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第250話 光生side

家を早めに出ていつも涼と会う場所に向かう。きっと寝坊してくるだろうけどギリギリまで待ってみよう。 「椎名じゃん。こんなところで何してんの?」 いつもなにかと俺の前に現れてくる夢が今日は神様に見える。 「ねぇ、夢って雨降らせることできんの?」 あんなに晴天だったのに雨が降りそうと言った夢の言葉通りになった。おかげで最高な1日で感謝せずにはいられない。 「は?何言ってんの?急に怖いんだけど。」 「今日も土砂降りにしてくれない?雷もすっごい鳴るくらいの。」 「あんたついに頭おかしくなったんじゃない?本当に病院行ったほうがいいかも!」 嫌味のように肩をポンポンと叩く夢は何か思い出したのか鞄をゴソゴソとあさる。 「そういえばこれもらったけどいらないからあげる!椎名甘いの好きでしょ?さくらちゃんと一緒に行けば?」 そう言って何かの紙をくれた夢は早足で学校に行く。きっとマネージャーの仕事があるのだろう。 「光生!おはよ!」 突然後ろから大好きな声が聞こえ振り返れば俺の大好きな人がいる。 「おはよ。今日は寝坊しなかったんだ?」 「うん!光生と一緒に学校に行きたかったから、がんばって起きた!」 なんだそれは。最近ずっと幸せすぎてなにかとんでもなく嫌なことが起こりそうで逆に怖くなってきた。 「あぁー!!光生それどうしたの!?今日オープンするクレープ屋さんのチラシ!」 「え?これ?」 そういえば夢がくれたんだった。どうやら学校の近くにオープンするらしい。 「なに?有名なの?」 「光生知らないの!?すごい流行っててテレビでも最近やってたじゃん!」 今日もいつも通りにかわいい涼はドヤ顔で教えてくれる。 「そうなんだ。夢がいらないってチラシくれたけど今日行ってみる?」 「行く!!絶対に行く!」 ギュッと手を握ってくる涼はクレープを食べるのが楽しみなのかニコニコとしていて機嫌が良い。そして俺は放課後も涼と一緒にいられるからその何億倍も機嫌が良い。チラシのメニューをキラキラした顔で見ている涼は目が合えばニコッと笑ってくる。 「光生の好きなチョコレートあるよ!帰りまでに売り切れてないといいなぁ〜!あっ、でもキャラメルもある、、」 自分のより俺のばかり真剣に選んでいる涼に笑いそうになる。一緒に食べられるのならどの味でもいいのにいつでも俺のことを考えてくれている。 「ふふっ、涼はどれにするの?」 「うーん、、迷いすぎて決められない、、でも生クリームがいっぱいのやつがいいなぁ!」 「じゃあそれ買ってもう1回あれしよ。涼の体に塗って舐めるやつ。」 「っっ!ちょっ、ちょっと!!声が大きいって!!なんでこんなところで言うの!?」 焦っている涼はキョロキョロと周りを見た後に睨んでくる。 「ふふっ、誰もいないって。ねぇ、しようよ。」 「しないから!!行儀悪いし1回だけって言ったじゃん!!」 「えー、残念。あれすっごい嬉しかったのに。」 まぁ、何回もさせてくれるとは思ってない。本当は一緒にいてくれたらそれで十分だ。それなのに涼は俺に近づいてきて袖をギュッと握ってくる。 「……じゃあ来年の光生の誕生日にならしてもいいよ…」 どうしよう。来年なんて言ってくれる言葉がすごく嬉しい。ずっと永遠に一緒にいたいと思っていた重くて欲深い俺をまるで肯定してくれるみたいだ。 「来年だけ?」 それなのにまだ足りない。こんな困らせるような聞き方をするなんてずるいことはわかってるし縛り付けていることもわかってる。それでも約束が欲しくてしょうがない。 「……来年だけじゃなくて毎年光生の誕生日にならしてもいいよ……」 無理矢理に言わせた言葉かもしれないし本気で言っていなくても良い。ただその約束があれば俺はなにがあっても生きていける。それくらいに涼のことしか考えられない。

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