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第201話 光生side

「で、いつから聞いてたの?」 途中で壁の向こうに星くんがいることに気づいていた俺は涼と翔子先生がいなくなったタイミングで話しかける。 「ふふっ、気づいてたんだ。さすが椎名くん。」 星くんは俺の横に座った。 「さっきはごめんね。」 「謝る相手間違ってない?俺にじゃなくて涼にでしょ。」 「ふふっ、そうだね。でも椎名くんもごめんね。」 俺だって星くんが悪い人じゃないことくらいわかってる。きっと謝りに来たら俺と涼が話していたから入ってこなかったんだろう。 「羨ましかったんだよね。さくらちゃんの頭の中は椎名くんでいっぱいで話しかけても上の空で。気づいたらあんなことしてた。」 「ふっ、そうでもないよ。涼はいっつも星くんの話してる。遠いところからシュート決めてたとかいつもゲームが強くて通信してくれた時にはピンチになると絶対に助けてくれるとか。」 「あははっ、そんなこと今言われたら余計に後悔ばっかりになる!」 きっと星くんなりにいろいろと考えていたんだと思う。涼のことを傷つけた事をすごく後悔しているように見える。 「さくらちゃんに悪いことしちゃったな。友達と思ってくれてたのに。」 「本当だよ。涼は言ってないだけで星くんのことすごい気にしてる。」 正直さっきからずっと心配だった。涼は友達として大好きだった星くんにもう今までみたいに接することができないと絶対にショックを受けている。 「……ねぇ、星くんにお願いがあるんだけど。」 「ふふっ、きっと俺と椎名くん同じこと考えてると思うよ。」 「ふっ、そう?それならよかった。」 星くんには今まで通り涼と仲良くしてほしい。 「友達として好きだって言ったことにしてほしいんでしょ?そうすれば前みたいに戻れるから。」 「うん。まぁ涼がどこまで信じてくれるかわからないけど。」 こんなことを頼むのは星くんに失礼だとわかってる。でも他に方法が見つからない。 「気にしないでよ。椎名くんに頼まれたからするんじゃなくて俺がそうしたいからするんだよ。」 そんな俺の気持ちに気づいているらしくフォローしてくれるけど本当は内心どう思ってるかなんて星くん本人にしかわからない。 「でもいいんだ?俺がさくらちゃんのこと好きって知っててまた仲良くしても。」 「涼が元気ないのが1番嫌だからね。きっと星くんと話せなくなったら涼はずっと落ち込んだままだから。」 「あははっ、椎名くんは本当にさくらちゃんのことばっかり!最初から2人の中に入る隙もなかったってことか。」 遠くを見て寂しそうに笑う星くんはきっと今、涼のことを思い出しているんだと思う。 「あっ、、星くん、、」 翔子先生と帰ってきた涼は星くんを見つけ気まずそうにしている。 「あらあら、星月くんまでサボりね!私は草抜きに戻るから3人とも他の先生にバレないようにね!」 そう言って翔子先生が帰って行く姿に涼はさらに不安そうな顔をする。 「さくらちゃんさっきはごめんね!きっと誤解してると思って謝りに来たんだ!」 「……え?誤解って?」 さっきまで寂しそうにしていた星くんは一瞬で切り替えたのかすごい演技力だ。 「俺、さくらちゃんのこと友達として好きって言ったんだよ!そしたら焦ってる姿がかわいかったから、からかいたくなってついやりすぎちゃった、、本当にごめんね!」 「……そうなの?わっ、ごめん!俺がすごい勘違いというか早とちりして、、きっと星くんにひどいこと言ったと思う、、俺の方こそ本当にごめん!」 慌てて何度も謝る涼はうまく騙されてくれたらしい。ホッとしている星くんは俺を見てニコッと優しく笑った。 「んーん、俺が全部悪いから気にしないで!キスまでして傷つけてごめんね、、」 首を横に振る涼はやっぱり星くんのことが大好きみたいだ。 「あの、、星くん、、」 涼は不安そうに星くんの名前を呼ぶ。 「ん?なに?」 「………俺とまたゲームの通信してくれる?」 恐る恐るそんなことを聞く涼のことをきっと星くんはかわいいなって思ってるに違いない。だって横で見ている関係ない俺までかわいいと思ってるんだから。 「うん!当たり前じゃん!ピンチになったら助けに行くし回復薬もあげる!」 「じゃ、じゃあ、、星くんがバスケしてるところもまた見てもいいの?一緒にまたあのおいしいクッキーも食べてくれる?」 おいおい、それは聞いていない。おいしいクッキーって何の話だ。しかもそんな上目遣いで星くんのことを見るなんて絶対に許さない。 「あははっ、さくらちゃんかわいい!バスケなんて毎日見に来ていいしクッキーも一緒に食べるしいつでも家に来てまたあのえっちな雑誌見てもいいよ!」 「っっ!!あの雑誌はもう見ないよっ!!」 俺はそこまでイチャついていいとは絶対に言っていない。しかもあのえっちな雑誌ってなんだ。まさか最近涼が気にしていたことに関係あるのだろうか。俺の知らない話ばかりする2人にだんだんイラついてくる。

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