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第5話 捕食される退魔師 5
最近会社が忙しい。一希は今年大学を卒業し社会人になって半年が経ち仕事も少しずつ任される事が増えた。残業はかなり堪えるがそれで自分が関わっているという事が、すごく楽しくて充実している。もう少し慣れたら、彼女なんて作っていいかもしれない。
今日は久しぶりに実家に呼ばれた。忙しくて連絡していなかったから、ちょうどいい。
一希は実家の扉の鍵を開けた。ちょうど、母が家の掃除をしていた。
「ただいま。どうしたの?」
「ちょっと一希、早く着替えて来なさい。今日は顔合わせなのに、もたもたして」
「いや、ちょっと母さん。顔合わせって、俺別に結婚するわけじゃ」
靴を脱ぎ、母に視線を合わせると母の背後にあの淫魔がいた。一希は驚愕した。
なんでこいつが家にいるんだ。
「何を言ってるの。この方が一希と結婚するお方、淫魔ー」
母が背後を振り向く。
「ーーーーーー様よ」
「うわあああ!!」
そのまま一希は靴下のまま家を飛び出した。急いで速水の所へ。
「嘘だっ・・・!どうしてあいつが・・・!」
靴下のまま道路のアスファルトを一希は走るが徐々に身体が動きが鈍くなる。
よく見ると四肢が鎖に繋がれている。
「こ、これは・・・!」
「全く。私を見て逃げ出すなんて、行儀の悪い子だ」
いつの間にか、あの淫魔が背後にいた。
「そんな子には、躾が必要だろ?一希」
カチャ、と背後から鎖が装置された音がした。今度は首輪だ。
「番の君に私からのプレゼントだ」
淫魔は満足そうに微笑んだ。そして一希に手を伸ばそうとする。
「や、やめろ・・・!」
手を振り払おうとするが手が上がらずそのまま淫魔の腕の中へ・・・。
「やめろーーーーっ!!」
「ーーーっ、だっ!?」
勢いで飛び起きた一希は途端に天井に顔がぶつかり、反動でベッドに戻ってしまう。
「な、なんだ・・・」
目の前に天井がある。なんだこれは。
しかし、スーッと天井が開いていく。起きあがった一希は、周りを見渡して驚いた。
「ここは・・・」
とても綺麗な施設だ。リゾート施設のような豪華なところ。アジアンリゾートホテルを模したようなラウンジだった。目につく色ではない華美な調度品も揃えられている。まるで海外のリゾートホテルのようだ。しかし歩いている者たちは皆人間ではなく、妖魔ばかりで主に二足歩行だが肌の色が違ったり、角や尻尾が付いた妖魔が歩いている。
「これは・・・」
ベッドから起きあがった一希は、立ち上がって床の中にベッドが設置されている事に気づいた。
「中にベッド?それに」
いつのまにか、自分はガウンを着せられている。しかもこれ、シルク製品だろ。始めて触ったがとてもさらさらしている。しかし着てて違和感があった。
「なんだこれ」
首を触るとなんだか違和感がある。それは、首輪だった。ベルト式ではなく、どこから付けられたのか分からない仕組みになっている。
「な、なんだ・・・」
次に違和感を感じたのは、換気で風が吹き抜けているからか、股下がスースーしている事だった。不審に思って外から触って分かった。下着を履いていないのだ。つまり今自分が着ているのはこのガウンだけ。
「嘘だろ・・・」
自分に一体何が起こったのか、一希は廃墟のホテルの出来事を思い出そうとこめかみを押さえた。
妖気の強い淫魔に抱きしめられたところまでは覚えている。抱きしめられ、首筋を舐められて、キスをされて・・・。
そうだ。自分はその時体液を、淫魔の体液を飲まされたのだ。
その後自分がどうなったのか、体液を飲まされた後は意識が朦朧として覚えていない。自分の服はどこに行ったのか。そしてここはどこだ。どうして妖魔しかいないのか。
一希は周囲を見渡すが妖魔ばかりで、人間は自分以外存在していない。
「どうしてここに・・・」
本当は焦って混乱している。でもどこかで頭が冷静になっていく自分がいた。
ふと、身体が熱くなった。全身がどんどん熱くなっていく。
「う、ふぅ・・・」
一希は突然身体に滾る熱さに耐え切れず、身体を丸くさせて座り込んでしまう。
「な、なんだこれ・・・」
苦しい。熱い。
