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第3話
「とりあえず、なにか食べよっか、お兄ちゃん」
「だな、列に並んでたら昼前になっちゃったもんな」
僕たちは園内を歩き、レストランに辿り着いた。
「んー、なんにしようかなあ...」
正面でメニューを見つめる奏斗とは違い、兄、優斗の開いたメニューを見つめる眼差しは険しい。
今朝はなんとか、箸を逆さに持たずに済んだが、万が一、こんな大勢が食事している最中にまたドジったりしたら...
奏斗が赤っ恥をかく羽目になる。
下手して、ナイフとフォークで切り分けた肉が宙を舞ったりでもしたら....!
「なんにする?お兄ちゃん。僕はハンバーグセットにしようかなあ」
...ハンバーグか、食べたい。
食べたいが、自宅や学校ならともかく、レストランでは避けたい...。
ひたすら、メニューを目で追い、睨む俺。
「コーラも頼もうかなあ...あ、やっぱ、オレンジにしようかなあ」
「よし!ドリアにしよう!」
スプーンで掬うだけだ、難題ではない。
「ドリアだけで足りるの?お兄ちゃん」
「だ、大丈夫。あんま、お腹空いてないし」
笑ってみせたが、本当は腹ぺこだ。
「飲み物は?お兄ちゃん」
「え?んー、メロンソーダにしようかな」
「メロンソーダかあ、メロンソーダもいいね、悩むなあ」
そうして、スプーンやフォーク、肉などが宙を舞うこともなく、奏斗に恥をかかせることなく、ホッと安堵し、食後のメロンソーダを啜った。
待ってろよ、お化け屋敷!
子供の頃のように泣きじゃくり、弟の奏斗に慰めてもらいながら歩くなんて事はしないからな!
俺、兄の優斗はお化け屋敷に挑戦状を叩き付け、メロンソーダを一気にストローで吸い込んだ。
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