらちゃんも椎名のこと怒らせちゃったってきっとすごく気にしてるんじゃない?」
「はぁ〜、そんなこと涼に気にさせて最低じゃん。俺まじでダサくない?」
「うん、まじでダサい!だから早くさくらちゃんに謝りなよ!」
こんなことになるなら学校で首元にキスをしなければよかった。でも星くんの家に行くんだしキスマークぐらいつけさせてほしい。
「椎名もなんか食べれば?」
そんな俺の悩みなんてまるで興味ないらしくバクバクと食べながら呑気にそんなことを言ってくる。
「この状況で食欲なんか全くない。」
ジロッと夢のことを睨めば鼻で笑われ尚更イラッときてしまう。
「私に八つ当たりしないでよね!」
「いいじゃん別に。夢にしかこんな話できないんだし。」
なんだかんだ言っても俺のことを理解してくれて話しやすくて涼には見せられないかっこ悪いところも見せられる夢は1番の友達だ。
「ふふっ、椎名もかわいいところあるじゃん!」
「は?なにそれ。すっごいバカにされてる気分になるんだけど。」
前言撤回だ。いちいちムカつくことを言ってくる夢なんて友達でもなんでもない。
「じゃあ奢ってくれるお礼に良いこと教えてあげる!この前バスケしてるところ見てたときさくらちゃん椎名のことかっこいいって言ってたよ!星くんもいたのに椎名のことばっかり見てたし!」
「……それもっと早く教えてくれない?」
「だってさくらちゃんに内緒って言われてたしー!教えてあげただけでも感謝してよね!」
相変わらずのテンションでパクッと唐揚げを食べる夢にむかついて1つ横取りすればまた大きな声で怒ってくる。結局俺の話なんて強制的にすぐに終わらせられそれからずっと夢の彼氏の話を聞かされ続けた。
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