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第230話
「ふふっ、さっきまで俺の入ってたからまだ柔らかい。」
そんなことで喜んでくれる光生は何回イってもずっと硬くて熱いままでどれだけ体力があるのか謎だ。
「………光生って1人でしないの?」
「ふふっ、なんで?するでしょ。」
「だ、だっていつもいっぱいしたがるし、、それに今日もまだ勃ったままだから、、もしかして溜まってるのかなって思って、、」
なんか急に俺でちゃんと発散できてるのか心配になってきた。光生みたいに気持ちよくさせるテクニックもなければ何の色気もない体だしこんな俺に満足できているのだろうか。
「ふっ、涼と一緒にいるからこうなってんの。」
ほっぺたを撫でてくれる光生は俺のことを愛おしそうに見てくる。その顔を今まで他の人にも見せて甘い言葉を言っていたんだと思うとやっぱり嫉妬してしまう。
「ねぇ、俺の形覚えた?」
そんなモヤモヤした心に気づいていない光生は呑気にそんなことを聞いてくる。
「……光生のしかわかんないっ……」
光生しか経験のない俺は全部教えてもらってばかりだ。過去に嫉妬したってしょうがないことはわかっているけど一度気になると永遠に考えてしまう。
「ふふっ、どうしたの。なんか嫌だった?」
その優しい顔も声も俺だけのものになればいいのに。そんなめんどくさいことを思ってしまう俺は無言で頷くとすぐに温かくて大好きな手で顔を包んでくれる。
「ごめんね。俺、好きな人とえっちするの涼が初めてだから上手にできなくて。」
ほっぺたを指でスリスリと擦り心配そうに見つめてくる光生は絶対に勘違いをしている。それに今の言葉に胸が苦しくなるほど嬉しくなり涙が溢れてくる。
「ん、ごめんごめん。嫌だったね。」
何度も謝る光生に俺は何度も首を横に振る。
「っ……違うっ……他にもこんな光生のこと知ってる人がいるって思ったら嫌になったの……」
「……こんなって?どんな?」
「…全部っ……優しい顔も気持ちよさそうにしてる所も愛おしそうに見てくるとことかっ…甘い言葉も仕草も体温も全部……」
理不尽に怒っていることは十分わかってる。相手は超がつくほどのモテる光生だし俺のことを好きでいてくれることだけでも奇跡だってことくらいわかってる。
「え?それが嫌だったの?」
「だって…俺だけが知ってたいのに…今まで何人も見てきた人がいるの嫌なんだもん……」
それがなんて軽く受け止める光生は俺がどれだけ悩んでいるかなんてきっとわかってない。こんなことをしてきた今までの女の子のことは忘れたといつも言ってくれるけどただ優しさで言ってくれているのかもしれない。
「ふふっ、今まで1番嬉しい誕生日プレゼント貰っちゃった。」
涙を拭いてくれる光生はよくわからないことを言っていて誰が見てもわかるくらいご機嫌だ。ていうか重大なことを忘れていたことに光生の言葉で思い出す。
「あーっ!!光生に誕生日プレゼント渡すの忘れてた!!」
「え?買ってくれてたの?」
「うん!この前夢ちゃんと一緒に遊んだ日あったでしょ?その時に買ったんだ!」
今日は2人きりだしえっちな下着のことで頭がいっぱいいっぱいだった俺が情けない。
「……だから俺も一緒に行くって言ったときだめって言ったの?」
ほっぺたを撫でてくる光生は申し訳なさそうに聞いてくる。
「うん、内緒にしたくて、、でも俺上手に嘘つけなくて勘違いさせてごめんね、、」
「いや俺の方こそごめん。あの時ひどいことばっかり言ったと思う。」
「んふふっ、どちらかと言うと俺より夢ちゃんにひどいこと言ってたよ!」
今日が幸せなのも全部夢ちゃんのおかげだ。早く今日のことをいっぱい話したくてしょうがない。光生が喜んでくれたって言えばきっといつものかわいくて自信満々な顔で笑ってくれるに違いない。そんなことを思っていたら涙はいつのまにか止まっていた。
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