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第38話

旅行明け。 久しぶりの登校日。 ガラガラ、といつもの真顔で、1-Bの教室を開けた。 「奏斗さーん!」 明るい笑顔の蓮太くんに拍子抜けした。 夢...?瞼を擦るが、変わらず、蓮太くんは踵を上げ、満面の笑みで大きく手を振っている。 制服、僕と同じ、グレーのブレザーに小豆色のネクタイ.... 「編入して来ちゃいましたー!」 「へ、編入...?」 旅行から3日しか経ってませんけどー! なんて素早い行動力! 「やっぱり、兄と交際し始めたので、なるべく、一緒にいるのが妥当だと思いまして」 「....慶太さんが、学校でヒートを起こす前提、ではないよね...?」 「あ!それは、もちろん!」 貞操を守る為に、慶太さんは蓮太くんの過去作のハリセンを忍ばせ、眠るようになったらしい。 そして、蓮太くんは慶太さんと良く似た、小柄で細身な美少年なことから、Ωに間違われたり、αから口説かれたりもする。 「僕を口説くなー!あほんだらー!」 パーーン! 「僕はΩじゃなーい!」 パーーン! 蓮太くんは慶太さんにはハリセンを使わなくなったが、不躾なαにハリセンを使いまくり、Ωの生徒から、素敵...ハリセン王子、と心酔されている。 僕と一緒にいると、何処からともなく、 「あ、ほら。クールキュートとハリセン王子」 コソコソ話しされ、クールキュート?と僕は目を丸くした。 「あ、チャイムが鳴った。お兄ちゃん達のクラスに行こ!」 「はい!」 何故か、クラスメイトになったのに、変わらず、敬語な蓮太くん。 僕と蓮太くんは並んで歩き、兄の優斗、恭一さん、大貴さん、蓮太くんの兄、慶太さんのいるクラスへ向かう。 学園祭は、慶太さん、蓮太くん兄弟のコントが楽しみだし、騒がしくも楽しい学園生活になりそうです。 ちなみに、蓮太くんの願いも虚しく、慶太さんはなかなかヒートが起きる気配はありません。

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