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第37話
「へえぇー!相撲のポスター剥がすまでに!蓮太、やるなあ」
お兄ちゃんが驚愕と感嘆の混じった声を上げた。
「えへへ!ハリセンを奪われたお陰で、兄も僕も、ようやく気づかされました」
「愛だねー」
「愛ですなー」
恭一さんと大貴さんが腕組みして唸る。
「お二人はもうセックスはなさったんですか?」
「セッ....!?」
「いや、俺らはまだ。別に焦る必要もないし。まあ、Ω同士だしなー」
「なるほど...」
「慶太さんがヒート起こしたら、チャンスなんじゃないですか?」
「あー、嫌でも、ちんぽくれー、てなるもんな」
「えっ、恭一、ヒート来たの!?」
「中2で来たよ」
大貴さんの目が真ん丸だ。
「まさか、お前、まだ来てない?」
「う、うん...」
「ああ、だから、恭一にLINEで相談したら、指入れて慰めたら収まる、て言ったのか」
「そ。経験者は語る、てやつ」
「なるほど、ヒートが起きた隙に...」
顎に指を置き、神妙な面持ちの蓮太くん。
「そんなにしたいの?お兄さんと」
「はい。とても」
「素直だなあ。ま、自宅でヒート起こしたらラッキーだな。学校で起こしたら、残念だけど」
「...学校で。どうしよう...僕、学校、違うから...」
「力士さんとの時は勢いでああ言ったけど、やっぱり怖いなー、挿れられるの」
慶太さんがため息混じりに手にしたポテチを食べた。
ああ、明日は旅行最終日。
早かったなあ...。
その日は初めて、兄と僕は二人きりで眠ることが出来た。
ツインの1つのベッドに二人で横たわり。
至近距離で顔を見合わせた。
「...お兄ちゃん、大好き..」
「奏斗、俺も大好き....」
互いに唇を近づけた、と、その時。
「助けてー!」
ガラ!
慶太さんが駆け込んで来た。
「ど、どうしたんですか?慶太さん」
兄と僕の間に蹲る慶太さんは微かに震えてる。
「べ、別々に寝てたのに、目を開けたら、蓮太が...馬乗りに...」
「お兄ちゃん、逃げないで...」
「まだ、心の準備出来てないー!」
あ、慶太さん、泣きそう。
「慶太さん、ハリセンは何処に...?」
「ぼ、僕の背中側の帯...」
「お兄ちゃん...早く戻ろう...?1つになろう...?」
「ごめんね、蓮太くん...!」
パーーン!
僕は性欲のゾンビと化した蓮太くんをやっつけると、兄と僕とで挟み、カタカタと震える慶太さんを守るように眠った。
ツインのもう1つのベッドでは蓮太くんが僕の初めてのハリセン捌きで気を失い、眠ってます。
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