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第193話 光生side

「あっ、星くんだ!」 学校に着くと体育館でバスケ部が朝練をしていた。チラッと覗く涼は星くんに手を振っていて楽しそうだ。 「邪魔しちゃだめだよね!光生、教室行こ!」 すぐに振り返り俺のことを見てくれるからなんとか心は保てていたのに嬉しそうに星くんがこちらに向かってくる。 「さくらちゃんおはよ!」 「わっ!びっくりした!おはよー!」 声をかけられるまで気づかなかった涼は星くんのことをバシバシと叩く。 「いるなら言ってよ!朝から心臓飛び跳ねたじゃん!」 「あははっ、そんなに驚くと思ってなかったんだって!」 目の前でイチャイチャしだす2人にさっきまで幸せだった俺の朝は一気に暗くて楽しくない朝へと変わる。 「さくらちゃんなんかすごいいい匂いする!」 「え?そう?さっきお風呂入ったからかな?」 そんなことを星くんに教えれば絶対想像するから簡単に教えないでほしいのに鈍感な涼は気づかない。 「髪の毛少し濡れてるじゃん!なんかえろい!」 ほら言った通りだ。絶対えろいこと考えると思った。涼がお風呂に入ってる姿なんて想像するに決まってる。 「え、えろくないよ!!なに急にっ!!」 そうやってすぐ焦るところもかわいいと思っているに違いない。余裕のない俺は涼の腕を引っ張り星くんから引き離す。 「わっ!光生?教室行くの?」 「そうだよ。バスケ部の練習の邪魔しちゃ迷惑でしょ。」 なんで俺はこんなひどい言い方しかできないのだろう。 「そっか、、そうだよね、、星くんごめんね!またね!」 少し残念そうな顔を一瞬見せた涼に気づかないふりをしてグイグイと引っ張りいつもお昼ご飯を食べる場所へと連れて行く。 「光生?教室行かないの?」 不思議そうにする涼に持ってきていた香水を振りかける。 「わっ!!光生?」 「涼はいつも危なっかしいから。」 「え?俺?どういう意味?」 なんでこんなことをしているのかすら知らない涼はもういっそのこと何も知らなくていい。自分の香水をかけマーキングみたいなことをして独占欲しかない俺の歪んだ感情なんて知ればきっと引かれてしまう。 「俺のものって意味。」 学校では触らないと決めた俺は頭を撫でかけた手を止める。危ない、このまま触っていたらまた怒らせてしまうところだった。 「光生のばか………」 それなのにその手を掴み涼は自分の心臓へと当てる。いつもより速い心臓の音に俺までドキドキしてくる。 「こんなに近くで光生の匂いしてたら1日中ドキドキしちゃうじゃんっ!!なんにも集中できなくなるしそれに、、」 突然怒りだした涼は言いかけた言葉を教えてくれない。 「それに?」 気になって聞き返せば握られていた手は涼のズボンの上に移動する。 「………また勃っちゃったじゃん、、」 「……え?」 涼のものはズボン越しからでもわかるくらい勃っていて一瞬何も考えられなくなる。そもそも学校で触っていいならいいともっと早く教えてほしい。 「……朝だってえっちなことしてきたし今だって光生のせいだもん、、もう知らないっ!!」 怒りながら早歩きで教室へと向かって行く涼の後ろ姿を見ながら俺はその場に座り込む。 「………なに今のすごいかわいい。」 ただ星くんのことを考えてほしくなかっただけなのに俺のことを意識していることを教えてくれるなんてやっぱり今日は良い朝だ。

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