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第202話
「じゃあ俺先に戻るね!さくらちゃんまたね!」
俺はすごい勘違いをしていたらしい。あの時は急に抱きしめられてテンパっていたけど冷静になってよく考えてみれば俺なんかを恋愛対象として見るはずがない。
「うん!星くんまたねー!」
帰っていく星くんに手を振ればいつもの笑った顔で振り返してくれる。
「ねぇ、えっちな雑誌ってなに?あとおいしいクッキーも。」
不機嫌な声がする方を向けば俺のことを睨んでいる光生と目が合う。
「んふふっ、秘密!光生には教えてあげない!」
星くんとまた元通りになれた事が嬉しくてご機嫌な俺は睨んでくる光生のことなんて全然怖くない。
「なにそれ。てか星くんと仲直りできたからってご機嫌になりすぎじゃない?」
「えー?だって星くんのこと大好きだもん!」
「あっそ。今日は俺の誕生日なのに星くんと仲直りできたことのほうが嬉しいんだ?」
そうだった。今日は光生の誕生日でそれを教えてくれなかったことに怒っているんだった。いろんなことがありすぎてすっかり忘れていた。
「俺、光生の誕生日のことまだ怒ってるから!」
「ふふっ、じゃあ今日家来る?きっと夜ご飯ごちそうだよ。」
「え!?俺なんかが行っていいの!?」
本当はもう怒っていないのに変に気をつかわせてしまったかもしれない。
「当たり前でしょ。それに母さんも莉緒もあれから毎日のように涼に会いたがってるし来てよ。」
「行く!!絶対に行く!」
そんなことを言われるとさっきまでの暗くどんよりした気持ちなんてどこかに行ってしまう。
「あっ、でも今日は莉緒たちがいるからえっちするときはいつもみたいにかわいい声出しちゃだめだよ。あれ聞いていいの俺だけだから。」
「っっ!!しないよっ!!今日は絶対にしない!!」
「は?なんで?俺の誕生日なのにしてくれないの?」
いやいや、さっきまで自分の誕生日なんて忘れていてなにも興味なかったくせに。
「昨日たくさんしたし莉緒ちゃんたちがいる時にできるわけないでしょ!!」
「いや昨日は昨日だし、涼が声出さなかったらいいだけじゃん。」
拗ねる光生はやっぱりかわいい。そんなことを言えば怒りそうだから言わないけど。
「……俺、絶対声出ちゃうから無理だよ、、」
光生とのえっちは気持ちよすぎて我慢していても勝手に声が出てしまう。
「だから今度2人きりの時にいっぱいしよ…?」
チラッと光生を見ればなぜか照れた様子で顔を両手で覆っている。
「……わかったけど、涼がかわいすぎてどうしよう。」
なんだそれは。よくわからない光生なんて放置して草抜きに戻ろう。
「俺、しょーこ先生探して一緒に草抜きするからね!光生はまだそこでサボってていいよ!」
「は?いいわけないでしょ。俺も行くから。」
まったく光生は機嫌が良いのか悪いのかわからない。でもそんなところが今日も大好きだ。
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