全身がこんなに熱く感じたのは生まれて初めてだ。口元が急激に渇いていく。水が欲しいが水ではこの渇きは治まりはしないのは分かる気がする。
「はっ、は、は!あぁぁ・・・」
そのまま一希はラウンジに倒れ込む。
苦しい。早く誰か助けて。
ふと、一希は思い出す。
無理矢理淫魔にキスされて、流し込まれた体液の味を。
すると、さらに身体の渇きが加速する。それでも思い出すのは甘くて美味しかったあの体液の味とあの美しいサファイアブルーの瞳を持つ美丈夫の淫魔だった。
「あぅ・・・うぅ・・・」
苦しさが増す度、なぜかあの淫魔の顔が浮かんでしまう。
どうして。
またあの体液を飲みたいと欲している。飲まないとこの渇きは治まる事はないのも分かる。でもこの部屋にはいない。あの淫魔が。
すると、ラウンジのスライドドアが開いた。入ったのは、あの美しいサファイアブルーの瞳と漆黒の長い黒髪の、あの淫魔だった。
淫魔は一希に近づくと屈んで様子を見ている。
「辛そうだね、一希」
淫魔が、自分の名前を呼ぶ。それだけで、またさらに身体の渇きが加速した。
「な、んで・・・」
俺の名前を、知っているんだ。
声に出せる状態ではないにしても、一希は口元を動かし淫魔にそう訴えた。
急速な身体の渇きは一希には苦痛以外の何物でもなく、淫魔と同じ色の瞳から涙が溜まっていくのが分かった。
淫魔は、手を出すわけでもなく、にっこりと一希を見ている。
「どうして欲しい?」
淫魔は渇いていく一希の唇を自身の長い指で優しくなぞっていく。
「言ってごらん」
手を拳に握りしめ、一希は渇きを我慢する。
言えない。また欲しいなんて。
一希は涙目で淫魔を睨みつける。
誰が言うか。
そう一希は淫魔を睨みながら訴えている。一希の意思が伝わったのか、淫魔はクスクスと笑った。
「本当に君は可愛いね。涙ながらに私を睨む君をもう少し堪能しようかと思ったが、さすがにそろそろ限界だろう」
そう言うと、淫魔は一希を抱き上げ、再び一希の唇を覆うようにキスをした。
「ーーっ!!」
一希は自分の身体の熱が徐々に引いていくのが分かった。またあの体液を注がれている。
ゴク、ゴク、ゴク・・・。
次々流し込まれていく淫魔の体液を一希は少しずつ飲み込んでいく。
甘くて美味しい、あの体液だ。
少しずつ、身体中を巡っているのが分かる。
しばらく飲み込んでいると身体の熱と渇きが引いた。
我に返った一希は、ばっと淫魔から離れた。
近くで見るとやはり淫魔だと一希は思った。
どこか惑わされるような美しさを感じてしまうし、あの美しいサファイアブルーの瞳に自分が写っている事が分かると何故かゾクゾクとした感覚が背筋に走る。
「さすが霊力が強くなるまで待った甲斐があった。どうやらまだ自我を保っているね」
身体は落ち着いた。あの辛かった熱と渇きが今はもうない。
「ここはどこだ?」
正気に戻り、一希はこの場所を淫魔に問う。だが当の淫魔はクスクスと笑っている。
「君は、人間界で私の体液を注がれて名前を教えてくれたんだ。美味しかっただろう?淫魔王の体液は」
妖気の強さからこの淫魔が並大抵な妖魔だとは思っていなかった。まさか淫魔王とは。
「淫魔王って、お前・・・」
淫魔は、右手を胸に置き、恭しく一希に礼をする。
「お初にお目にかかる、若き退魔師。私は淫魔王・ヴィンセント。君の番になる者だ」
一希は驚愕した。
まさか淫魔王だったなんて。
「俺は番にならない。ここはどこだ」
ここが人間界ならば、すぐにこの場所を離れて速水達と合流しなければいけない。
戦ったところで、ヴィンセントに勝ち目がないからだ。
「ここは、魔界と人間界の狭間。君はこのドールハウスで私の#愛玩奴隷__ドール__#になってもらうよ」
一希はさらに驚愕した。
ドールって、どうして自分が。
「冗談じゃない。誰がお前のドールになるか」
気持ち悪い。自分は男だ。なんで男の愛玩奴隷にならないといけないんだ。
「王である私自身が君をドールに選んだ。理由はそれだけだ」
ヴィンセントはそのまま一希に近づいた。しかし一希もヴィンセントに捕まるわけにはいかないとヴィンセントから逃げ、ラウンジを出てしまう。
「無駄な事はやめなさい。どちらにしても今の君は私の庇護下にいなければ生きることすらできない立場だ。
