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第218話

あれからなんとか光生を説得して1人でお風呂に入ってもらったけどきっとすぐには機嫌を直してはくれないだろう。 「うぅ……どうしよう……」 湯船に浸かりどうやって機嫌を取るか1人で考えるけど何も思いつかない。こんな時にマイケル先生がいてくれたらいいのにスマホを置いてきたし今まで見てきた動画でできそうなことを必死に思い出す。 「……そうだ、、俺が光生にえっちで気持ちいいことをもっとしてあげればいいんだ、、」 マイケル先生が言ってた。いつもしてもらってばかりではだめだって。それに誕生日のお祝いなんだから俺が気持ちよくさせてあげなくてどうする。そう意気込んでお風呂場を出たものの夢ちゃんがくれた下着を手に取ればやっぱり不安になる。 「夢ちゃん…さすがにこれはだめな気がする…」 黒いレースのスケスケな下着を履いてみれば思ったよりも小さくて俺のものは今にもはみ出そうだ。上なんてどうやって着るのかわからないキャミソールみたいなものは生地がペラペラで裸でいるよりも恥ずかしい。 「いくら光生でもこれは引くかもしれない…」 俺なんかが着るとただの変態だからやっぱり脱ごう。また今度の機会にでもと思っていたらトントンとドアが鳴る。 「ドライヤー取るから開けていい?」 いやなんでこんなタイミングで来るんだ。 「だ、だめっ!!ちょっと待って!!」 だめと言ったところで光生は絶対に開けてくる。慌ててスウェットを着たから結局下着を脱げなかった。そしてやっぱりドアはすぐに開いた。 「なんでそんな焦ってんの?」 まだ不機嫌なままの光生はドライヤーを取ると俺の後ろに立つ。なんとかギリギリ間に合ったけどいつもと違う下着に違和感しかない。 「え!?焦ってない、焦ってないっ!!」 「ふふっ、変なの。でもちょうどよかった、お風呂上がったなら涼から乾かそうね。」 だめだ。怒っているはずなのにやっぱり優しすぎる光生に早く本当のことを言いたい。ていうか距離が近いしなんだか緊張してしまう。 「おなかすいたね。今、ご飯温めてるからもう少し待ってて。」 光生のお母さんは今日も豪華なご飯を作ってくれていた。それを俺がお風呂に入っている間に温めてくれている優しさに心がズキズキと痛くなる。 「光生ありがとう、、」 「ん。今日も涼の好きな唐揚げだったよ。」 結局光生は何事もなかったかのように優しくしてくれる。それなのに俺はお風呂に一緒に入らないなんて言ってまた傷つけてしまった。 「光生……ごはん食べたらベッド行こ……」 「ふふっ、それは俺のこと誘ってる?」 ニコニコと笑いながら乾かしてもらったばかりの髪を撫でてくれる光生はあまり本気にしていないみたいだ。 「……うん、誘ってる、、」 冗談でこんなことを言うわけがない。手を握り目を見つめれば光生は急に真剣な顔になる。 「ねぇ、やっぱり涼と今すぐにしたい。だめ?」 全然だめじゃない。夢ちゃんを信じてこの下着で光生にいっぱい喜んでもらうんだと心に決めた俺はそっと頷く。 「うん、いいよ……俺もしたい…」 それなのにそう言った瞬間に俺のお腹はグーッと大きく鳴る。 「あははっ!やっぱりご飯食べてからだね!」 なんで俺はこんなにも失敗してばかりなんだ。大爆笑する光生は俺のことをまた優先してくれる。 「ごめんね、、今すぐしたいってせっかく言ってくれたのに、、」 「ふふっ、もう謝るの禁止ね。涼は何も気にしなくていいよ。」 ほっぺたをスリスリと撫でてくれる光生と目が合えばフワッと笑ってくれる。 「それに俺、楽しみは最後まで取っておくタイプだから。」 光生のことだからそんなことは絶対にない。いつも好きな食べ物を1番最初に食べることを知っているしめんどくさいことは後回しでしたいことだけを1番にしている。それなのに今日も俺のために優しい嘘をついてくれる。

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