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朔矢side
「えっ?」
思ってもいなかった圭佑からの答えに、俺は一瞬何が起こったのかわからなくなった。
お前も俺が好き……? それなのに、別の男と……。
「僕は、ずっと朔矢が好きで……だから……」
「だったら何で……」
「ずっと一番の親友だったから……。関係が壊れるなんて考えられなくて……。でも、気持ちはどんどん大きくなるばかりで苦しくて……」
「じゃあ、あいつとは……?」
「翔兄は、僕がその……えっと……一人でシテるところを見られて……それで……」
「それで触れさせたの?」
「だけど……」
「そんなんじゃ納得いかない……。だって、俺のことが好きなんだろ?」
「えっ、あっ……朔……」
気がつくと、俺は圭佑の腕を掴んで歩き出していた。無我夢中で、圭佑のペースも考えずに、ただひたすらと……。
行き着いたのは自分のマンション。学校からそれほど離れていないそこには、もちろん圭佑だって何度も来ているわけだけど、今日に限って焦っているせいか上手く鍵が取り出せない。
すっげぇ、ダサい……
そう思っても、時間は待ってくれなくて……
背中にお前の視線を感じながら、何とか鍵を取り出すと、乱暴にドアを開けた。
―バタンー
玄関のドアが閉まると同時に、圭佑の体を抱きしめる。
「朔矢……?」
「何で……他のやつなんかに触れさせたの?」
「それは……ね、僕が朔矢のことが好きでどうしようもなくて、苦しかったから……」
「俺だって、嫉妬で狂いそうなほど圭佑が好きなのに?」
「うそ……」
「ほんとだって言ったら?」
「だって、僕たち……」
「親友だった……。でも、もうそうじゃないから……。好きなんだよ。お前が……」
抱きしめていた体を離して、真っ直ぐに伝えた言葉。そうだ……答えはこんなにも簡単だった。俺は、圭佑が好きでどうしようもない。ただ、それだけ……。
「僕も……ずっと、ずっと好きだった」
「だけど、俺のものにならなきゃ許さない……」
軽く顎を持ち上げてそっと唇に触れるだけのキスをする。
「んっ……いいよ……」
圭佑から漏れた甘い吐息とイエスの答えに、俺たちはそのまま寝室へと流れ込んだ。
「優しくしてやれないかも……」
せわしく圭佑の着ている服を脱がそうとするけれど、焦っているせいかここでも上手くいかない。
「朔矢……僕は逃げも隠れもしないから……。焦らなくても大丈夫だよ」
俺の様子に気づいていたのか、圭佑が真っ赤に染めた顔で柔らかく、幸せそうに微笑んでいるから、焦っていた気持ちが嘘のようにスーッと冷めていく。
こんな状況でも、お前の言葉ひとつで俺の感情はコントロールされていて、悔しいくらいだ。
それでも、俺は今目の前にいるお前を抱きたい……。
「好きだよ……」
「僕も……。だから、抱いてよ……」
恥ずかしそうに俺に伝えてくる。その姿が今までで一番可愛いと思った。
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