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第169話 星くんside

「星くん!そんな遠いところ座ったら一緒にゲームできないじゃん!」 さくらちゃんは体がくっつくくらいまで近寄ってくる。きっと無意識なんだろうけど椎名くんはこういうところが心配でしょうがないんだろうなと思う。 「勝てそう?さすがのさくらちゃんでも何回もしたんだし1回でクリアなんて難しいよね!」 距離の近さに平常心を保つことに必死な俺はちゃんといつも通りにできているのだろうか。でもさくらちゃんは鈍感だし俺の気持ちになんて気づかないだろう。 「うーん、、もうちょっとでいけそうなんだけど、、」 ゲームに集中しているさくらちゃんの横顔は真剣で俺のためにここまでしてくれることが嬉しい。 「星くん!あと最後の一撃で勝てる!」 ボーッとさくらちゃんを見ていると突然ゲーム機を渡される。全部してくれていいのに最後は俺にさせてくれるところなんて健気でたまらなくかわいい。 「がんばって!負けてもいいからね!」 「あははっ、俺だってそこまで下手じゃないんだけど!」 本当は何回かすれば俺でもクリアできるんだろうけどさくらちゃんを独占したくてゲームを手伝ってほしいと少しだけ嘘をついて家に呼んだ。 「あーっ!!星くん勝ったよ!!すごい!!」 ゲームに勝てば俺以上に喜んでいるさくらちゃんはハイタッチを求めてくる。この前の試合の時も思ったけどさくらちゃんの手は白くてスベスベでずっと触れていたくなる。それでもすぐに離されてしまった手に少し安心してしまう。このままではいろいろと我慢できなくなりそうだしきっと無理矢理にでも触ってしまう。 「次のステージ帰ったら一緒に通信しようね!」 ニコッと笑いかけてくるさくらちゃんを見れば首元のキスマークが目に入る。椎名くんのことが嫌いなわけではないけど俺に見せるためにわざわざつけたんだと思うとやっぱりムカつく。 「星くんいっぱいバスケで優勝したんだね!トロフィーも賞状もすごい!」 さくらちゃんはそんな俺に気づかず目の前の棚を見上げ微笑んでいる。 「俺がというよりチームのみんながすごいんだけどね!」 「んーん!試合の時星くんが1番上手だった!」 「だからそれはさくらちゃんが観に来てくれてたからだって!」 少しでもすごいって思ってほしくてどれだけ必死に頑張ったかなんて言えない。 「1ヶ月後に大事な試合があるんだけどそれまでの練習さくらちゃんが毎日来てくれたらいいのに!そしたらシュートすごい決まりそう!」 そんなことを言ったところで無理だとわかっているしさくらちゃんを困らせるだけなのに少しだけ期待してしまう自分がいる。 「俺でよければいつでも行くよ!」 「……え?」 絶対に椎名くんのことを優先するとわかっていたから半分冗談で言ったのにまさかの返事に固まってしまう。 「他の部員の人たちも友達になってくれたしバスケ部のみんな大好きだもん!」 ニコッと笑いながらそう言って床に転がっていたボールを触るさくらちゃんに嬉しくなり気づいた時には抱きしめていた。 「え!?星くん!?」 すぐに我にかえり勢いよく離れればさくらちゃんは体勢を崩し床に寝転ぶ。 「あははっ!ごめんね、ほら起きて!」 「ごめん、、なんか雑誌の上に寝転んじゃった、、」 その雑誌を手に取るさくらちゃんは表紙を見るとみるみる顔を赤くする。 「ん?なに?」 「星くんってこんなえっちな雑誌見るの!?」 目をギュッとつぶり雑誌を俺に押しつけてくる。 「え?あぁ、これ友達が置いていっただけだよ!」 そういえばそんなものがあったことを思い出す。中身なんて特に興味もなく放置したままだった。 「見たいならさくらちゃんにあげるよ!」 「い、いらない!!見たくないもん!」 「あははっ、そんな否定されたら余計に怪しいんだけど!」 なんでこんなにかわいい反応をするんだろう。ついからかいたくなる。 「じゃあ一緒に見る?俺もまだ見てないし!」 首を横に振るさくらちゃんはなにも話してくれなくなってしまった。雑誌をパラパラとめくって適当に選んだページを見せる。 「こういうの興奮しない?」 下着姿の女の人の写真を見せれば顔をそらされてしまった。 「全然しない!!そんな写真で興奮するの星くんだけだもんっ!!」 なかなかひどいことを言うさくらちゃんの頭の中はいっぱいいっぱいらしくそんなかわいいところに興奮してしまう。 「さくらちゃんはこういうの見て1人でしないの?」 恥ずかしがるところをもっと見たくてさっきよりも過激なページを見せれば顔を真っ赤にして全力で首を横に振っていてたまらない。

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