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第200話

「いつまで怒ってんの?ほらもう戻るよ。」 すぐに光生とは仲直りできたけどまだ肝心なことは何も片付いていない。 「……光生の誕生日今日なのに、、」 「ふっ、まだそのことに怒ってたの?」 まだってなんだ。それに星くんのことだって光生は何も言ってこないけど俺はどうすればいいのかわからない。 「ふふっ、なに?他にもまだ考え事?」 なんでそんなに笑っていられるんだ。さっきまでの光生とは大違いだ。 「……光生は星くんとのこと怒ってないの?」 「あぁ、俺の前で抱きしめられて好きなんて言ってしまいにはキスされたこと?」 「…………そんな細かく言わないでよ、、」 あっけらかんとしている光生は気にする様子もなく俺の横に座ったかと思えば頭を撫でてくれる。 「ごめんね。あの時怖い思いさせちゃったね。」 だめだ、こんな急に優しくされると胸が苦しい。 「怒ってはないけど本当はすっごい嫉妬してるよ。もう誰にも涼のこと触らせたくないくらい。」 「……光生ごめんね、、俺今度からちゃんと気をつけるから……」 きっと逆だったら俺は絶対に怒っていた。光生が誰かとキスするところなんて絶対に見たくない。 「で、星くんにはキスさせて俺とはしてくれないんだ?」 唇を撫でてくる光生はやっぱり怒っている気がする。 「……光生からちゅーしてほしい、、」 星くんがしたキスを光生のキスで上書きしてほしいなんて乙女なことを本当は思っていてでもそんなことを言うとからかわれそうで言えない。 「ふふっ、じゃあ俺のことしか考えられなくなるくらいしてあげる。」 俺が思っていることなんてやっぱりお見通しらしくすぐに触れた唇は優しくて温かい。 「んっ……はぁ……光生っ………」 息をするタイミングも与えてくれないくらいキスをされ気持ちよくなっていた時、足音が聞こえてくる。 「こうぅ……まって……誰か来てるからっ…」 必死に体を押して離そうとしても全く動かない。 「いいじゃん、見せつけてやれば。」 いや、絶対によくない。足音はすぐ近くまで来ているのに光生はさっきよりも激しいキスをしてくる。 「んぅう…!!光生のばかっ!!」 頭をゴツンと殴り精一杯の力で押し返せば光生はその反動で後ろに倒れてしまったけど今はそんなこと気にする余裕もない。 「あらっ!佐倉くんと椎名くんこんなところでおサボり?」 「しょーこ先生!!」 どうやらしょーこ先生の足音だったらしい。手には草抜きを終えたゴミ袋をたくさん持っている。 「先生俺が全部持つ!!一緒に捨てに行こう!」 「あらあら、佐倉くんは本当に力持ちね!いつもありがとう!」 しょーこ先生が笑ってくれると俺は嬉しくなるからゴミ袋を全部奪い取る。 「うふふっ、椎名くん邪魔しちゃってごめんなさいね!」 光生になぜか謝っているしょーこ先生は楽しそうだ。 「翔子先生だから特別に許してあげる。」 光生は何を許すのだろう。ていうか、なんて偉そうな態度なんだ。 「しょーこ先生早く行こー!光生はそこで待ってて!」 「あらあら、そんなに急いだら危ないわ!」 「大丈夫だってー!しょーこ先生早くー!!」 「はいはい、すぐ行くから!」   いつだって俺はしょーこ先生の役に立ちたい。光生を置いて一緒にゴミ捨て場に向かう。

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