ーーまたあの渇きに襲われたいかい?」
走る足を止め、一希はヴィンセントを見る。
「どういう事だ」
「あの渇きの正体は私の体液の欠乏だ。キスだけで送った体液程度では君はまたあの渇きに襲われるだけだ」
あんな辛い渇きがまた訪れるのか。
「じゃあ、どうしろって言うんだ」
ヴィンセントはニコリと一希に微笑んだ。
「私とセックスするんだ。私の体液を直接身体に取り込めばしばらくはあの渇きに襲われる事はない」
「セッ・・・」
一希は絶句した。淫魔と・・・しかも男とセックスなんて気持ち悪い。俺は男同士でなんて知らないし、女しか興味がない。
ラウンジの入り口にヴィンセントが到着し、一希の手首を掴む。
「は、はなせっ。いやだ!」
ヴィンセントは一希の拒否を無視したまま一希を抱きしめようとする。
「は、はなせ!」
ヴィンセントに抱きしめられると彼にまとわりつくベルガモットの香りに煽られ、一希は再び身体の渇きを感じてしまう。
「うっ、うぅん・・・」
ヴィンセントから離れようと一希はもがく。しかし彼のベルガモットの香りに煽られていて、身体に力が入らない。
「あぁ、もうこんなになって・・・」
抱きしめると渇きに襲われた一希の体温が上昇しているのが分かった。もう一つ、一希の中心はヴィンセントの香りに反応しているようでスッと勃っていた。
「フフフ。私に抱きしめられて、もうこんなに反応して。男同士のセックスが始めてなら、これからは私が丁寧に教えてあげよう」
ひょいとヴィンセントは一希を抱き上げる。
「一希は軽いね。後で食事を用意させるから、しっかり食べるといい。痩せていては、楽しいセックスもできない」
「よ、余計な世話だ」
一希のあまりの強情ぶりにヴィンセントは苦笑した。一希は視線を合わせないよう逸らす。
部屋を移動すると広いベッドが置いてある部屋にたどり着いた。ここで自分が今から何をされるのか、分からないわけではない。
一希に戦慄が走った。でも身体が辛くなっているのも事実。
ヴィンセントは優しく一希を寝かせると、着ているシルクのガウンを脱がせ始める。
若々しく白い肌だが、全体的に痩せている。もともと線が細いのか、胸元や腕は痩せていて抱きしめるだけでも折れてしまいそうだ。
「全く。こんなに痩せていては、すぐに力尽きてしまうじゃないか」
「う、うるさい・・・」
ヴィンセントにジーっと視線を向けられる事に羞恥を感じてしまう。勃起したペニスや痩せている胸元を見られないよう両手で隠し、一希は彼を睨んだ。
社会人一年目と一人暮らし一年目が重なり、一希は最近まともに食事を取る余裕がなくなっていた。慣れない仕事量に疲れていたのは自覚していた。しかし、寝れば疲れが取れると高を括っていたのもあるが、本当に簡単な物しか食べていなかった。まさか淫魔に捕まってセックスを迫られるなんて思いもしなかったが。
次にヴィンセントは自身のスーツのジャケットを脱ぎ始めた。着ていたシャツ越しからでも、彼は均整のとれた身体をしていた。あのベルガモットの香りが脱ぐとさらに漂い、もっと欲しいと思ってしまう。
白いシャツを脱ぎ上半身裸になったヴィンセントを見て、一希は息を止めた。
上半身だけでも美しい。男として羨ましい身体をしているのもあるが、こんな身体と重ねたら・・・と一希は思わず考えて、ふとハッと我に返る。
この淫魔の体液を飲まされてから、自分が自分でない感覚に支配されている。
唖然と見つめる一希に、ヴィンセントはクスクスと笑う。
「フフフ、期待しているのかい?君の満足いくまで抱いてもいいんだよ」
冗談じゃない。誰が男に抱かれるか。
「な、何言って・・・男だぞ。誰が思うか」
「そうかな?君のココはもう待ちきれないようだが」
ヴィンセントは一希の隠した下半身に目をやる。足でクロスして見られないよう隠していたが、既に一希のペニスはヴィンセントとの性交の快楽を想像したのか、ピクピクと勃ち上がっていた。
「全く我慢をしなければいいのに。こんなに物欲しそうに私を誘って」
裸になったヴィンセントもベッドに入り、直接一希の肌を抱きしめる。彼の肌に直接触れて多少一希の渇きが落ち着いた気がした。そして身体の力が抜けていき、ヴィンセントの体温を温かく感じてしまう。
「あっ・・・」
