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居酒屋

「お疲れ〜ぃ!」 今日はライブを終えて飲みに行くと言うことで居酒屋に来ていた。 うらたさんが頼んだオレンジジュースを右手に取り、声をあげていた。 「「お疲れ〜」」 俺と坂田とセンラ。同時に声をあげ、チャリンッ とグラスが重なる。 坂田もオレンジジュース。俺とセンラは酒。 うらさかはお酒が苦手らしい。 「今日も最高やったなぁ〜!」 「そうやね〜!」 坂田とセンラが楽しそうに話している。 ちょっと腹が立つ。これは、 『嫉妬』 と言うものなのか…? 「志麻くん?」 「ん?なに?」 うらたさんが顔を覗き込んで見てくる。 「今日はどうだった?」 笑顔で聞いてくる。 さすがリーダー。笑顔を作るの上手いなぁ。俺、笑えとるんかな? 「楽しかったっで?」 「だよねぇ〜!」 他の三人は楽しくはしゃいでるのに、俺はついていけなかった。 今日はすぐに家に帰りたかったのに、坂田が必死に誘ってくるから断れなかった。 気分が上がらない。 「志麻くん?」 向かいでセンラが聞いてくる。 「なんや?」 「体調悪いん?」 「なんで?」 「いやっ、楽しそうやないし、顔色悪いで?」 見てくれてはるんや。いや、分かりやすいだけか? その時の考えは『分かりやすいだけ』で片付けられた。 「大丈夫や。心配かけてごめんな?」 「いや、ええんです。体調わるなったらすぐにゆうてくださいね?」 「分かったよ」 この気遣いに胸が苦しくなる。 デートをして、俺がいきなり体調を崩して家まで必死に運んで看病してくれて… そんな時のことを思い出すから涙が出てきそうになってしまう。 でも、心配はかけたくないからってお酒を一気に流し込む。

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