5 / 7

朔矢side

「えっ?」  思ってもいなかった圭佑からの答えに、俺は一瞬何が起こったのかわからなくなった。  お前も俺が好き……? それなのに、別の男と……。 「僕は、ずっと朔矢が好きで……だから……」 「だったら何で……」 「ずっと一番の親友だったから……。関係が壊れるなんて考えられなくて……。でも、気持ちはどんどん大きくなるばかりで苦しくて……」 「じゃあ、あいつとは……?」 「翔兄は、僕がその……えっと……一人でシテるところを見られて……それで……」 「それで触れさせたの?」 「だけど……」 「そんなんじゃ納得いかない……。だって、俺のことが好きなんだろ?」 「えっ、あっ……朔……」  気がつくと、俺は圭佑の腕を掴んで歩き出していた。無我夢中で、圭佑のペースも考えずに、ただひたすらと……。  行き着いたのは自分のマンション。学校からそれほど離れていないそこには、もちろん圭佑だって何度も来ているわけだけど、今日に限って焦っているせいか上手く鍵が取り出せない。  すっげぇ、ダサい……  そう思っても、時間は待ってくれなくて……  背中にお前の視線を感じながら、何とか鍵を取り出すと、乱暴にドアを開けた。 ―バタンー  玄関のドアが閉まると同時に、圭佑の体を抱きしめる。 「朔矢……?」 「何で……他のやつなんかに触れさせたの?」 「それは……ね、僕が朔矢のことが好きでどうしようもなくて、苦しかったから……」 「俺だって、嫉妬で狂いそうなほど圭佑が好きなのに?」 「うそ……」 「ほんとだって言ったら?」 「だって、僕たち……」 「親友だった……。でも、もうそうじゃないから……。好きなんだよ。お前が……」  抱きしめていた体を離して、真っ直ぐに伝えた言葉。そうだ……答えはこんなにも簡単だった。俺は、圭佑が好きでどうしようもない。ただ、それだけ……。 「僕も……ずっと、ずっと好きだった」 「だけど、俺のものにならなきゃ許さない……」  軽く顎を持ち上げてそっと唇に触れるだけのキスをする。 「んっ……いいよ……」  圭佑から漏れた甘い吐息とイエスの答えに、俺たちはそのまま寝室へと流れ込んだ。 「優しくしてやれないかも……」  せわしく圭佑の着ている服を脱がそうとするけれど、焦っているせいかここでも上手くいかない。 「朔矢……僕は逃げも隠れもしないから……。焦らなくても大丈夫だよ」  俺の様子に気づいていたのか、圭佑が真っ赤に染めた顔で柔らかく、幸せそうに微笑んでいるから、焦っていた気持ちが嘘のようにスーッと冷めていく。  こんな状況でも、お前の言葉ひとつで俺の感情はコントロールされていて、悔しいくらいだ。  それでも、俺は今目の前にいるお前を抱きたい……。 「好きだよ……」 「僕も……。だから、抱いてよ……」  恥ずかしそうに俺に伝えてくる。その姿が今までで一番可愛いと思った。

ともだちにシェアしよう!