彼から漂うベルガモットの香りも相まって、ヴィンセントに抱きしめられると、とても気持ちいい。
これが淫魔の誘惑なのか。
「気持ちいいだろ。淫魔王の体液は本来人間には猛毒なんだ。一口でも体液を摂取すれば人間は性欲を高め再び私とセックスするまでは治らない渇きに悶え苦しむしかない。だから、君が渇きを我慢する必要はない。本能の赴くまま、私を求めなさい」
その言葉に背中を押されたように、一希は恐る恐るヴィンセントの背に腕を回した。彼から漂う優しいベルガモットの香りは、一希に心地良い感覚に浸らせてくれる。
ヴィンセントと一希は抱きしめたまま互いを見つめる。まるで深く愛し合う恋人同士のように。
互いにキスをする。中で舌を絡み合い吸い合う。
甘くて美味しい。この淫魔の体液を摂取するだけで先程まで辛かった身体の渇きが落ち着いていく。
「ふっ・・・は、はぁ・・・」
息を吸おうと一希はヴィンセントから唇を離したがすぐに塞がれてしまう。ヴィンセントは、キスの間一希の勃起したペニスに手を伸ばす。
亀頭部分を指の腹に直に弄られる。特に鈴口を指の腹でぐりぐりと弄られると気持ちいい。
頃合いを見たヴィンセントは、一希の唇から離れパクッと口腔内に一希のペニスを包んだ。柔らかい淫魔の口腔内に思わず一希はビクッと腰を上げた途端、口腔内に精液を排出した。
排出された精液をヴィンセントは味わうようにゆっくり飲み干す。
「やはり美味しい。君の精液は果汁のように甘い。私も虜になってしまう。さて、次はこの下を頂こうか」
一希の両足を掴んでM字に開脚する。後孔の窄んだ穴はキスと口腔蹂躙に刺激され、ヒクヒクと引き攣っている。
「可愛いアナルだね。私のモノを入れる前に、ここはしっかりと解しておこうか」
「み、見るな・・・!あっ」
ヴィンセントはペニスから後孔へ指を移動させ窄みをゆるゆると指の腹を使って刺激する。
「あぁ・・・」
指の腹に刺激されて、身体の力が緩んでいく。窄みが緩み出したタイミングで、ツプッとヴィンセントの指が挿入される。
「うまく入ったね。動かしてみようか」
指がグルグルと一希の後孔を蹂躙する。ヴィンセントの指の腹が一希の後孔壁を擦られるのが分かると一希の腰にズクンズクンと快感が駆け巡る。指の角度を曲げ捻ったり出し入れたりと後孔を弄っていく。
「あっ、あぁ・・・」
気持ちいい。
腰が動いてしまう。
一希は物欲しそうに啼いた。
キスと口腔蹂躙、それに指だけじゃ足りない。
もっと刺激が欲しくなる。
ぐりぐりと無理矢理動かさないヴィンセントの指使いは、一希に痛みよりも快感を与えていく。優しく後孔壁を小突きながら、指を動かして窄まりを緩めていく。
いつの間にか、一希の両足はヴィンセントにがっつり固定され、後孔を指で弄られながら、一希は無意識にヴィンセントの猛ったモノに目を向けた。
大きい。自分のよりも太いモノに挿入時の快感を想像してしまう。
「私のコレが欲しいかい?」
聞かれて思わず我に返った。でも身体が気持ち良くて、じっとヴィンセントのモノを見つめている。
弄りながらヴィンセントは言った。
「ほら、気持ちいいだろ。淫魔王と番のセックスは互いの快感を高め最高の快楽を得る事ができる。さて・・・」
ツプッと、指が一希の後孔から抜けていく。名残惜しそうに一希の後孔はヒクヒクと引くつきヴィンセントを誘う。
「私が欲しい?」
問いには答えられない。恥ずかしいし、言ってたまるかと一希の中で見栄が働く。
指で後孔を弄られ、正直ヴィンセントのモノを入れて欲しいと言いたい。そうすれば身体は楽になると知っているからだ。
でも言えない。言えば、自分が自分で無くなってしまうのも分かるから。
「意地なんて張ったところで、君が辛いだけだ。一希、私が欲しいと言ってごらん?すぐに君の中に入れてあげるよ」
ヴィンセントの誘惑と目の前の猛ったペニスに一希は生唾を飲んだ。
あれが中に入るのを想像してしまうと、身体の奥からさらに渇きが増す。でも言えない。でも苦しい。
ヴィンセントから視線を逸らした一希は、少しずつ口を開いた。
「い・・・入れ、て」
小さい声で一希は言った。顔が紅潮しているのは羞恥からか、渇きの苦しさなのか、一希自身も分からなくなっていた。
