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圭祐side
何となく違うと感じ始めていた。君の態度がどこかおかしい……
今までみたいに僕に対して触れてくることも、近づきすぎないことも気になっていた。だけど、僕の勘違いかもしれない。
直接本人に聞くことは出来なくて、もどかしい気持ちが募るばかり……。
僕はただ、今までみたいに変わりなくじゃれあったり、笑いあったりしたいだけなのに……。
どうして僕と距離を取っているのか、もしかして君はそのことに気づいていない?
そんな日々が続く中で、普通に笑うことが苦しくなってきた自分にも気づき始めていた。
翔兄に連絡することも増えてきて……何度も涙を流すことも増えていた。
泣けば泣いた分、笑える気がしていたのに、そうもいかない。泣けば泣くだけ、君への想いが募るだけだった。
そんな中、夜眠れなかった僕のために朝まで黙って隣にいてくれた翔兄が学校まで送ってきてくれた。翔兄は、僕と君のことを深く追求してくることはない。それはきっと、誰よりも君と近づけない距離感が苦しいことをわかってくれてるから。ただ、静かに寄り添ってくれるだけ。でも、僕にはその優しさが救いだった。
そしてまた、あの日と同じように近づいてきた翔兄の距離。さすがに学校ということもあって周りに人がいないかが気になって仕方ない僕は、キョロキョロと確認した……。
「朔矢……」
一番見られたくない僕の親友が目の前にいて、僕はどうしていいのかわからなかった。君も、じっと僕を見つめたまま動かない。
すると、君を煽るように翔兄が言葉を発した。この状況に何も言えなくなるのは、決して君だからじゃない。他の誰が見たって驚く光景だと思うから……。ましてや、ずっと近くにいた親友が、男の人とこんなこと…。軽蔑されても仕方ない……
だけど…だけどね、僕はそれ以上に君に嫌な思いをさせるかもしれない。
自分の気持ちを伝えてしまったら……君は僕のことをどう思うだろう?
『気分が冷めた』と言い残して僕から離れて行った翔兄は、それを呼び止めた君にスッと近づくと、僕には聞こえないように何かを言った。
二人残された状況に、どうすればいいのかわからずいると、君が僕に問いかけてくる。
「二人はSEXしたの?」
僕は首を横に振った。僕たちは、一度も体を重ねたことなんてない。ただ、翔兄が僕の欲求を吐き出させてくれるだけ。
僕は翔兄に何もしてあげたことがない。いつも僕が、僕だけが気持ち良くしてもらっているんだ。
翔兄はそんな僕を、いつだって受け止めてくれていた。
でも……もう、君から逃げられない。逃げちゃいけないって思うから……
「僕は、ずっと朔矢が好きだったんだ……」
ずっと言えなかった想いを初めて言葉にした。
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