恥じらう一希の姿にヴィンセントは目を見開いて気分が高揚する。
あぁ、ようやくこの子を手に入れたのだ。
「よく言ったね。素晴らしいよ。始めてだから、最高の快感を教えてあげよう」
ググッと、一希の後孔にペニスが挿入される。挿入される度に駆け巡る常軌を逸した快感に一希は歓喜に近い悲鳴を上げた。
「はっ、ああああぁ、ぁああー!」
一希の身体全体に痺れが走る。
なんて気持ちいいんだ。
これでは快感に屈してしまう。
ググッと中に全て挿入される。快感に悲鳴をあげる一希の最奥をヴィンセントのモノが突くと、一希は背を仰け反った。
これにヴィンセント自身も刺激に感じ、一瞬美しい容貌を歪めた。
「一希・・・」
快感で涙と汗と唾液で混じった頬にヴィンセントは舌を伸ばす。体液を舐めた瞬間、ヴィンセントの身体に一希の体液が拡がるのを感じた。
ヴィンセントは一希の痩せた身体を抱え込むように抱きしめる。
「ああぁ、いい・・・なんて気持ちいいんだ。一希が私を受け入れている」
ヴィンセントは一希の腰に手を入れて掴むと、そのまま腰を前後に抽出する。
「あっ、はっ!ああ~!」
ヴィンセントが腰を動かす度、身体中が痺れていく。腰のスピードが速くなるにつれ、ズン!ズン!と一希を強い刺激が穿つ。徐々に身体中が麻痺してしまう。
一希の中は彼を欲している。淫魔の勃起したペニスを挿入され、腹の中が圧迫されて苦しい筈なのにそれすらも快感として一希の脳が処理されていく。
「ああ~!ふぅ、ああ~!」
腰をヴィンセントに穿たれる度、一希の汗と唾液がベッドに飛び散る。
気持ちいいだけじゃない。自分の身体がヴィンセントと一体化していく感覚がする。
そのままヴィンセントは長い抽出を繰り返す。一希の中は自分の物だと主張するように。前後だけでなく左右にも腰を動かす。動かされる刺激に一希は嬌声を上げる。中を隅々まで蹂躙され、一希もヴィンセントを逃したくないと中で彼の男根を締めつける。
しばらくすると、ヴィンセントもそろそろ排出欲が湧き上がって来た。汗ばんだ一希の黒髪を上げて、ヴィンセントは一希を見つめる。
「一希、そろそろだ。君も、私と同じタイミングでイこうか」
一希は目を閉じて快感に身を任せてしまっていた。だがヴィンセントの言葉に応えるようにうん、と頷いているようだった。
ヴィンセントが腰のスピードをさらに上げた。一希はスピードを上げるヴィンセントにしがみつき、絶頂のタイミングを待つ。
ビュッと一希の中に熱い迸りが放出された。同時に一希もペニスからビュッと精液を排出した。
盛り上がりから一気に熱が引いたのを二人は感じた。射精と同時に自失した一希の中からヴィンセントはゆっくりとペニスを抜いていく。見ると一希は射精のタイミングと同時に自失してしまい、抜かれた一希の中から少しずつ精液が外に吐き出されている。紅潮した顔はそのままだがどうやら渇きは落ち着いたようだ。微かな寝息が聞こえている。ヴィンセントは微かな寝息を立てる一希の頬に軽くキスをした。
情事が終わると、穏やかに眠る一希を見て、ヴィンセントは自身の中で何かが満たされる感覚があった。
これが、番とのセックス・・・。
7年前から、彼としたいという事を夢見ていた。
人間よりも遥かに長い寿命を持つ自分達からみれば7年は瞬き程度の物だと思っていたが、番相手ではとても長く感じた。
くくくっ・・・と部屋の天井に顔を向けてヴィンセントは笑う。
番とのセックスがこれほど身体と心を満たしてくれるとは思わなかった。自分が餓死した前王から、王として即位してすでに500年が経っていたが、人間とのセックスは自身の食事程度にしか考えていなかった。が、番とのセックスは身体と心、そして魔力が漲ってくる。
これほど気持ちが満たされるセックスは長く生きていた自分でも初めてのことだった。
「すごい。すごいよ一希。淫魔王の私をこんなに満たしてくれるなんて感謝しているよ。やはり君は私の番だ。私に相応しい愛玩奴隷に調教してあげるから覚悟してね」
淫魔は裸で自失した一希を抱き上げ、浴室へ向かう。一希を見つめるその瞳には、既に熱情の炎が宿っていた。
続く
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